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第24話 遠方からの使者
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(陛下にお会いするのが気まずい……。あんな話を聞いた後では)
リゲルと会った翌朝、ロザリンドは目が覚めてもなかなか布団から出られず、ごろごろと寝返りを繰り返していた。
カッサンドラの死の真相。結局核心的なことは分からずじまいだった。カッサンドラの体験を追体験していると言っても断片的なものだけで、リゲルによって恣意的に選択されている可能性もある。しかし、外から様子を観察したのではなく、彼女の中に入って感情をダイレクトに受け取った体験は、ロザリンドに強烈な印象を残した。あんなことができるなんて、やはりリゲルはただ者ではない。ますます彼という人が分からなくなる。
特に印象的だったのは、リゲルと目が合った時の、全身が焼き尽くされるような感情のうねりだった。あの感覚は何だろう? あれはまるで……。
(恋みたいだった。誰かに強い思いを抱いた時の気持ちに近かった)
ロザリンド自身は、あそこまでの感情のうねりに巻き込まれたことはない。レグルスに対してすら、急激な感情の起伏は生じなかった。彼の人となりを知ったことによって、徐々にじわじわと気持ちを育てていったという方が正しい。ロザリンド自身が激情に突き動かされるタイプではないのだろう。他人の体験を通じて初めての感覚を味わうというのは不思議な感じがした。あのような心の動きをする人もいるのかと、新たな発見をした気分だ。
(ということは……、相談に乗ってもらううちカッサンドラ様はリゲル様を好きになってしまったってこと!?)
あの感情の起伏のもたらす意味に気付いて、ロザリンドは血の気が引いた。それまでのレグルスとの絆だって嘘偽りはなかったはずなのに。結局あの後カッサンドラはどうなったのだろう? 知りたいのは、あの後どういう転機を辿ったのかということなのだが。
「結局肝心なことは何一つ分からないじゃない! 余計謎が深まっただけで!」
ロザリンドはたまらず声に出して言った。しかし、これで余計レグルスに質問しづらくなってしまった。「夫婦の間で隠し事はしないようにしよう」と常々言われているのに、隠し事をしたくないのにせざるを得ない状況は非情に気まずい。
これからどんな顔をして彼に会えばいいのだろう。レグルスは優しいから、自分を丁重に扱ってくれる。カッサンドラの影を微塵も感じさせず振る舞う。しかし今でも、心の中では彼女を忘れられないのかもしれない。
ロザリンドはハンナにも相談できず、一人悶々と悩むしかなかった。浮かない表情の彼女を見て、周囲は心配して色々と声掛けしてくれるが、何でもないと否定するしかない。
レグルスがロザリンドのところにやって来たのは、その日の夕方のことだった。
「ここ数日会えなくてすまない……。特に何もなかったかい?」
「え、ええ。元気に過ごしておりました」
二人ともこれが嘘だと分かっている。しかしどちらもそれを指摘できない。少し気まずい間が空いてから、レグルスが口を開いた。
「ぜひ知らせたいことがある。私たちの結婚式が無事開催されることになった。期日も正式に決定した。今日はそれを伝えに来たんだ」
本来だったら飛び上がって喜びそうなニュースである。この時もロザリンドの胸はどくんと跳ねたが、純粋な喜びのなかに何か引っかかるものを感じずにはいられなかった。この違和感の正体に気付いてないふりをして、精いっぱいの笑顔を作る。
「まあ、そうでしたの。わざわざ教えに来て下さってありがとうございます。私も嬉しいです」
自分で言ってるそばから嘘であることに気付いてしまう。それはレグルスも同様のようだ。
「喜んでくれてよかった。直接伝えに来た甲斐があったと言うものだ」
彼もまた、本心から言っていないのが丸分かりだ。二人とも互いの嘘に気付いているのに、それを指摘できない奇妙な事態になった。何という茶番だろう。待ちに待った結婚式の話を聞いて、こんな空しい気持ちになるなんて予想してなかった。
レグルスは、この後用事があると言って足早に去って行った。思わずホッとしてしまう自分がいる。何でこうなってしまったの? ロザリンドは、泣きたくなるのを必死でこらえた。
(大丈夫。こんなのずっと続かないわ。きっと時間が解決してくれるはず)
何度も自分にそう言い聞かせ床に入る。ハンナは、自分より喜びを露わにしてしきりにおめでとうございます! と言ってくれるが、相手をしているのも辛くなって早々に寝ることにした。ベッドに潜っても目がらんらんとしたままだ。結局、やっと寝付けたと思ったのも束の間、うとうとするうちに夜が明けて朝を迎えた。
「ロザリンド様、お手紙が届いています」
その日の昼過ぎ、ロザリンドはハンナから一通の手紙を受け取った。差出人は書いておらず、手掛かりとなる情報も見当たらない。訝しながら開封し、中身を確認するとさっと顔色が変わった。
これは何!? どうしてこのタイミングで……? 訳が分からないし、罠である可能性が高い。普通なら無視するべきではあるが、相手の意図が分からないのも気持ち悪い。敢えて向こうの懐に飛び込んでみようか。ロザリンドは、喉がカラカラになりながらしばらく逡巡した後、声を振り絞ってハンナに告げた。
