【完結】忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される

雑食ハラミ

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第17話 カルランスの使節団

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 執務室空間では、フェイクが逃げ惑っていた。

 部下天使たちは、武装をすべて使って抗戦しているが戦力が足りない。
 どういう事だ!
 なぜ!執務室空間の前に張ってある結界をすり抜けて、邪神共が進攻してきた?

 フェイクの中の人格達は混乱した。
さっぱりわからない。
結界を何度も張り直したが、全く意味がない。
 迫りくる部下バッタ100万匹に部下イナゴ100万匹が、ついに執務室前の扉を破壊した。
 火炎放射器をぶっ放して対応する部下天使達に、防御を任せて神託を地上に降ろしまくる。
 火力制限なんてつけない!早く対応させないと!
 地上の戦いに目をそらせて、邪神達から逃げないといけない。

 だが、フェイクは地上のガス王国貴族の軍が邪神軍団達に負けて新生ガス王国を頼って行ったが日頃の行いが悪過ぎるのと、ラッド国王に敵対していたので援助が得られなかったのを、これまで部下の報告なんて聞き流していたが、初めて真剣に聞いて神託の内容を変えた。

「世界が滅びるから、冒険者カザトに邪神を討伐されろ!」

 だが、いくら聖女達に神託をおろしても、聖女達が司祭達が牧師達が全く動かない。

 焦るフェイク!

 部下天使達が、火炎放射器でイナゴ達を焼いた残骸が地上に落ちて行くのが見える。
部下達の報告で、既に100万を越えて500万のイナゴが来ていた。

バッタは?
 げ?!
 別の出入り口めがけて、突っ込んで来た。
部下天使達が、火炎放射器を持って土嚢を積み防衛線を張った。

クソ!

ババババババババ!
 なんだこの音は?

 黒い大軍が来た!
 通称・G! 邪神部下ゴキブリの大群だ。
 奴らが、上部出入り口をめがけてやって来る。
 そして、空を駈け上がって来る何かの茶色い塊がやって来た。
 ねずみ(部下ラット)だ!
 奴らは、執務室空間の非常脱出口を狙って来たのだ。
 そして、パシリ1号を戦闘にあの召喚した下僕勇者たちが、オークキングとなってオーク軍団を引き連れて透明な階段を登ってやってきたのだ!

 悪夢だ!
 逃げる場所がない!
 逃げる出入り口がすべて封鎖された。

 あ!そうだ!私だけが知っている亜空間の非常口を使って、戦闘は部下天使に任せて逃げよう!
 このとき、フェイクはもっと真面目に考えるべきであった。
 なぜ、フェイクの500倍強くても許可が無いと入れない執務室空間の結界を、やすやすと突破して攻めてきたのかを、もっと真面目に考えるべきであった。

 だが、そんなに邪神達は甘くなかった。
 執務室空間を球場に包囲したのだ。
 まるで示し合わせたように各エリアに別れて日頃は、組むことなんてしない邪神達がまるで作戦実行しているかのように包囲したのだ!

 そしてその包囲隊を指揮する、各邪神軍から一体の主級邪神が空間魔法でフェイクの逃走切り札の可変型亜空間の非常通路を遮断してしまった。

フェイク内部全ての王女王妃
「な!なにーーーーーー!どういうことよ!どういうことなのよ!ここまでする?
 まるで私達が、完全に狙われているみたいじゃない!」
 
 部下天使からマシンガンを持たされた。
部下天使
「現実逃避してないで、通信室を取り返さないと、神託すら降ろせませんよ!」

フェイク内部全ての王女王妃
「しまった、逃げるつもりであそこの警備をおろそかにしていた。」

 本音が声に出ていたフェイク。
 白い目で部下天使達から見られる。
 しかし、プライドレベル高さだけは東京スカイツリーなんて超えてしまうフェイクには、そんな事気にしない。

 もっと自分の職務を忠実に熟す事に、そのプライドを維持する精神力を流し込めたら、たとえ魂の構成が不正でも正式な管理者神になる道が開けたのに、やはり狂った廃レベルなプライドがそうさせないのである。

 おい!誤字だぞ。
 ハイレベルのハイが、産業廃棄物の廃だぞ?という読者様。
 高いを通り越して廃人レベルの狂った領域だと言う事で、廃人の廃の廃レベルです!

フェイク内部全ての王女王妃
「チキショー!」
ドドドドドドドドドドドドドドド!
 マシンガンを叫びながら撃つフェイク。

 ふつうマシンガンは、反動が凄くてしかも弾丸なんて真っ直ぐ飛ばないらしいのだが、なんと2~3発撃っただけですぐに修正して、フェイクは全ての巨大イナゴの眉間にヒットさせてぶっ殺していく。

 ハァ??何それ?
 部下天使達は、びっくりする。
 そう!フェイクは元々科学大国の王妃と王女なのである。殺しの教育も受けていた。
 核爆弾のボタンしか持たないなんて事は無い。
 マシンガン、ロケットランチャー、戦車、音速戦闘機に、高速UFOや、ビームサーベルなんてすべて使えるのだ。

 特にスナイパーライフルを使わせたら2000m射撃競技という種目がもし、あるなら満点を叩き出す能力を持つ者が王女達の中に2人もいるのだ。

フェイク内部全ての王女王妃
「マガジンがない!その銃をよこせ!ウラーーーーーー!死ねやコラーーーーーー!」

 とても、おしとやかな王女達の集合体とは思えない。

 たった100発の弾丸で通信室を取り戻したフェイクは、トイレに行きたいから邪神の部下ラットを狙撃しながら、トイレに急ぐ。
 なんと、あと1時間で陥落との状態から執務室の主要な場所を取り戻して、武器も取り戻した。

「こいつ、日頃から真面目に働けよ!」という、部下達からのツッコミの視線を無視してフェイクは通信室に一時間おきに聖女や、司祭や牧師をノイローゼで殺すつもりで神託をおろし始めたのである。

 そして、モールス信号表を見て片手でずっとどこかに救難信号を打っていた。
 全ての顔が鬼気迫る顔をしたフェイクが、作業に没頭する。



その頃、邪神イナゴの拠点の城では。

邪神イナゴ
「戦況の報告をしてくれ!」

部下イナゴクイーン1(元ブレーダーの母親)
「陛下!フェイクは、マシンガン乱射して押し返してきたらしいのです。」

部下イナゴクイーン2(元ブレーダーの祖母)
「戦線が押し返されました。自爆隊の突入準備はできています。」

 自爆隊は、自爆したあとすぐに魂と砕けた体がが邪神イナゴの元に戻って来て、すぐに復活するという、厄介な部隊である。

邪神イナゴ
「兄貴達も来てくれたな。ククククク、フロンターレの王女共!まずは積年の恨みの利子を払ってもらおうか!」

 邪神イナゴの兄弟たちが、次々と降臨していた。
 30体いる殺人と人の不幸が大好きだった元人間のイナゴクイーンたちが生む特大卵に降臨してくる邪神イナゴの兄弟達とジェネラル以上のクラスのイナゴが続々と増えていったのである。
 あまりにも、オーバーパワー!
 フェイクをぶっ殺すのに有り余る戦力!
 だが、全く邪神イナゴの顔には余裕が無かったのだ。

 それは、他の邪神達も同じ顔をしていた。
 どういうことなのだろうか?

つづく

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