【番外編完結】婚約破棄された令嬢は忘れられた王子に拾われる

雑食ハラミ

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3.帝国編

第34章 王子の試練

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サミュエル・アンダーソンの家の領地は険しい山間の、大地を削り取ったわずかな平地にへばりつくようにあった。王都から電車と車を乗り継いで4時間、マクシミリアンは旅の疲れを癒す間もなく宿に荷物を置いて、早速アンダーソン伯爵に会いに行くことにした。



「サミュエルも一緒に来てくれてありがとう。学校を休ませてしまって申し訳ないけど助かるよ。正直うまく行くかどうか不安で仕方ないんだ」



「自分ができることがあれば何でも仰ってください。でも父はかなり頑固で気難しいので、どれくらいお役に立てるか分からないけれど……」



 サミュエルはマクシミリアンと仲直りして以来、それまでの反動もあるのか尊敬というレベルで慕っていた。ドンは先輩だし、グランはもっと気さくな関係だったが、サミュエルは弟子という言葉がぴったりだった。



「一緒にいてくれるだけで心強いよ。反帝国派の急先鋒がアンダーソン伯爵と聞いているから、彼を説得できれば他の者も追随すると思うんだ。もちろんそこまで単純じゃないかもしれないけど、一番押さえておきたいのが君の父上であることは確かだ」



 マクシミリアンは先だって資料を読んできたが、かなり頭の痛くなる任務だった。反帝国派たちは、帝国の血が半分入った王子が王太子に即位することも反対した。つまりマクシミリアンのことだ。見た目も帝国人寄りの自分が行っただけで機嫌を損ねるのは必至だった。それなのになぜ国王は「お前が適任だ」などと言ったのだろうか。



 サミュエルの案内でアンダーソン邸に向かった。途中は荒涼とした平原が連なっており、寒々しい風が絶えず吹いていた。この辺に生えている植物は王都にあるものと大分種類が異なり、任務がなければ採取して詳しく調べたいところだ。だが今はそれも叶わない。マクシミリアンは自分が随分遠いところまで来たような気持ちになった。



「こんな辺鄙な場所だから、父以外の家族は王都の別宅ばかりいてそんなにこちらに帰ってこないんです。父だけがこの領地にこもっていて、普段何をしているかも分からないんですけど、俺も会うのは久しぶりです」



 敷地の庭は広かったが、余り手入れをされていない印象を受けた。サミュエルは玄関のベルを鳴らし、出てきた執事に取り次いでもらった。中に通された二人は応接室へと向かった。



「ただいま、お父様。久しぶりに帰って来たよ。マクシミリアン殿下も一緒だというのは伝えたよね」



「それは聞いたが許可した覚えはない。いつからお前は帝国の犬になったんだ?そんな半端物の言いなりになって。何のために学園に入らせたと思ってるんだ?」



 マクシミリアンが控えているのも気付かず、アンダーソン伯爵は一方的にまくしたてた。全て予想通りだった。厳しい洗礼を受けたマクシミリアンはおずおずと自己紹介をした。



「お取込み中のところ申し訳ありません。サミュエルの学友のマクシミリアンです。今回は僕が無理にお願いして着いてきてもらいました。サミュエルを叱らないで下さい」



 マクシミリアンが突然やって来るとは思わなかったのだろう、アンダーソン伯爵は流石に驚いたようだが、気を取り直してフンと鼻を鳴らした。



「突然やって来るなんて失礼ではないですかね? 噂によると公務を始められたばかりと聞くが、訪問の基本的なマナーさえ知らないのでは先が思いやられますな」



「お父様! 誰に向かって言ってるの! マクシミリアン殿下だよ!」



「私は殿下とは認めていない。正当な後継者はアレックス殿下のみだ。王室の務めの根幹は血の継承にある。長年戦争を続けてきた隣国の血を入れるわけにはいかないんだ。この方には悪いが私は認めることはできない」