「悪いけど今から外出するから用意を手伝ってちょうだい。これから行く場所について言っておきたいことがあるの。もし、夜になっても私が帰って来なかったらすぐに陛下に知らせて」
「お一人でどこへ行かれるのですか? 結婚式の日取りが決まったばかりと言うのに、どうか危ないことはなさらないでください!」
ハンナの言うことはもっともである。式の日取りが正式に決まった今、ロザリンドの身柄はより丁重に扱われることとなる。軽はずみな行動は許されない。しかし。
「ごめんなさい。頼むから言うことを聞いて。特に心配するようなことはないから、わがままを聞いてちょうだい」
ロザリンドは、有無を言わさず準備を整えると馬車を手配して、目的の場所へと向かった。
**********
手紙には、跡を着けられないように詳細な移動方法が指示されていた。従うのは癪だが、途中までは相手に従っておくほうがいいだろう。ロザリンドは、街中で馬車を停めさせ、指定の待ち合わせ場所に向かった。
そこは、首都でも評判のカフェだった。街中を散策したことのないロザリンドにとっては全てが新鮮な光景で、特別な事情がなければ楽しんでいただろう。だがあいにく、そんな余裕はない。店員に誘導され奥まった席へ進むと、見覚えのある姿がそこにあった。
「エド・ターナーさん。またお会いするとは思いませんでした」
そこに座っていたのは、先日使節団として面会したエド・ターナーだった。前会った時は人好きのする笑顔を振りまき、華やかな雰囲気があったが、今回は黒一色の仕事着に身を包み、厳粛な面持ちをしている。やはり、この人は、時と場所を選んで様々な顔ができる人だ。
「わざわざご足労をおかけして申し訳ありませんでした。不躾な手紙にさぞ驚いたことだろうと思います。本当に来て下さるかどうか半信半疑でした」
「本当にびっくりしました。一体なぜ、あんな手紙をよこしたのですか?」
「あなたにお会いしたい人がカルランスから来ています。私はその仲介を頼まれました」
「私に会いたい人とは誰ですか? カルランスには友人知人はおろか、親類縁者すらいないと言うのに?」
「親類なら一人いるでしょう。国の頂点に立つ人が」
それを聞いたロザリンドは顔色をさっと変えた。まさか、いやそんなことがあるはずがない。
「何をおっしゃるの? 私をここに来させるために、便宜上親子関係を復活させただけじゃないですか?」
「私は今回、その方の依頼で仲介役を務めているのです」
エドはそう言うと、懐から大きなメノウがはめ込まれた指輪を取り出してテーブルに置いた。それを見て、ロザリンドは思わずはっと息を飲む。それを見慣れていたのは10才までだったが、今でも見間違えようがない。カルランスの国王に代々受け継がれる国宝の指輪だ。
「私がこの指輪を託された意味がお分かりでしょう。国王陛下は密かにタルホディア入りして、とある貴族の別荘に身を寄せています。これもあなたに会う必要が出たからです。そこで私を仲介者にして、信用の証として指輪をお預けになりました。どうか国王陛下に会っていただきたい。お願いします」
「一体何のために危険を冒してまでこの国に来たのです? 結婚式があっても参列しないとおっしゃっていた方が?」
「それは……、私は使者なのでそれを伝える権限がありません。直接国王陛下から聞いていただく以外には」
どこまで行っても相手の真意が見えないことに、ロザリンドはだんだん苛立ちを隠せなくなってきた。どうしてここに来てカルランスが関与してくるのだろう? 獣人の国と見下していたくせに、今更会いに来るなんて気味が悪い。
「これだけの情報で私がほいほい着いて行くと思ったんですか? ここに来るだけでも相当な覚悟が必要だったのに、何も疑わずに得体の知れない場所に行けと? 私に何のメリットがあると言うんです?」
エドは、わずかに眉間にしわを寄せ、苦しそうな顔になった。その表情のままじっと考え込んでいる。やがて、ロザリンドの目を見て静かな声で言った。
「分かりました。確かにあなたのおっしゃることはごもっともです。では、私から言えることをお伝えしましょう。国王陛下は、今後の展開によっては、タルホディアに戦を仕掛けることを想定しています。現段階ではその限りではありませんが、もし本当に戦になったら、あなたの立場は微妙なものになるでしょう。おいそれと対話もできなくなる。そうなる前に会っておきたいのではないでしょうか?」
リゲルと会った翌朝、ロザリンドは目が覚めてもなかなか布団から出られず、ごろごろと寝返りを繰り返していた。
カッサンドラの死の真相。結局核心的なことは分からずじまいだった。カッサンドラの体験を追体験していると言っても断片的なものだけで、リゲルによって恣意的に選択されている可能性もある。しかし、外から様子を観察したのではなく、彼女の中に入って感情をダイレクトに受け取った体験は、ロザリンドに強烈な印象を残した。あんなことができるなんて、やはりリゲルはただ者ではない。ますます彼という人が分からなくなる。
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(ということは……、相談に乗ってもらううちカッサンドラ様はリゲル様を好きになってしまったってこと!?)
