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第21話 王侯貴族の陣取りゲーム
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「で、俺を呼んでどうするつもり? ロザリンド様のためなら何でもやるけどさ?」
「ちょっと、ご本人がまだいらっしゃらないからって、馴れ馴れしい口聞くんじゃないわよ。私だって怒ったら怖いんですからね」
「ごめんごめん。ここに来るといつもおいしいお菓子貰えるからつい気が緩んじゃって」
「このお菓子だって、元々はロザリンド様に献上されたものなのよ。ロザリンド様ったら太るのを気にして余りお召し上がりにならないのよ。何でも、ドレスが着られなくなったら困るからって。あんなに細いんだから、むしろもっと食べなきゃ駄目なのに」
「俺でよければいくらでも食べられるから、いつでも呼んでちょうだい。食べた分の働きもするからね」
口の減らない弟のようだと思いながら、ハンナはため息をついた。ロザリンドの指示で先日知り合ったケビンを呼び寄せたのだ。
「ごめんなさい、遅くなってしまって。ケビンはもう来ていたのね。調べものをしてたら遅くなっちゃって」
「気にしなくていいですよ。ここは居心地いいし、お菓子もたらふく……。いてっ! げんこつすることないじゃん!」
ケビンが余りに調子に乗るものだから、ハンナにげんこつをおみまいされてしまった。それを見てロザリンドは思わず吹き出してしまう。
「仕事の時は緊張するだろうから、ここではリラックスして構わないのよ? 私もずっと人の下で働いていたから分かるわ」
ケビンの目には、ロザリンドは申し分ない優雅な貴族令嬢に見えるのに、祖国では苦労していたと聞いた時は驚いた。こんな素直で素敵な人を虐める人間なんているのだろうか。でも、素直だからこそ付け込まれるのかもしれない。
「ロザリンド様、一体何の調べものをしてたんです? 家来にお任せしてもいいのに」
「強硬派と融和派がどれくらいいて、どのように分布しているかを調べたのよ。こういのは、自分で調べる方が理解しやすいから。アシモフ夫人に聞いたり、レグルス陛下にも尋ねたりして、大体把握したわ」
ロザリンドはテーブルの上に一枚の紙を広げた。ハンナとケビンは、その紙を覗き込んだ。主な貴族の家を融和派、強硬派、中立派に分類した表だ。ロザリンドはこれを調べていたのだ。
「全体の割合からすれば、融和派の方が多いのね。強硬派が3割、融和派が6割、どちらにも属さない中立派が1割と言ったところかしら。アシモフ夫人は1割の中立派に入るのね。強硬派は、レグルス陛下にも否定的だったりするの?」
「そこまでではないと思います。即位したばかりの頃は、今より風当たりが強かったようですが、実績を積み上げて実力でねじ伏せたと言うか……。そんな感じですかね」
ハンナの説明をロザリンドは頷きながら聞いた。他で聞いた話と一致する。
「興味深いのは、強硬派の中にサザーランド家があることね。レジーナ嬢のお家は強硬派だったのね。それなら、カッサンドラ様のことも批判的なはずなんだけど。何があったのかしら?」
「あら、確かにそうですね。ロザリンド様に対する対応は矛盾しないけど、どうしてカッサンドラ様とは仲が良かったんですかね?」
ハンナも不思議そうに首をひねる。今度は、ロザリンドは、ケビンの方を向いて彼に尋ねた。
「ねえ、ケビン。ここに書いてあるお家の方と繋がりはある? 直接じゃなくても他人を介してアプローチできる方法があればいいんだけど?」
「俺一人だと限りがあるけど、仲間に協力してもらえば大体のところはカバーできますよ。何をすればいいんですか?」
「また噂を流して欲しいの。強硬派の家には、私が融和派を取り込んで強硬派を排除しようとしてるって。融和派の家には、私が強硬派を丸め込もうとしてるって。お互い反対の噂を流してちょうだい。今度私が主催のお茶会を開こうと思うの。そこには強硬派と融和派から招待客を選ぶわ。噂を流された方は、危機感を持って出席しなければと思うはず。そうそう、サザーランド家は絶対に外さないでね。レジーナ嬢ともう一度お話がしたいの」
「ロザリンド様……、一体どんなお考えで?」
「ごめんね、ハンナ。うまく行くか自信がないからまだ全容は話せないの。アシモフ夫人と相談して決めたんだけど、そんな首尾よく成功するか私自身分からないから。ただ、うまくいけば陛下を後押しする材料にはなるはず」
