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第2章 新生活スタート
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しおりを挟む「あ、あのグレン兄さん……。あの、一緒にその……」
出産という素晴らしいはずの内容は一転して生々しいホラーな話だったのでもう、怖くて怖くて……。
俺、お化け屋敷は平気だけど、夏の怪談話とかホラーは苦手なんです……。
家で観るときはいつも兄に後ろから抱っこされて、クッションもしくはぬいぐるみを前に置いてギュッて抱っこして完全に守られ体制でテレビとか映画を観てました。
今現在、トイレに一人で行けないくらい怖くて仕方ない。
「さぁ、ルカ? ルカは体が弱いのですから明日のためにもそろそろ寝ましょうね? この本は私が片しておきますから……。ふふっ、お休みなさい」
頭を優しく撫でると瞼にキスされた。
いやいやいやいや! やだよ! あんな怖い話を聞いて一人で寝ろってさ!
実話な時点で結構なホラーだったんだよ?
作り話のお菊さんや貞子もビックリだよっ!?
井戸に引きこもっちゃうくらいの恐怖なんだよっ!?
やだやだやだやだぁ!
「さぁ、ルカは子供じゃないんですから一人でちゃんと寝れますよね?」
プルプル震えながら首を横に振るがグレン兄さんは笑顔のまま。
あ、怖くて一人じゃ寝られないの解っててあえて放置してるんだ、これ……。
離れたところでミリアムもクスクス笑っている。
「ふええぇ……。子供。僕、子供で良いから一緒に寝てよぉ~っ!」
「でも、はっきり子供じゃないって言いましたよね、ミリアム?」
「えぇ、そうですね! 少し前というか数秒前にそんなことを仰っておりましたね」
あれれ? 味方がいないよ? どう言うことだ!?
え、ミリアムはなんでそんなニヤニヤした顔してるの?
「うぅ……。グレン兄さん……。僕、怖いお話を聞いたから一人で寝るの怖いよぉ。大人の……。大人のふりをしてたのっ! 僕、まだまだ子供なんだから一緒に寝てよぉ~っ!」
そう言うと「良くできました」と笑顔で頭を撫でられ、体を横にして寝る体勢になってくれた。
時々、時々ですがグレン兄さんは意地悪です。
ストレス発散? ストレス発散なのっ?
「ではお休みなさいませ。グレン様、ルカ様」
ミリアムは明かりを消して部屋を出ていった。
その日見た夢は内容は言わないが最悪だったのは言うまでもない。
◆
国王主催の舞踏会があった翌日。
朝、目を覚ますと色気たっぷりのグレン兄さんが肘枕をして俺の髪を弄って遊んでました。
ちょっとビックリしたけど髪を弄って遊ばれてても俺、怒らないよ!
だって夜中に目が覚めたときは本当にどうしようかと思った。
本当に、本当に! 隣に兄さんが寝ていてくれて良かった……。
この言葉につきる。感謝しかありません。
夜中怖くて思わず毛布に潜りつつギュッと兄さんの胸にすり寄ったら寝惚けてたのか優しく抱き締めてくれました。
お陰で安心して眠れたのです。
でも二回目の夢もなかなか最悪でした。
うぅ……。王様自体がトラウマ。王って聞くだけでも本当にやだ!
そうだ、イ○ポ! 不能になってしまえば良い!
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