クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき

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第1章 気がつけば異世界

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「ふふ、おはようございます。ルカ」
「…………え、と? ──あれ? 団長さん?」

 兄はどこにいった? あ、兄はそもそも居ないんだっけ? いや、兄は居るけど俺だけが異世界に来ちゃったからやっぱり居ないってことになるのかな──。あれ? でも兄が添い寝してくれたよね? …………ん? どう言うことだ?

「グレンで構わないですよ? さぁ、そろそろ起きましょうか。朝御飯を食べましょうね……」

 兄だと勘違いしてグレンさんにすり寄る形で俺はいた。ソレと同時に脳が急激に動き始める。なんで一緒に寝てたんだろう? しかも昨日の初対面というか不躾にもまじまじと──。失礼だとは思うけどジーっと見つめていた時に目があってからと言うもの、この団長さんは妙に優しいんですけど? すっごく冷たい目をしてたはずなんだけどなぁ……。うーん。でも、まぁ、優しい分には別にいっか♪
 そう思うと辺りを見回して一緒になんで寝ていたのかを理解した。尋問された団長さんもといグレンさんのテントでした。

「おはようございます。あの、今は何時ですか?」

 その言葉に彼はクスリと笑い、目の前に物を1つ出してくれた。置時計みたいな大きさのソレは文字盤が色付いていて、針が一本。長針だけがあった。あの? 短針はどちらへお出掛けになりましたか?

「いや、ごめんなさい。どうぞって渡されてもちょっとわからないです」
「え……? あ、そうでしたね。いろんな記憶が無いんでしたね……」

 うぅ、本気で残念な子になってないか? 俺……。
 聞けばこの時計はラノベで良くある魔道具で大昔に錬金術士が作ったらしい。長い針が一周することで一時間。文字盤の色で何時かわかるらしい。話を聞くと、定められた時間で色が変わるそうなのだ。俺の記憶の時計で言うと午前午後の0時が赤。1時が赤みの強いオレンジ。2時が黄みの強いオレンジ。そんな風に色が変わるらしい。つまり12色があるとのこと。
 なんか、赤から始まって赤紫で終わる色相環みたいだなぁ……。でもさぁ、夜の0時とかは寝る時間でもあるんだから興奮する赤は止めた方がいいと思うんだけどなぁ──。
 んで、現代の時計同様に右半分が0から30分。左は30~0分。町や村では色が変わると同時に鐘が鳴るらしい。動力源はいったいなんなんだろう──。いや、この時計さ、確かに格好いいけどデジタル時計で十分だよ? 外にいたら置時計じゃ時間がわからなくないか? 腕時計とかあればいいのにな──。てか、これなら絶対に腕時計が作れるでしょ? 作れたでしょ? なんで作らないのっ!? いや、作らなかったのっ!?
 それにしたってさすがゲームの中の世界だわ。コレ以外にも何かと便利なものがいっぱいありそうだ。ツッコミ入れずに暮らせるのかなぁ~……。

 ただ、心から言えることは逆にゲームでもなにもないただの中世ヨーロッパじゃなくて本当によかった! これにつきる。現代に染まりきった俺はきっと生きていけないと思う。ゲームや娯楽がないのは仕方ないから諦める。トランプがなかったらその内作るかな。トランプ作って流行らせてガッチリマネー! オセロも良いかもしれないな! ルールが簡単だしね! ロイヤリティを取得して独占販売だね! って、そんなことよりもさ……。もしも中世だったら一番困るのは臭いなのは言わずもがな。中世は特に悪臭が半端ないって言うもんね?
 だって黒死病。所謂ペストが流行ったのだってちゃんと理由がある。
 考えたくないけどあの時代、排泄物は窓から外に投げてたとか言うしさ……。つまり、道路に投げられた糞尿が溢れかえっていて、川には動物の臓物や血が常に流れてたらしい。道の端っこを歩いてたら糞尿が降って来るとか最悪すぎる。

 まぁ、現代みたいなトイレがないから仕方ないと思うけど……。でも、でもさ、それにしたってさ……。




 普通窓から捨てるか──?




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