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第1章 気がつけば異世界
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あー、開発チームさん。皆様をアホだなんて言ってゴメンナサイ。何て言うか現実逃避したかっただけなんです。出来れば現代に帰してください。
なんて脳内で現実逃避をしている理由はただ一つ。俺だけなんか別室で尋問みたいなことをされてるのです。
あの隠された部屋で一緒だった子供たちは売られたと言うよりも拐われたが正解らしくて明日、確認が出来次第、親元に引き渡される。ちなみに子供たちは既にこの近くの集落にある教会に頼んで預けているらしい。ついでに預かってもらうお礼に多めの食料とお金を寄付したらしいよ? 何て言うかよくある貴族の慈善事業みたいなものなのかな……。
そんなことよりも問題は、俺!
「ルカとか言ったな。何でもいいから話してくれないか?」
先程現実逃避してる時に団長さんから密かに紹介された副団長のアンドレア・アドルファスさんに質問をされた。
そういえばここがもしあのクソゲーの世界なのだとしたら今、ゲームならどこら辺なんだろうか──。主人公らしき人は見当たらないからゲーム開始前なの? それとも実はゲームは始まってるとか? あれ? 弱くて既に死んじゃったとか言わないよねっ!?
なにも言わない俺の頭を宥めるためなのか、安心させるためなのか、その大きな手でわしわしと撫でられた。ただし、俺のたんこぶには触らないように気を付けてくれている。
おお、それにしてもこうして近くで見るとやっぱり男前だわ……。団長さんが女顔の王子タイプなら彼は騎士と言うよりも武人。ワイルドな感じのお兄ちゃん。
「いや、なんと言うか──俺が逆に聞きたいです……。俺、どうしてココにいるんですかね? 全く覚えがなくて……」
思い返せば確か車かなにかに轢かれてガードレールとの間に挟まれましたよね。迎えに来てくれた兄が抱っこ? 違うな。抱き抱えてくれたまでは覚えてるけど、今この近くには居ないみたいだし……。あれ? 思い返せば骨とか色々折れてたと思うけど、綺麗にくっついてるんだなぁ……。
「…………ルカ……。えーっと、なにか覚えてることはないか?」
なんだか急に全員が俺を可哀想な子を見る目をしているんですけど……。え、でもさ、本当に起きたら見知らぬ場所に連れて来られてたんだよ? なんでそんな目で見るんだろう……。そんなに俺は怪しいですか? あ、怪しいからこうして尋問してるのか……。
「え? えーっと、死んだ。もしくは死にかけたみたいな……?」
『………………』
あれ? 余計に可哀想な子を見る目をされた。
この部屋にいるのは第四騎士団の団長と副団長。ゲームでは騎士団の頭脳と言えるチャラそうな見た目の参謀。その参謀のサポートをする補佐の四人。女だったら見惚れているだろうイケメン四人の眉間にはいつのまにか駿河湾のような深い溝が出来上がっていた。
えー? 嘘言ってないのに何で怒ってんだよ! マジ怖い。イケメンと言うか美人が怒ると怖いって本当かもしれない。
「え、えっと……。俺はその……。うん、何て言うのかな……。箱入り? みたいな感じで常識的なことに疎いかも知れなくて……その……もしかして飛び出しちゃったのかな? えーっと……なんか話せば話すほど怪しさ満載ですね……」
俺は墓穴を掘るくらいならもう貝になる。もう話さない。疑われても話すだけ無駄。そして郷に入っては郷に従え。日本人なのでそれなりに慣れてますから、常識と言うものを教えてもらえればなんとかなります。──たぶん。
「ここではどうすることも出来ない件だし……。王都へ行けば戸籍で何かしらわかるだろうし、なきゃないで作らないといけないわけだし……」
「確かにそうですね」
「さて、尋問は終わりにしてそろそろ夜飯の用意をするか……」
団長のテントだったらしく皆は「お邪魔しました」と出ていき、俺も出ないといけないよね! と、思って立ち上がると団長さんに宥めるように優しく頭を撫でられた。
「まだ子供なのになにも思い出せないなんてつらいでしょうけど、これも何かの縁ですから気にさせずに頼ってくださいね? 騎士団は弱き者達の味方ですからね」
「うん、ありがとう。でも、俺、子供って言う年齢じゃ無いんだけど……。確かに騎士団の人と比べたら背が低いかもしれないけどこれでももうすぐ17で……」
「……は? いやいや、そんな幼い大人がいるわけが──。あ……えーっと……」
喧嘩売られてるのか? これ──。悪かったな! 童顔で!