自分でも半信半疑のロザリンドは、胸の前で両手を組みながらハンナに説明した。アシモフ夫人もお茶会に一緒に出てくれるのが心強いが、いざという場面は自分で頑張らないといけない。貴族社会がどういうものか経験に乏しいロザリンドにとっては無謀とも言える挑戦だ。
招待客を選んで、招待状を送り、お茶会のコンセプトを決めて実際に開催するまで一カ月余りを要した。こうしてロザリンドの名のもとに開かれたお茶会は、皇帝の婚約者が初めて開催するものとして注目を浴びることとなった。招待状を出した家は大体来ているところを見ると、ケビンに流してもらった噂は上手に作用しているようだ。ロザリンドに好意的な者も、敵視する者も、彼女が相手方の陣営に行かれるとなると困るらしい。いい緊張感だ。
(そしてレジーナ嬢も来ているわね……。本当の目的はあなただから来てもらってよかったわ)
誰がどの席に座るかというのも、今回は厳密に決めた。強硬派と融和派を隣り合わせにして、わざと同じ派閥同士で固まらないようにした。気心知れたもの同士で勝手に話を進められると面倒だからだ。また、各々のテーブルには、ルーツの動物に因んだ花を生けておいた。例えば、熱帯に生息する動物ならブーゲンビリアとか。冷帯ならハマナスとか。
「寒い地方は種類が少ないので苦労しました。どうしても適当なのがなければ、その方の好きな花を置いたりしました」
ロザリンドは前もってアシモフ夫人にこう説明しておいた。アシモフ夫人のところにも先日ドレスにあしらわれた花の実物を用意した。
間違いがあっては大変と、ロザリンド自ら、テーブルを回って何度も確認した。その甲斐あってか、会場に足を踏み入れた招待客たちは、一人一人の席にそれぞれ違う花が置いてあることに大層驚いた。
「本日は、お忙しいところをおいでいただき誠にありがとうございます。ささやかではありますが、お近づきの印として社交の場を設けさせていただきました。皆さまと親交を深められれば、こんな嬉しいことはありません」
ロザリンドの挨拶でお茶会は始まった。彼女の隣には社交界の重鎮で知られるアシモフ夫人が座り、同じ派閥同士固まらないように巧妙に席が決められている。そのため、変な意味で話が盛り上がることもない。表向き和やかな雰囲気を作り、そのふんわりしたイメージを持って帰ってもらうことが目的であるので、この状況は都合が良かった。
「そう言えば、ロザリンド嬢、結婚式はいつになりますの? 陛下との仲睦まじさは聞き及んでますから、早く早くと首を長くして待っておりますのよ、私はキリンではありませんが」
アシモフ夫人が獣人ジョークを交えて言ったので、会場からは笑い声が聞こえた。だが、この台詞も作戦のうちである。
「陛下も同じお考えのようです。ですが、私としましては、皆さまに祝福していただいた上で開催したいと申し上げました。異国から来たというのもあるので、認めてもらえているのか……」
ロザリンドはそう言って、アシモフ夫人に水を向けた。
「実際どうなんでしょう? 私は歓迎されてると思いますか?」
「そうねえ。確かに外国の方は、最初のうちはどうしても警戒される節がありますわね。でも、先日私の家来に付いている小姓をこの方が助けてくれたのよ。やはり、こう言った具体的な行いで評価したいわね」
「私としては当然のことをしたまでで、誰かに褒められるものではないと思うんですが、改めてそう言ってもらえると嬉しい限りです。一刻も早く花嫁姿をお見せできる日が来て欲しい。皆さんも応援してください」
「あら、もちろんよ。ここにいる皆そう思ってるわ」
アシモフ夫人が畳み込むように口添えしたことで、みなはっとして、口々にロザリンドに温かい言葉をかける。これには強硬派も融和派も関係なく、全体的にロザリンドを応援する空気に包まれた。
「今回のお茶菓子は、私の祖国、カルランスに伝わる伝統菓子を用意しました。家庭で作られる素朴なお菓子ですが、カルランスらしさが詰まった味だと個人的には思います」
列席した参加者は、これが入念に組まれたお茶会であることをだんだん察して来た。テーブルには一人一人違う花が置いてあってきめ細やかな歓迎の意思表示がしてあり、社交界の重鎮であるアシモフ夫人を味方に付けたことをアピールし、そのアシモフ夫人を使ってロザリンドを歓迎するムードを作り上げる。その一方で、祖国の文化も紹介して、両国を橋渡しする存在としてのイメージを植え付ける。会が終わるころには、みなロザリンドの術中にはまっていた。