「僕は王太子になるわけではありません。でも父の息子であることは確かです。父と弟を助けたくてこうして仕事をしています。半分帝国の血を持っていても、僕はマール王国人です。国民に忠誠を誓っています」



 一見おとなしそうなマクシミリアンがここまで言うとは思わなかったのだろう。アンダーソン伯爵は目を見張った。しかし、次の瞬間憮然とした表情を作り「何も話すことはない。帰れ」と言った。



「お父様!」



「いいんだ、サミュエル。また明日来ます。失礼します」



 マクシミリアンはそう言うと部屋を出て行った。サミュエルは慌てて後を付いて行った。



「おい、サミュエル。お前はここに残るんじゃないのか」



「殿下の付き添いでやって来たんだよ。家に帰るためじゃない。お父様が意地を張るなら僕もここには残らないよ」



 サミュエルはそれだけ言うと、マクシミリアンの後を追いかけた。予想通り空振りだ。簡単に事が運ぶはずがないのは想定内だった。しかし、どうすれば事態が好転するのか、何の策も持っていなかった。



「取り敢えず今日は宿に帰ろう。僕も疲れたしゆっくり休みたい」



 本当は周りを散策して植物を調べたかった。でもどっと疲れがやって来て、今は一刻も早く横になりたい気分だった。



(これが成功すればクラウディアに会える……でも今はそのことは考えないでおこう。どうなるか分からないから)



 マクシミリアンは眉間を押さえながら目をつぶった。寒い風が心も冷やし、夕闇の中に広がる荒涼とした平原に身体が沈みこまれる感覚がした。



**********



「おはようございます。今日も会いに来ました」



 翌朝、マクシミリアンはサミュエルを伴ってアンダーソン伯爵のもとを訪ねた。しかし、伯爵は会わないの一点張りで玄関から一歩も中へ入れなかった。



「今のままではサミュエル坊ちゃまも家の中に入れるのはまかりならん、とおっしゃってます」



 伯爵の執事は言いにくそうにサミュエルに告げた。



「こっちだって殿下に着いてきただけで、家に帰りたいわけじゃないから別にいいよ」



「せめて話を聞いて欲しいのですが、それも駄目ですか」



 執事は複雑な表情で首を振るだけだった。



「仕方ない、出直そう」



 強引に迫ってどうにかなるものではないから、仕方なく引き返すことになった。とは言えまだ午前中である。今日は既にやることがなくなってしまった。これからどうすればいいのだろう。



「サミュエル、この辺を散歩してみよう」



 ふいにマクシミリアンはサミュエルに提案した。敵を篭絡するにはまず敵を知ることが肝要である。本で読んだ言い回しが突然頭に浮かんだ。家族とも離れここでくらすアンダーソン伯爵は普段どんな景色を見ているのだろう。ふとそんな興味が湧いてきた。



 王都のある平野部よりここの方が標高が高いので、冬の足音が駆け足でやって来ていた。心まで重苦しくなるような曇天が続き、絶えず風が吹きすさんでいる。深緑に覆われた平原がうねうねした稜線を描きながら果てしなく続く。ここにずっといると夏はともかく、冬は憂うつになってしまう気がした。