あの感情の起伏のもたらす意味に気付いて、ロザリンドは血の気が引いた。それまでのレグルスとの絆だって嘘偽りはなかったはずなのに。結局あの後カッサンドラはどうなったのだろう? 知りたいのは、あの後どういう転機を辿ったのかということなのだが。
「結局肝心なことは何一つ分からないじゃない! 余計謎が深まっただけで!」
ロザリンドはたまらず声に出して言った。しかし、これで余計レグルスに質問しづらくなってしまった。「夫婦の間で隠し事はしないようにしよう」と常々言われているのに、隠し事をしたくないのにせざるを得ない状況は非情に気まずい。
これからどんな顔をして彼に会えばいいのだろう。レグルスは優しいから、自分を丁重に扱ってくれる。カッサンドラの影を微塵も感じさせず振る舞う。しかし今でも、心の中では彼女を忘れられないのかもしれない。
ロザリンドはハンナにも相談できず、一人悶々と悩むしかなかった。浮かない表情の彼女を見て、周囲は心配して色々と声掛けしてくれるが、何でもないと否定するしかない。
レグルスがロザリンドのところにやって来たのは、その日の夕方のことだった。
「ここ数日会えなくてすまない……。特に何もなかったかい?」
「え、ええ。元気に過ごしておりました」
二人ともこれが嘘だと分かっている。しかしどちらもそれを指摘できない。少し気まずい間が空いてから、レグルスが口を開いた。
「ぜひ知らせたいことがある。私たちの結婚式が無事開催されることになった。期日も正式に決定した。今日はそれを伝えに来たんだ」
本来だったら飛び上がって喜びそうなニュースである。この時もロザリンドの胸はどくんと跳ねたが、純粋な喜びのなかに何か引っかかるものを感じずにはいられなかった。この違和感の正体に気付いてないふりをして、精いっぱいの笑顔を作る。
「まあ、そうでしたの。わざわざ教えに来て下さってありがとうございます。私も嬉しいです」
自分で言ってるそばから嘘であることに気付いてしまう。それはレグルスも同様のようだ。
「喜んでくれてよかった。直接伝えに来た甲斐があったと言うものだ」
彼もまた、本心から言っていないのが丸分かりだ。二人とも互いの嘘に気付いているのに、それを指摘できない奇妙な事態になった。何という茶番だろう。待ちに待った結婚式の話を聞いて、こんな空しい気持ちになるなんて予想してなかった。
レグルスは、この後用事があると言って足早に去って行った。思わずホッとしてしまう自分がいる。何でこうなってしまったの? ロザリンドは、泣きたくなるのを必死でこらえた。
(大丈夫。こんなのずっと続かないわ。きっと時間が解決してくれるはず)
何度も自分にそう言い聞かせ床に入る。ハンナは、自分より喜びを露わにしてしきりにおめでとうございます! と言ってくれるが、相手をしているのも辛くなって早々に寝ることにした。ベッドに潜っても目がらんらんとしたままだ。結局、やっと寝付けたと思ったのも束の間、うとうとするうちに夜が明けて朝を迎えた。
「ロザリンド様、お手紙が届いています」
その日の昼過ぎ、ロザリンドはハンナから一通の手紙を受け取った。差出人は書いておらず、手掛かりとなる情報も見当たらない。訝しながら開封し、中身を確認するとさっと顔色が変わった。
これは何!? どうしてこのタイミングで……? 訳が分からないし、罠である可能性が高い。普通なら無視するべきではあるが、相手の意図が分からないのも気持ち悪い。敢えて向こうの懐に飛び込んでみようか。ロザリンドは、喉がカラカラになりながらしばらく逡巡した後、声を振り絞ってハンナに告げた。
「悪いけど今から外出するから用意を手伝ってちょうだい。これから行く場所について言っておきたいことがあるの。もし、夜になっても私が帰って来なかったらすぐに陛下に知らせて」
「お一人でどこへ行かれるのですか? 結婚式の日取りが決まったばかりと言うのに、どうか危ないことはなさらないでください!」
ハンナの言うことはもっともである。式の日取りが正式に決まった今、ロザリンドの身柄はより丁重に扱われることとなる。軽はずみな行動は許されない。しかし。
