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第32話 ロザリンドの軌跡
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これが本来のリゲルの姿。それは惚れ惚れするほどに真っ白な毛並みのライオンだった。
人型の時はレグルスとは似てないが、獣の姿の彼は神々しさを身にまとい、赤い目をらんらんと輝かせ、王者の風格と神秘的な雰囲気を併せ持っている。純白の体毛はそれ自体が発光しているかのように光を反射させ、目もくらむほどだ。やはり彼もまたタルホディア皇国の血を引くれっきとした第一皇子なのだ。
「ロザリンド、僕たちは下がっていよう」
レグルスがロザリンドの車いすを持って後ろに下がる。一体何が起こるのかと身構えていると、リゲルの体が青白く光り出した。
「私たちは獣の姿の時の方が本来の力を出しやすい。リゲルも例外ではない」
固唾を飲んで見守るしかないロザリンドの耳にレグルスがそっと囁く。リゲルはぼうっとした光をまとったまま、じりじりとカルランス国王ににじり寄って行った。まるで体全体が青白い炎を上げて燃えているようだ。
「これが獣人の本来の姿……」
国王は、自分が追い詰められていることすら忘れ、獣の姿のリゲルに見とれていた。無理もない。その姿は神獣そのもの、普通なら生きている間にそうそうお目にかかれるものではない。どんな事情であれ、貴重な姿を見られたのは確実だ。
「そんなに異能が見たけりゃいくらでも見せてやるよ。こんな忌まわしい呪われた力、誰かにやれるもんならあげたいくらいだ」
リゲルは、人型に戻ってから吐き捨てるように言った。確かに、彼にとっては異能があったところで不幸な目にしか遭っていない。
「でもどうするの? 国王を殺めたら大問題になるわ!?」
「暴力的に解決する訳じゃない。ここはリゲルのお手並みを拝見しよう」
レグルスがそう言う以上、ロザリンドも黙って見守るしかない。兄弟の間で話がついているのだろうか。
「手荒な真似をするつもりはない。ただ、あんたが娘にした仕打ちを知ってもらう」
リゲルがそう言うと、彼らの目の前に立体的な映像が現れた。子供の頃のロザリンドがいる。彼女はそれを見てあっと声を上げた。
「これは私の記憶! でもなぜ彼が知ってるの?」
「これは彼の異能の一つだ。出会った人間の過去を探り出すことができる。あなたもカッサンドラの過去を見たんだろう? それと同じだ」
それは他人の心の中を覗くことができるという意味ではないか。リゲルの前では何も隠せないということだ。その事実にたどり着いて思わず背筋が寒くなる。
「すまない、あなたの心を勝手に覗いてしまって。リゲルの代わりに私が謝る。これから出てくるものは、あなたにとっては嫌な思い出ばかりだ。見る必要はない」
レグルスは後ろから身をかがめると、ロザリンドに覆い被さるように大きな腕で抱きしめ、片方の手で彼女の目を塞いだ。
レグルスの大きな腕にすっぽり包まれ、守られている心地になる。どうしても音は聞こえてくるので、どんな場面か想像はついた。
今この部屋の中では、ロザリンドの記憶が再現されている。王妃が処刑される直前の様子らしく、子供のロザリンドが涙ながらに訴えていた。
「なぜ母上が死ななくてはならないのですか? 無実ならはっきりそう言うべきです!」
「これは私と国王陛下の間で決まったことなの。あなたは何も考えなくていわ。私がいなくなった後も、あなたが困るようにはしないとおっしゃってるから安心して」
しかし、いとも簡単にロザリンドは捨てられた。場面が変わり、どこかの屋敷で大人たちが会話をしている。
「何も火中の栗を拾うことないじゃないか。元王女殿下の称号がついた、どこの馬の骨とも分からぬ子供なんて」
「仕方ないだろ、ここしか行くところないんだから。どっかの寄宿舎にでも放り込んでおけばいいよ」
次は、寄宿舎を出てから最初の仕事をやった頃だ。この時は住み込みの家庭教師をしていた。
「可哀そうな身の上だからお情けで雇ってあげたのに、主人に色目を使うなんて! 母親もそれで死刑になったし血は争えないのね! 早くここから出てお行き! このアバズレ!」