「この辺は、冬の間はこんなすっきりしない天気が続くんだね」



「はい。ずっと曇りで明るく晴れた日がなくて。それもあって自分含め家族は余りここに近づかないんです」



「お父さんはどうしてここにいるんだろう?」



「さあ? お母様のお墓があるからかなと最初は思ったんですが、亡くなったのは大分前のことだし……」



「サミュエルはお母さんいないの?」



「はい、言ってませんでしたっけ? 小さい時のことなので正直あまり覚えていないんです。でも従兄弟や叔父や叔母が優しくて寂しいことはなかったんですけど」



「その話詳しく聞かせてくれる?」



 ここは元々サミュエルの母の家の領地だったが、25歳の時父と結婚して父が領主となった。父は野心に溢れてはいたが経済的基盤のない弱小貴族だった。それが、田舎でも由緒ある家柄の母と結婚して後ろ盾を得て、中央政府で出世を目指そうとしていた。父はある程度までは順調に出世を重ねていき、そこそこのいい役職に就いた。転機があったのは今の国王が皇太子の時、因縁のあった隣国から妻を娶るという話が出たのがきっかけだった。反帝国派として急先鋒かつ中心人物だった父は激しく抵抗した。その抵抗も空しく、シンシア妃との婚姻が決まった。この一件で反帝国派は影響力をかなり低下させることとなった。更に数年後、シンシア妃が謎の死を遂げた時、当時の国王は真っ先に反帝国派に疑いをかけた。父の必死の弁解も空しく、反帝国派の貴族たちは閑職に追いやられ、不遇のまま一生を終える者も出てきた。アンダーソン伯爵は、これからという時に早くも出世の道を断たれた格好になった。失意真っただ中で家庭を顧みる暇もない時期に母が流行り病で亡くなった。自分が家庭にも気を使っていれば母は亡くならなかったであろうと父は今でも後悔しているのでは、とサミュエルは語った。



 マクシミリアンはしばらく考え込んだのち、サミュエルに尋ねた。



「お母さんのお墓はどこにあるの?」



「この屋敷の裏手にあります。敷地の中に入るなとは言われてませんから行けますよ」



 二人は裏手の敷地に回った。サミュエルの母の墓は先祖の墓の並びにあり、しばらく手入れがされていないらしかった。



「この辺に来る人は誰もいませんからね。時間が経てばこんな感じですよ。正直俺も母の記憶がなくてピンと来てないんです」



「僕もだよ。みんな母上と僕を重ね合わせたり、目と髪の色のせいで外国人呼ばわりされるけど何言われてるのか正直分からない」



 サミュエルは恥ずかしそうに身体をモジモジさせた。彼こそマクシミリアンを目と髪の色で攻撃した一人だった。



「その中に俺も含まれますよね。あの時はすいませんでした。父の言うことを鵜呑みにしていたので。小さいころから帝国の悪口を聞かされていたんです」



「いや、そんな意味で言ったんじゃないんだ。ただ、母上の死は多くの人の運命を狂わせたんだなって。僕は今まで自分の周りの世界しか見てこなかった。自分の立場について深く考えたことなどなかった。ただ、思ってる以上に周りは自分を見ているってことは何となく分かって来たよ……」



 マクシミリアンは淡々と喋ったが、その横顔は寂しそうだった。サミュエルはマクシミリアンと初めて出会った時のことを思い出した。あの時はまだ天真爛漫という言葉がぴったりだった彼も、短期間で随分変わってきた。周りの大人は成長したと評価するのだろうが、あの何も知らなかった頃の彼にはもう戻らないのだと思うと、サミュエルの胸はきゅっと締め付けられた。



「さあ、ここは寒いからもう帰りましょう。温かい飲み物でも飲んで一休みしましょう」



「待って。せっかくここまで来たんだから草むしりでもしておこう。こんな草むらの下に眠ってるんじゃ春が来ても気付かないかも」



 マクシミリアンはそう言うと、その場にしゃがんで雑草を抜き始めた。サミュエルは戸惑いどうすればいいか分からなかったが、意を決したように後に続いた。この下に母がいる。サミュエル自身今まで余り考えたことがなかった。二人は黙々と雑草を抜いた。



「冬だしそんなに生えてないからこんなもんかな。後は花があればいいんだけど……切り花は枯れた後が寂しいから余り好きじゃないんだよな。そうだ、花の種を蒔くのはどうだろう」



 マクシミリアンは王宮の庭でも植物を栽培しており、園芸は得意とするところだった。一旦街まで降りて必要な道具や種を買って来た。その日はそこで終了となったので、次の日また来ることにした。



