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第1章 気がつけば異世界
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しおりを挟むグレン兄さんはそんなにオハナシしたくなかったのか騎士団寮へ逃げちゃってこの場には居ないけど、今日の夕食は細やかではあるが俺の歓迎パーティだった。このウォルター家は話を聞くと侍女長──あ、メイドじゃなくて侍女と言うらしいのだが、そんな侍女長と執事はパパの乳姉兄で、グレンさんの魔法の属性が水だったのが判明して影で笑ってたやつら(使用人)を排除した少人数の結束力の高い家族みたいな集団らしい。だから畏まれることなく普通に話もできて楽しいと思った。しかも不本意ながらお兄ちゃんっ子と認められたせいか皆凄く優しい。
俺、この家に来てよかった!
でもグレンさんには後々ちゃんとOHANASHIがあるけどね!
んでもって塩味は本気で遠慮したいけどね!
因みにオハナシがOHANASHIになったのは逃げたので物理攻撃も込みになったからです。
◆
疲れたぁ~……! そんなことを呟きながらボフッとカウチソファーに倒れるとふと立ち鏡が目に留まった。あー、そう言えばこの世界に来てから一度も鏡を見てないや……。あまりにもグシャグシャと頭を撫でられ過ぎて寝癖とか全く気にしてなかったな……。思わず髪の毛を触りながらソファーとお別れをして鏡にフラフラ~っと近寄る。こんな立派なアンティークな鏡……。きっとお高いんだろうな。そして鏡と言えばやるべきは──。
鏡よ鏡よ鏡さん。世界で………………うん?
ゴンッと激突するくらいに顔を近づけた。え、俺、カラコン着けたままだったんか! 違和感無かったからてっきり地目だったのかと……。うわ、こわっ! 半月もカラコン着けたままとかこわっ! 恐る恐ると言うか慌てて何時もの様に取ろうとすると中々取れなかった。うわぁ、俺、一気に取るのが下手くそになってる~っ! 更に慌ててしまってカラコンが取れない。何度も何度もチャレンジするがいっこうに摘まめない。
────え、取れなくない?
この際破れても致し方ない! そんな意気込みでごしごしと目を擦り、目を擦り、目を擦り…………。はっきり言って目が痛い。放置しすぎて眼球にくっついちゃったってことなの? うわ、こわっ! マジで怖い。どうしよう、目の病気になってしまう。いや、半月も放置してたら手遅れな気がするけど……。そして少し離れて自分をちゃんと見つめると何やら俺が可愛らしいような?
──ん? 可愛らしい? んんっ!? ちょ、ま────。
【呼ばれる前に来てみた辞書るだよ~っ! ゲーム、エロかったです。ご馳走さまでした】
特典達は満足するまで遊んでいたらしい。でも俺、エロゲーなんて持ってなかったけどなぁ……。18禁のを15禁にリメイクしたのは持ってたけど……。え? リメイクしたのをデータをもとにリメイクし直して元の18禁にした? え、手を加えて無修正? それはやめておけ。そんなことを脳内で注意するがどこ吹く風で聞き流された。とりあえずさ、辞書る。俺の目、どうなってんの? 聞きたいことを聞くことにした。だって時間の無駄でしょ? だから早く話せと促すと辞書るは不思議そうな雰囲気を醸し出していた。
【え、元々そんな目だったでしょ? 死んだ時にそんな目をしてたじゃない】
あ……俺、今、死んだって言われた……。きっぱり死んだって言われた……。うぅ、目は痛いし、心は痛いし……。どうしたら良い?
【泣けば良いと思う】
お前、冷静だな! てか俺の目、全体的に薄茶なの! 緑のはカラコンなの! 猛抗議をしてみたものの脳内の相手に激怒しても対面していないから相手に伝わる怒りは半減していそうだ。どうしたものか。暫し考えていると辞書るが【あのね?】と声をかけてきたので耳を傾けた。
【あのね? カラコンってなぁーーにぃーー? って言ってるよ?】
──あ、理解した。カラコンという存在を知らないから死んだ時の見た姿をそのまま復元したっぽい。うん、そりゃ剥がれないよね~っ! だってこの緑の瞳がこの世界で生きる俺の裸眼だものね。うんうん、無理矢理取ろうとしたって取れるわけがないし、痛いのも当たり前だわ。でもさ? でもさ? 俺、体がなんだか縮んでないか? 今、気がついたわけだけど……。現在167無さそう……。
【えーっとそれに関してはステータスって言って自身のデータと言うか諸々を確認してくれると説明が早いかな~……】
「ん? ステータス……」
すると憧れのステータスウィンドウが現れた。うっわ、ゲームみたい! 格好いい! ステータスとか…………あ、思い出したわ。この世界、クソゲーのロマファンだった……。その現実に俺は冷静になったのは仕方ないと思われる。
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ルカ・ウォルター 男 レベル20/無職
ランドルフ伯爵家次男(養子) 13(?)歳 2月14日
魔法属性:土(5%)・聖(95%)
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何だかんだと続いていたけど……。今は省略。仕事をしてないし、学校も行ってないから無職は仕方ないが13歳って誰がじゃ! ごるあっ! 俺は17歳じゃーい! しかも(?)ってなんやねん!
【戸籍作ったときに年齢を記入したでしょ? それを提出したからこの世界では性別も年齢も不確定であやふやだったものが色々と確定しちゃったんだよ。はい、ご愁傷様でした~っ! じゃあ、俺行くからね? あとね、その美少女なお顔なら『俺』じゃなくて『僕』の方が絶対に良いと思うよ?】
言い逃げられた。どうする、どうする、どうする、俺~っ! 手を思わず見るが俺には手札がなにもないことに気がついた。とりあえず体が誰かのせいで少し縮んで若返り、瞳は瞳でカラコン概念がない奴が担当した復元により、俺はリアルアースアイになっていた。ぬおぉぉぉぉっ! アースアイは嬉しいけど複雑! 嬉しさが勝つけど身長とか年齢で相殺されている。…………リアルアースアイの件は、まぁいいか。なってしまったのだからそれでいい。あ、そうだ! 話は変わるけど、馬を一人で乗れれば遠乗りとか出来るのかな……。帰るところがないから逃げるつもりはないけど、ストレス解消ならきっとそれしかない気がする。この年齢じゃこの世界の娯楽には手を出せないだろう。まぁ、娯楽なんて無さそうだけどさ──。
「とりあえず明日からの勉強を頑張らなくちゃ、ね……」
その前にム・ゲンに頼んで目薬を出してもらわねば! カラコンを取ろうと頑張ったから目がマジ痛い。頑張って擦ったせいでヒリヒリする。
ム・ゲンさんっ! 俺の薬袋一つ出して~っ!
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