無事にお茶会はお開きになり、みなパラパラと席を立ち帰って行くところを見送る。その中にレジーナの姿を見つけ、ロザリンドは小走りで駆け寄って行った。ロザリンドにとっては、まだこれで終わりではない。これからが第二ラウンドだ。
「レジーナ嬢、もしお時間が空いていたらもう少しお話してもいいかしら? そのための席も設けてあるの」
呼び止められたレジーナは、怪訝な表情を浮かべロザリンドに顔を向けた。
「別に構いませんが、どんなお話でしょう?」
「こないだの話の続きを、カッサンドラ様についてもっと聞きたいのよ」
レジーナは眉間にできたしわをより一層深くさせたが、「分かりました」とだけ言ってロザリンドに従った。
「ちょっと、ご本人がまだいらっしゃらないからって、馴れ馴れしい口聞くんじゃないわよ。私だって怒ったら怖いんですからね」
「ごめんごめん。ここに来るといつもおいしいお菓子貰えるからつい気が緩んじゃって」
「このお菓子だって、元々はロザリンド様に献上されたものなのよ。ロザリンド様ったら太るのを気にして余りお召し上がりにならないのよ。何でも、ドレスが着られなくなったら困るからって。あんなに細いんだから、むしろもっと食べなきゃ駄目なのに」
「俺でよければいくらでも食べられるから、いつでも呼んでちょうだい。食べた分の働きもするからね」
口の減らない弟のようだと思いながら、ハンナはため息をついた。ロザリンドの指示で先日知り合ったケビンを呼び寄せたのだ。
「ごめんなさい、遅くなってしまって。ケビンはもう来ていたのね。調べものをしてたら遅くなっちゃって」
「気にしなくていいですよ。ここは居心地いいし、お菓子もたらふく……。いてっ! げんこつすることないじゃん!」
ケビンが余りに調子に乗るものだから、ハンナにげんこつをおみまいされてしまった。それを見てロザリンドは思わず吹き出してしまう。
「仕事の時は緊張するだろうから、ここではリラックスして構わないのよ? 私もずっと人の下で働いていたから分かるわ」
ケビンの目には、ロザリンドは申し分ない優雅な貴族令嬢に見えるのに、祖国では苦労していたと聞いた時は驚いた。こんな素直で素敵な人を虐める人間なんているのだろうか。でも、素直だからこそ付け込まれるのかもしれない。
「ロザリンド様、一体何の調べものをしてたんです? 家来にお任せしてもいいのに」
「強硬派と融和派がどれくらいいて、どのように分布しているかを調べたのよ。こういのは、自分で調べる方が理解しやすいから。アシモフ夫人に聞いたり、レグルス陛下にも尋ねたりして、大体把握したわ」
ロザリンドはテーブルの上に一枚の紙を広げた。ハンナとケビンは、その紙を覗き込んだ。主な貴族の家を融和派、強硬派、中立派に分類した表だ。ロザリンドはこれを調べていたのだ。
「全体の割合からすれば、融和派の方が多いのね。強硬派が3割、融和派が6割、どちらにも属さない中立派が1割と言ったところかしら。アシモフ夫人は1割の中立派に入るのね。強硬派は、レグルス陛下にも否定的だったりするの?」
「そこまでではないと思います。即位したばかりの頃は、今より風当たりが強かったようですが、実績を積み上げて実力でねじ伏せたと言うか……。そんな感じですかね」
ハンナの説明をロザリンドは頷きながら聞いた。他で聞いた話と一致する。
「興味深いのは、強硬派の中にサザーランド家があることね。レジーナ嬢のお家は強硬派だったのね。それなら、カッサンドラ様のことも批判的なはずなんだけど。何があったのかしら?」
「あら、確かにそうですね。ロザリンド様に対する対応は矛盾しないけど、どうしてカッサンドラ様とは仲が良かったんですかね?」
ハンナも不思議そうに首をひねる。今度は、ロザリンドは、ケビンの方を向いて彼に尋ねた。
「ねえ、ケビン。ここに書いてあるお家の方と繋がりはある? 直接じゃなくても他人を介してアプローチできる方法があればいいんだけど?」
「俺一人だと限りがあるけど、仲間に協力してもらえば大体のところはカバーできますよ。何をすればいいんですか?」
「また噂を流して欲しいの。強硬派の家には、私が融和派を取り込んで強硬派を排除しようとしてるって。融和派の家には、私が強硬派を丸め込もうとしてるって。お互い反対の噂を流してちょうだい。今度私が主催のお茶会を開こうと思うの。そこには強硬派と融和派から招待客を選ぶわ。噂を流された方は、危機感を持って出席しなければと思うはず。そうそう、サザーランド家は絶対に外さないでね。レジーナ嬢ともう一度お話がしたいの」