 次の日もまずは伯爵を訪ねたが、返事は同じだった。ここまでは予想通りだったので、裏手の墓に移動して、持参した園芸用具を取り出して土を耕して肥料をばらまいてから、花の種を蒔いた。それだけでは景色が寒々しいので、結局花屋で切り花を買ってきてお墓にお供えした。



「裏手が騒がしいと思ったらそこで何をやってる!」



 突然の大声に二人は驚いた。アンダーソン伯爵がとうとう気付いて見に来たのだ。サミュエルは慌てて弁解をした。



「俺がいいって言ったんだよ! 屋敷の中は駄目でも敷地までは何も言わなかっただろう!」



「妻の墓参りをしていい許可など与えていない! そもそも何の資格があって地面を荒らしているんだ? 皆を不幸にした張本人のくせに」



「お母様と殿下は何の関係もないだろ! 自分のことに懸かりきりで周りが見えてなかっただけのくせに人のせいにするなよ! 大体お母様を大事に思ってるなら墓がこんなに荒れてるはずないじゃないか!?」



 アンダーソン伯爵ははっと突かれたように立ちすくんだ。更に反論しようとしたが言葉が出てこなかった。



「地面を整地して花の種を蒔きました。今は何もないですが、春になるときれいな花を咲かせると思います。街に出たら偶然アンダーソン夫人を良く知っている方に遭遇して、好きな花を聞いたんです。ちょうど同じ品種の種が売っていたのでそれを蒔きました」



 マクシミリアンはそう言うと一礼をしてその場を去ろうとした。すると伯爵が絞り出すような声で「待ってくれ」と言った。



「どうぞ中へ入ってください。話を聞きましょう」



「でも泥だらけなので出直した方が……」



「そのままで大丈夫です。どうか入ってください」



 マクシミリアンとサミュエルは思わず顔を見合わせた。そして言われた通り屋敷の中へ入って行った。



**********



「正直うまく行くとは思ってなかった。父上に花の種を蒔いたらうまくいきましたって報告するのもどうかと思うよ」



「でも成果は成果ですよ。殿下、おめでとうございます」



 帰りの汽車の中でマクシミリアンとサミュエルは互いの労をねぎらった。結局3日かけて伯爵との話し合いは行われた。そして疑いをかけられた反帝国派の名誉を回復し、国と和解する方向で話を進めることになった。反帝国派の残党を取りまとめる役はアンダーソン伯爵にお願いすることにした。後は父の配下の者が仕事を引き継いでくれるはずである。マクシミリアンは橋渡しをしたところで任務完了だ。



「今回は本当にありがとう。サミュエルがいなかったらうまく行かなかった。お父さんによくあそこまで言えたね」



「俺たちも父と正面から向き合うのを避けていたんです。改まって話をしたのも久しぶりでした。あのお墓を見た時俺たちも父と同罪だなと思って。母のことを忘れていたのは家族全員なんです。だから父ばかり責められる話じゃない」



 サミュエルは鼻の頭を掻きながら言った。彼自身にとっても、父が立ち直ってくれたことが嬉しいようだった。



「それより、これでクラウディア嬢に会えますね。アッシャー帝国へ行けますよ」



「えっ? あっ、そうだった。今まで忘れていたよ」



 マクシミリアンは久しぶりにクラウディアのことを思い出した。それまで彼女を思わない日はなかったが、今回の任務は初めての大きな試練でそれどころではなかった。他のことを考えていたら足元を掬われそうな程のプレッシャーだった。



(そう……か……クラウディアに会えるのか。楽しみだな。でも怖いな)



 別れ際があんな形だったのでどんな反応をされるか分からなかった。もしかしたら既にロジャーに心変わりをしているかもしれない。その時は潔く身を退こう。そう思ったが、彼女のいない未来を想像するなんて怖くてできなかった。



(疲れた……今は取り敢えず休もう……)



 マクシミリアンは目をつぶった。クラウディアが今の僕を見たら何て言うかな、喜んでくれるかなと考えているうちに眠気が襲ってきて、いつのまにか眠っていた。



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