ぴしゃんと頬を叩かれる音が響く。その拍子に、レグルスが彼女を抱きしめる力が強くなった。記憶の中のロザリンドは、片方の頬を真っ赤に腫らしたまま、逃げるように屋敷から出て行った。
次の場面。ラッセル夫人のところで働いていた頃だ。
「ウィザースプーン! 何ノロノロしているの! 馬車の手配はまだ? いつまでもお姫様風情が抜けないんだから! あんたなんてここをクビになったらどこも雇ってくれないいわよ! 娼館に行きたくなければちゃんと働きなさい!」
もう過ぎたことだ。だから心が揺れる必要なんてない。ロザリンドは必死でそう思おうとしたが、耳からの情報だけでも鮮やかに過去の記憶が呼び起こされる。それでも、彼女を傷つけないためにレグルスがしっかり守ってくれていることに大層勇気づけられた。
国王は青ざめた顔をしていたが、目を背けることなくじっと映像を見つめていた。回想が終わり、リゲルが口を開く。
「あんたがずっと目を背けてきたことだ。逃げ切ろうなんて思わない方がいい。自分の罪を刻みつけておけ」
「私にこれを見せた理由は? 個人としての自分と為政者としての自分は別人だ。まさか、これで私の罪悪感をあおって有耶無耶にする気か?」
血の気を失ったままだが、それでも気丈に気を吐く父を見て、敵ながらあっぱれとつい思ってしまう。この時は、レグルスの両手は彼女の肩に置かれていたが、意地を張る国王を目にして、彼女の細い肩をぎゅっと握りしめていた。
「僕を狩るのは国民のためだから正当化されると、つまりこう言いたいのか? 今のはロザリンドの記憶を勝手に覗いたものだ。聞いた話じゃない。その気になれば他人をコントロールしたり洗脳したりもできる。あんたはそんな奴を相手していると言いたいんだよ」
「はっ、こっちだって無策なわけがないじゃないか。それならなぜ何年も外国をたらい回しにされた? 歯向かう力を封じられてきたからだろう? その道具がこの世から消えたから安心してるに過ぎない」
「そうだ。リゲルを奪還するついでに、我々が虱潰しに探して全部壊した。あんなもののせいで、獣人の持つ異能が人間どもにいいように利用されてきた。もう悲しい歴史は繰り返さない」
レグルスが口を挟んだが、国王の余裕は消えていない。ロザリンドはここに来て嫌な予感がした。
「それはこれか? ちょうどいい。本物かどうか確かめてみよう」
国王はそう言うと、懐から赤い石がはめ込まれたペンダントを取り出した。禍々しく光る赤い石にロザリンドは息を飲んだ。
人型の時はレグルスとは似てないが、獣の姿の彼は神々しさを身にまとい、赤い目をらんらんと輝かせ、王者の風格と神秘的な雰囲気を併せ持っている。純白の体毛はそれ自体が発光しているかのように光を反射させ、目もくらむほどだ。やはり彼もまたタルホディア皇国の血を引くれっきとした第一皇子なのだ。
「ロザリンド、僕たちは下がっていよう」
レグルスがロザリンドの車いすを持って後ろに下がる。一体何が起こるのかと身構えていると、リゲルの体が青白く光り出した。
「私たちは獣の姿の時の方が本来の力を出しやすい。リゲルも例外ではない」
固唾を飲んで見守るしかないロザリンドの耳にレグルスがそっと囁く。リゲルはぼうっとした光をまとったまま、じりじりとカルランス国王ににじり寄って行った。まるで体全体が青白い炎を上げて燃えているようだ。
「これが獣人の本来の姿……」
国王は、自分が追い詰められていることすら忘れ、獣の姿のリゲルに見とれていた。無理もない。その姿は神獣そのもの、普通なら生きている間にそうそうお目にかかれるものではない。どんな事情であれ、貴重な姿を見られたのは確実だ。
「そんなに異能が見たけりゃいくらでも見せてやるよ。こんな忌まわしい呪われた力、誰かにやれるもんならあげたいくらいだ」
リゲルは、人型に戻ってから吐き捨てるように言った。確かに、彼にとっては異能があったところで不幸な目にしか遭っていない。
「でもどうするの? 国王を殺めたら大問題になるわ!?」
「暴力的に解決する訳じゃない。ここはリゲルのお手並みを拝見しよう」
レグルスがそう言う以上、ロザリンドも黙って見守るしかない。兄弟の間で話がついているのだろうか。
