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第1章 気がつけば異世界

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 平日のど真ん中。いや、折り返し日過ぎた木曜日。
 本日は学校が開校記念日なので一日お休み。やったー! 一日中、家の中で何処にも行かずにのんびりと本読んだり、ゲームしたり、料理したりと過ごすはずだったんだ……。

 予定が変わったのは月曜のクラスメイトの誘いだった。別に行きたいとも微塵にも思わなかったがこの世の中、人付き合いはそれなりに必要。でもひょんな事からイジメって簡単に起こる。面倒だからといって誘いを断ったら断ったで「アイツは付き合いが悪い」と勝手に言われて、そして悪口が始まり、エスカレートしてそしてクラスで孤立させられる……。今の学年が高校三年生なら卒業までの数ヵ月の間だけの我慢なんだけど、今は高校二年生だからさすがに一年以上は耐えたくない。なので学校の知り合い。学友? いや、友人と言っても良いのかな……。とりあえず知り合いにカラオケに誘われ、昼食を家でとってから大体13時半頃に駅前集合で5時間くらいカラオケ。

 ──5時間はさすがになげぇ~よ!

 俺は買い物の用事があるから3時間ならいいよ~とその場で言ってカラオケの時間を短くした。みんな、マジで元気だなぁ……。翌日は普通に学校。しかも体育だってあるのにさ──。しかもマラソンだよ、マラソン! 俺はハッキリ言って無理! 早く家に帰ってゴロゴロしたいの。


   ◆


 開校記念日の当日。午前は家で当初の予定通りのんびりと過ごすことにした。兄に抱き抱えられながら姉とクリアできないゲームにあーでもないこーでもないとワイワイしながら勤しむ。昼御飯を家族みんなで食べて、俺は仕方なしに約束のカラオケに……。

 いや、熱が出たからって理由で仮病を正直なところ使いたいです。でもここぞとばかりに家に来られたら嫌なのでやめておこう──。

 その帰り道にお父さんに頼まれた物と俺が学校で必要なものを100均で買うことにした。兄には別個でインナーと靴下を頼まれた。姉は本を二冊とスマホに写真を送られてそれを買ってこいと頼まれ、お母さんには調味料含めたメモ書きを金と共に手渡された。仕事をしている父、兄、姉は運よく休みが被ったらしい。母は午後から仕事をしないといけないらしくバタバタしていたけれども……。休みの三人に自分で買いに行けばいいのに──と文句を言ったら全員から『色々と面倒くさい』と笑顔で言われてしまった。

 まぁ、気持ちは凄くわかるよ。俺だって今日は1日外に出ずに家の中でのんびり過ごすはずだったし……。

 とりあえず買うものが思いの外多かったので財布とハンカチなど身の回りの物を少し大きめのリュックに入れて駅へと歩いて向かった。
 出会うご近所さんに挨拶をしながら進み、カラオケをそれなりに楽しみ、そして終わると買い物を頼まれているからとゲーセンで遊ぶ誘いを断って商店街に足を進めた。買い物すべき場所は100均、スーパー、衣類、本屋、薬局、雑貨屋──。同級生達と別れてから色々買い物をしたものの、流石に大きなリュックでも入りきらないものは手に持つしかない。買ったのだからそれは仕方ない。

 でも1人で持つ重さなのかな、コレは……。

 本屋と雑貨屋で時間を思いきり使ってしまい、親から『早く帰れ』。兄からは『るー、どこに居るんだ。迎えにいく』と過保護なメールが来てまだ商店街だと返事をした。時刻にして19時を過ぎた夜だと言うのに開いていた古本屋が目に留まり、兄がやって来るまでには時間はまだまだあるので前から欲しかった昔の本のタイトルを思い出した。あったらいいなと言う思いで店の中へと入った。
 それにしてもこんなところに古本屋があったんだ……。商店街にあるなんて知らなかったな。もしかして気づかなかっただけで実は前からあったのかな?
 そして欲しい本を探すもやはり昔過ぎたのか見つからず、でも別個でマイナー過ぎたのか絶版してしまった本を見つけたのでこれはこれで掘り出し物と思い、それを買うことにした。

「おや、いらっしゃい。何て言うか珍しいこともあるものだね」

 珍しい……。つまり久しぶりの来客。お客さんってことなのかな……。会計の合間に会話を店員──いや、店の主らしき男性と少しばかり話をした。この本は小説ではあるのだが色んな武器が出てくるので一部のマニアからは武器図鑑とも言われている。やれ人を何百と切っただのそんな謂れのある武器達の物語。

 読んでみたかったんだよね!




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