時々高校の制服着てるのに私立の小学校に通ってるのかとか聞かれるのは涙ものなんだからねっ!? 身長は167はあるのにも関わらず、ご近所さんにはランドセルは卒業したのね……とか言われて年齢を覚えてくれない──。それに中学、高校とテスト期間中に商店街を歩いていたら警察に補導されかけたこともあるし……。
はっ! もしや顔? 顔なのかっ……。
なんて脳内で現実逃避をしている理由はただ一つ。俺だけなんか別室で尋問みたいなことをされてるのです。
あの隠された部屋で一緒だった子供たちは売られたと言うよりも拐われたが正解らしくて明日、確認が出来次第、親元に引き渡される。ちなみに子供たちは既にこの近くの集落にある教会に頼んで預けているらしい。ついでに預かってもらうお礼に多めの食料とお金を寄付したらしいよ? 何て言うかよくある貴族の慈善事業みたいなものなのかな……。
そんなことよりも問題は、俺!
「ルカとか言ったな。何でもいいから話してくれないか?」
先程現実逃避してる時に団長さんから密かに紹介された副団長のアンドレア・アドルファスさんに質問をされた。
そういえばここがもしあのクソゲーの世界なのだとしたら今、ゲームならどこら辺なんだろうか──。主人公らしき人は見当たらないからゲーム開始前なの? それとも実はゲームは始まってるとか? あれ? 弱くて既に死んじゃったとか言わないよねっ!?
なにも言わない俺の頭を宥めるためなのか、安心させるためなのか、その大きな手でわしわしと撫でられた。ただし、俺のたんこぶには触らないように気を付けてくれている。
おお、それにしてもこうして近くで見るとやっぱり男前だわ……。団長さんが女顔の王子タイプなら彼は騎士と言うよりも武人。ワイルドな感じのお兄ちゃん。
「いや、なんと言うか──俺が逆に聞きたいです……。俺、どうしてココにいるんですかね? 全く覚えがなくて……」
思い返せば確か車かなにかに轢かれてガードレールとの間に挟まれましたよね。迎えに来てくれた兄が抱っこ? 違うな。抱き抱えてくれたまでは覚えてるけど、今この近くには居ないみたいだし……。あれ? 思い返せば骨とか色々折れてたと思うけど、綺麗にくっついてるんだなぁ……。
「…………ルカ……。えーっと、なにか覚えてることはないか?」
なんだか急に全員が俺を可哀想な子を見る目をしているんですけど……。え、でもさ、本当に起きたら見知らぬ場所に連れて来られてたんだよ? なんでそんな目で見るんだろう……。そんなに俺は怪しいですか? あ、怪しいからこうして尋問してるのか……。
「え? えーっと、死んだ。もしくは死にかけたみたいな……?」
『………………』
あれ? 余計に可哀想な子を見る目をされた。
この部屋にいるのは第四騎士団の団長と副団長。ゲームでは騎士団の頭脳と言えるチャラそうな見た目の参謀。その参謀のサポートをする補佐の四人。女だったら見惚れているだろうイケメン四人の眉間にはいつのまにか駿河湾のような深い溝が出来上がっていた。
えー? 嘘言ってないのに何で怒ってんだよ! マジ怖い。イケメンと言うか美人が怒ると怖いって本当かもしれない。
「え、えっと……。俺はその……。うん、何て言うのかな……。箱入り? みたいな感じで常識的なことに疎いかも知れなくて……その……もしかして飛び出しちゃったのかな? えーっと……なんか話せば話すほど怪しさ満載ですね……」
俺は墓穴を掘るくらいならもう貝になる。もう話さない。疑われても話すだけ無駄。そして郷に入っては郷に従え。日本人なのでそれなりに慣れてますから、常識と言うものを教えてもらえればなんとかなります。──たぶん。
「ここではどうすることも出来ない件だし……。王都へ行けば戸籍で何かしらわかるだろうし、なきゃないで作らないといけないわけだし……」
「確かにそうですね」
「さて、尋問は終わりにしてそろそろ夜飯の用意をするか……」
団長のテントだったらしく皆は「お邪魔しました」と出ていき、俺も出ないといけないよね! と、思って立ち上がると団長さんに宥めるように優しく頭を撫でられた。
「まだ子供なのになにも思い出せないなんてつらいでしょうけど、これも何かの縁ですから気にさせずに頼ってくださいね? 騎士団は弱き者達の味方ですからね」
「うん、ありがとう。でも、俺、子供って言う年齢じゃ無いんだけど……。確かに騎士団の人と比べたら背が低いかもしれないけどこれでももうすぐ17で……」
「……は? いやいや、そんな幼い大人がいるわけが──。あ……えーっと……」
喧嘩売られてるのか? これ──。悪かったな! 童顔で!
時々高校の制服着てるのに私立の小学校に通ってるのかとか聞かれるのは涙ものなんだからねっ!? 身長は167はあるのにも関わらず、ご近所さんにはランドセルは卒業したのね……とか言われて年齢を覚えてくれない──。それに中学、高校とテスト期間中に商店街を歩いていたら警察に補導されかけたこともあるし……。
はっ! もしや顔? 顔なのかっ……。
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