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第2章 新生活スタート
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しおりを挟むよし、ひとまず全て綺麗にしてから考えよう。
「クリーン(蒸しタオル)、クリーン(ヘアケア)、ドライ(ナノイオンドライヤー)」
兄さんにもクリーン二種とドライ一種をかけた。だって冬とはいえ、こんなことをしたら体は綺麗にしたいじゃない。絶対に翌朝、起きたと同時にこう……何て言うの? 反省と言うか、後悔と言うか、最悪自己嫌悪? 朝からどんよりとか絶対に嫌でしょ? ただでさえモンスター討伐という団体行動してるのにさ……。それに前は俺も気絶したし、それだけ強制発情は体にも負担があるんだよ……。だから起きてる人がクリーンを使ったら良いだけの話だと思うのよな。
と、いうよりも俺の体もグレン兄さんの体も異常な量の精液で汚れまくっているという……。
何て言うか一生分の精液の量に見えて仕方ないんですけど? え、赤いランプの毒の副作用めっちゃ恐ろしくない? 体の機能どうなってるの? 精液を外に出した途端に瞬時に作られるの? 水分奪われて体が干からびたりしないの? てか、あの恐ろしい量の中に精子ってどんだけいるの? 俺は思わず床の精液の水溜まりを見つめた。
さ、さて、後は水というか精液溜まりにドライ? してから汚れまくった掛布団と毛布にクリーン(除菌洗浄)、クリーン(洗濯物)、ドライ(布団乾燥機)を何度もしまくったのは仕方ない。
「俺の体にめっちゃヒール!」
魔法ってさ、本当にすごいよね! ヒールのお陰で体の疲労は勿論のこと、伸びたというか開ききった肛門も無事に元に治りました。排泄物の垂れ流し人生と言いますか? この若さで第二のオムツ生活スタートじゃなくて本当に、ほんとーにっ! 良かったです……。魔法で治すのにあたってぽっかり開いた所を触ったらそれだけでもビクンッとなり、敏感すぎる自分の体が少し嫌になったのは仕方ないと思われる。嫌になるというよりも呆れるというか──。二回くらいヒールを使うとちゃんと閉じたので安心したのも仕方ない。
いやぁ、本当に魔法ってすごいよね!
自分の着ていた服に袖を通して、乱れているだろう髪も手で撫で付けて身支度を整えると眠っているグレン兄さんに布団をちゃんと掛けてあげた。
だってこの初冬の季節。野原に立てたテントに現在真っ裸なんだもん……。俺との体格差がありすぎて華奢な自分には寝ている兄さんに服なんて着せられないよ。
今日は特別に仄かに温かいイメージで岩盤浴の床にしてるから裸でも風邪はきっとひかないさ! そして男の人は下半身を温めると無精子になるとか聞いたことあるからほんのり温かい程度にしておいたよ! んでもって床は硬いと思ったから掛け布団を半分に畳んだ物を敷いて、寝ている兄さんには悪いがゴロゴロと転がして布団の上に寝かせました。
うん、何て言うか雑な扱いしてごめんなさい。んでもって、グレン兄さんは裸でも絶対に体は丈夫だと思おう! うんうん。大丈夫、大丈夫。
それからテントの中を囲っていた土の壁をテントの入り口部分を取り除くと俺はやっぱり気になる髪を手早く整えてから出ていった。
「ゼノさん、アンドレアさん」
声を掛けるとゼノさんがすまなそうな顔をして俺を見つめていた。あ、言いたいことはわかるけど場所を選んでください──と心で願っていると頭をガリガリしてため息を吐かれた。
「あー、その……なんだ? お疲れさん」
「ルカ、グレンは?」
「兄さんならモンスター討伐で疲れてスヤスヤと寝てますよ」
そんなことを言えば二人に微妙な顔をされた。まぁ、言いたいことはわかるよ。兄さんの体力を知ってる二人が討伐ごときで疲れてスヤスヤ寝るわけがねぇ! って言いたいんでしょ? それくらい理解してますよ。でも誰が聞いてるかわからないんだから可愛い嘘くらいつきますよ。でも声や音はいっさいがっさい漏れなかったでしょ? と言うニュアンスを含めて「静かだったでしょ?」とそう聞けば二人は頷いた。俺の土魔法使って薄いテントの壁に空間を開けて数枚立てたからね……。
「──にしたってお前もそろそろ寝たらどうなんだ? いつもなら寝てる時間だろ? 王都からここまで馬に乗ってきたんだし疲労は相当だろ?」
おや? 寝てる時間ってお子様扱いしたな? しかも律儀に時計まで見せてきましたよ? じっと見れば確かに時刻は夜中の一時を過ぎている。いつも21時になるとそろそろ寝ろとか、パパには絵本読んであげようか? などなど言われる俺には確かに夜更かしな時間ではある。
「俺は一応ヒールをかけたのでまだ動けますよ。僕が寝ないでここに来たのはとりあえず確認したいのが2つありまして、一つは怪我人の有無。残りはゼノさんに頼んだこと……」
すると怪我人はなく、あってもかすり傷程度だそうだ。そして──。やっぱりいました。ゲスな国王のお使いらしき傍観者が……。ゲス国王のお使いは捕らえて森の奥に身動きできないようにロープでキツく縛って捨ててきたそうです。しかもランプと戦った未だに赤と緑の混ざった血が大量に残るその場所に寝転ばして──。
なかなか怖い手段をとっていてドン引きしました。だって血が混ざりあってしかも乾いていないとなると、赤の速効性で気が狂う程の発情と言うか欲情というか、肉欲、淫欲? 縄で動けなくて一人でヤることも出来ないってことでしょ? 落ち着いてきたとしても次は緑の遅効性がやって来る。
うわ、想像したら可哀想になってきた。でもあのゲス国王のお使いなら気にしたら負けな気もしてきた。仲間ではないしね、うんうん。とりあえず二人に俺達が起きて火の番をするからお前は安心して寝ろと言われた。この二人もなかなかの体力の持ち主だよねぇ~……。なので元気には見えるが疲れているだろうし、尚且つ夜通し起きている二人に少しでも楽になるようにヒールをかけようと思ったのだが、馬含めて全員の疲れがとれるように範囲回復のエリアヒールを使った。中級魔法って結構MP消費するんだなぁ……。
今度ヒールで範囲回復できるかやってみるかな……。
「じゃあ、ゼノさんにアンドレアさん。お休みなさい」
「ん、お休み。回復ありがとうな。助かる」
いえいえ~と挨拶をしてからグレン兄さんの寝ているテントへ入り、ジャケットなどの服を脱いで布団に入ると少し寒かったのでグレンさんにピタッとくっついて眠った。兄さん、体温高いから暖かいなぁ……。
翌朝ゼノさんとアンドレアさんが傍観者さんを放置したらしい場所に行くと衣服を全て残して彼の姿だけがなかったらしく、体を縛っていたロープだけを回収するのに全体的にクリーンをかけて持ってきたそうだ。
全裸で一体どこに行ったんだろ……。
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