「手荒な真似をするつもりはない。ただ、あんたが娘にした仕打ちを知ってもらう」
リゲルがそう言うと、彼らの目の前に立体的な映像が現れた。子供の頃のロザリンドがいる。彼女はそれを見てあっと声を上げた。
「これは私の記憶! でもなぜ彼が知ってるの?」
「これは彼の異能の一つだ。出会った人間の過去を探り出すことができる。あなたもカッサンドラの過去を見たんだろう? それと同じだ」
それは他人の心の中を覗くことができるという意味ではないか。リゲルの前では何も隠せないということだ。その事実にたどり着いて思わず背筋が寒くなる。
「すまない、あなたの心を勝手に覗いてしまって。リゲルの代わりに私が謝る。これから出てくるものは、あなたにとっては嫌な思い出ばかりだ。見る必要はない」
レグルスは後ろから身をかがめると、ロザリンドに覆い被さるように大きな腕で抱きしめ、片方の手で彼女の目を塞いだ。
レグルスの大きな腕にすっぽり包まれ、守られている心地になる。どうしても音は聞こえてくるので、どんな場面か想像はついた。
今この部屋の中では、ロザリンドの記憶が再現されている。王妃が処刑される直前の様子らしく、子供のロザリンドが涙ながらに訴えていた。
「なぜ母上が死ななくてはならないのですか? 無実ならはっきりそう言うべきです!」
「これは私と国王陛下の間で決まったことなの。あなたは何も考えなくていわ。私がいなくなった後も、あなたが困るようにはしないとおっしゃってるから安心して」
しかし、いとも簡単にロザリンドは捨てられた。場面が変わり、どこかの屋敷で大人たちが会話をしている。
「何も火中の栗を拾うことないじゃないか。元王女殿下の称号がついた、どこの馬の骨とも分からぬ子供なんて」
「仕方ないだろ、ここしか行くところないんだから。どっかの寄宿舎にでも放り込んでおけばいいよ」
次は、寄宿舎を出てから最初の仕事をやった頃だ。この時は住み込みの家庭教師をしていた。
「可哀そうな身の上だからお情けで雇ってあげたのに、主人に色目を使うなんて! 母親もそれで死刑になったし血は争えないのね! 早くここから出てお行き! このアバズレ!」
ぴしゃんと頬を叩かれる音が響く。その拍子に、レグルスが彼女を抱きしめる力が強くなった。記憶の中のロザリンドは、片方の頬を真っ赤に腫らしたまま、逃げるように屋敷から出て行った。
次の場面。ラッセル夫人のところで働いていた頃だ。
「ウィザースプーン! 何ノロノロしているの! 馬車の手配はまだ? いつまでもお姫様風情が抜けないんだから! あんたなんてここをクビになったらどこも雇ってくれないいわよ! 娼館に行きたくなければちゃんと働きなさい!」
もう過ぎたことだ。だから心が揺れる必要なんてない。ロザリンドは必死でそう思おうとしたが、耳からの情報だけでも鮮やかに過去の記憶が呼び起こされる。それでも、彼女を傷つけないためにレグルスがしっかり守ってくれていることに大層勇気づけられた。
国王は青ざめた顔をしていたが、目を背けることなくじっと映像を見つめていた。回想が終わり、リゲルが口を開く。
「あんたがずっと目を背けてきたことだ。逃げ切ろうなんて思わない方がいい。自分の罪を刻みつけておけ」
「私にこれを見せた理由は? 個人としての自分と為政者としての自分は別人だ。まさか、これで私の罪悪感をあおって有耶無耶にする気か?」
血の気を失ったままだが、それでも気丈に気を吐く父を見て、敵ながらあっぱれとつい思ってしまう。この時は、レグルスの両手は彼女の肩に置かれていたが、意地を張る国王を目にして、彼女の細い肩をぎゅっと握りしめていた。
「僕を狩るのは国民のためだから正当化されると、つまりこう言いたいのか? 今のはロザリンドの記憶を勝手に覗いたものだ。聞いた話じゃない。その気になれば他人をコントロールしたり洗脳したりもできる。あんたはそんな奴を相手していると言いたいんだよ」
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「それはこれか? ちょうどいい。本物かどうか確かめてみよう」
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