「ごめんなさい。頼むから言うことを聞いて。特に心配するようなことはないから、わがままを聞いてちょうだい」
ロザリンドは、有無を言わさず準備を整えると馬車を手配して、目的の場所へと向かった。
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手紙には、跡を着けられないように詳細な移動方法が指示されていた。従うのは癪だが、途中までは相手に従っておくほうがいいだろう。ロザリンドは、街中で馬車を停めさせ、指定の待ち合わせ場所に向かった。
そこは、首都でも評判のカフェだった。街中を散策したことのないロザリンドにとっては全てが新鮮な光景で、特別な事情がなければ楽しんでいただろう。だがあいにく、そんな余裕はない。店員に誘導され奥まった席へ進むと、見覚えのある姿がそこにあった。
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そこに座っていたのは、先日使節団として面会したエド・ターナーだった。前会った時は人好きのする笑顔を振りまき、華やかな雰囲気があったが、今回は黒一色の仕事着に身を包み、厳粛な面持ちをしている。やはり、この人は、時と場所を選んで様々な顔ができる人だ。
「わざわざご足労をおかけして申し訳ありませんでした。不躾な手紙にさぞ驚いたことだろうと思います。本当に来て下さるかどうか半信半疑でした」
「本当にびっくりしました。一体なぜ、あんな手紙をよこしたのですか?」
「あなたにお会いしたい人がカルランスから来ています。私はその仲介を頼まれました」
「私に会いたい人とは誰ですか? カルランスには友人知人はおろか、親類縁者すらいないと言うのに?」
「親類なら一人いるでしょう。国の頂点に立つ人が」
それを聞いたロザリンドは顔色をさっと変えた。まさか、いやそんなことがあるはずがない。
「何をおっしゃるの? 私をここに来させるために、便宜上親子関係を復活させただけじゃないですか?」
「私は今回、その方の依頼で仲介役を務めているのです」
エドはそう言うと、懐から大きなメノウがはめ込まれた指輪を取り出してテーブルに置いた。それを見て、ロザリンドは思わずはっと息を飲む。それを見慣れていたのは10才までだったが、今でも見間違えようがない。カルランスの国王に代々受け継がれる国宝の指輪だ。
「私がこの指輪を託された意味がお分かりでしょう。国王陛下は密かにタルホディア入りして、とある貴族の別荘に身を寄せています。これもあなたに会う必要が出たからです。そこで私を仲介者にして、信用の証として指輪をお預けになりました。どうか国王陛下に会っていただきたい。お願いします」
「一体何のために危険を冒してまでこの国に来たのです? 結婚式があっても参列しないとおっしゃっていた方が?」
「それは……、私は使者なのでそれを伝える権限がありません。直接国王陛下から聞いていただく以外には」
どこまで行っても相手の真意が見えないことに、ロザリンドはだんだん苛立ちを隠せなくなってきた。どうしてここに来てカルランスが関与してくるのだろう? 獣人の国と見下していたくせに、今更会いに来るなんて気味が悪い。
「これだけの情報で私がほいほい着いて行くと思ったんですか? ここに来るだけでも相当な覚悟が必要だったのに、何も疑わずに得体の知れない場所に行けと? 私に何のメリットがあると言うんです?」
エドは、わずかに眉間にしわを寄せ、苦しそうな顔になった。その表情のままじっと考え込んでいる。やがて、ロザリンドの目を見て静かな声で言った。
「分かりました。確かにあなたのおっしゃることはごもっともです。では、私から言えることをお伝えしましょう。国王陛下は、今後の展開によっては、タルホディアに戦を仕掛けることを想定しています。現段階ではその限りではありませんが、もし本当に戦になったら、あなたの立場は微妙なものになるでしょう。おいそれと対話もできなくなる。そうなる前に会っておきたいのではないでしょうか?」
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