「ロザリンド様……、一体どんなお考えで?」
「ごめんね、ハンナ。うまく行くか自信がないからまだ全容は話せないの。アシモフ夫人と相談して決めたんだけど、そんな首尾よく成功するか私自身分からないから。ただ、うまくいけば陛下を後押しする材料にはなるはず」
自分でも半信半疑のロザリンドは、胸の前で両手を組みながらハンナに説明した。アシモフ夫人もお茶会に一緒に出てくれるのが心強いが、いざという場面は自分で頑張らないといけない。貴族社会がどういうものか経験に乏しいロザリンドにとっては無謀とも言える挑戦だ。
招待客を選んで、招待状を送り、お茶会のコンセプトを決めて実際に開催するまで一カ月余りを要した。こうしてロザリンドの名のもとに開かれたお茶会は、皇帝の婚約者が初めて開催するものとして注目を浴びることとなった。招待状を出した家は大体来ているところを見ると、ケビンに流してもらった噂は上手に作用しているようだ。ロザリンドに好意的な者も、敵視する者も、彼女が相手方の陣営に行かれるとなると困るらしい。いい緊張感だ。
(そしてレジーナ嬢も来ているわね……。本当の目的はあなただから来てもらってよかったわ)
誰がどの席に座るかというのも、今回は厳密に決めた。強硬派と融和派を隣り合わせにして、わざと同じ派閥同士で固まらないようにした。気心知れたもの同士で勝手に話を進められると面倒だからだ。また、各々のテーブルには、ルーツの動物に因んだ花を生けておいた。例えば、熱帯に生息する動物ならブーゲンビリアとか。冷帯ならハマナスとか。
「寒い地方は種類が少ないので苦労しました。どうしても適当なのがなければ、その方の好きな花を置いたりしました」
ロザリンドは前もってアシモフ夫人にこう説明しておいた。アシモフ夫人のところにも先日ドレスにあしらわれた花の実物を用意した。
間違いがあっては大変と、ロザリンド自ら、テーブルを回って何度も確認した。その甲斐あってか、会場に足を踏み入れた招待客たちは、一人一人の席にそれぞれ違う花が置いてあることに大層驚いた。
「本日は、お忙しいところをおいでいただき誠にありがとうございます。ささやかではありますが、お近づきの印として社交の場を設けさせていただきました。皆さまと親交を深められれば、こんな嬉しいことはありません」
ロザリンドの挨拶でお茶会は始まった。彼女の隣には社交界の重鎮で知られるアシモフ夫人が座り、同じ派閥同士固まらないように巧妙に席が決められている。そのため、変な意味で話が盛り上がることもない。表向き和やかな雰囲気を作り、そのふんわりしたイメージを持って帰ってもらうことが目的であるので、この状況は都合が良かった。
「そう言えば、ロザリンド嬢、結婚式はいつになりますの? 陛下との仲睦まじさは聞き及んでますから、早く早くと首を長くして待っておりますのよ、私はキリンではありませんが」
アシモフ夫人が獣人ジョークを交えて言ったので、会場からは笑い声が聞こえた。だが、この台詞も作戦のうちである。
「陛下も同じお考えのようです。ですが、私としましては、皆さまに祝福していただいた上で開催したいと申し上げました。異国から来たというのもあるので、認めてもらえているのか……」
ロザリンドはそう言って、アシモフ夫人に水を向けた。
「実際どうなんでしょう? 私は歓迎されてると思いますか?」
「そうねえ。確かに外国の方は、最初のうちはどうしても警戒される節がありますわね。でも、先日私の家来に付いている小姓をこの方が助けてくれたのよ。やはり、こう言った具体的な行いで評価したいわね」
「私としては当然のことをしたまでで、誰かに褒められるものではないと思うんですが、改めてそう言ってもらえると嬉しい限りです。一刻も早く花嫁姿をお見せできる日が来て欲しい。皆さんも応援してください」
「あら、もちろんよ。ここにいる皆そう思ってるわ」
アシモフ夫人が畳み込むように口添えしたことで、みなはっとして、口々にロザリンドに温かい言葉をかける。これには強硬派も融和派も関係なく、全体的にロザリンドを応援する空気に包まれた。
「今回のお茶菓子は、私の祖国、カルランスに伝わる伝統菓子を用意しました。家庭で作られる素朴なお菓子ですが、カルランスらしさが詰まった味だと個人的には思います」
列席した参加者は、これが入念に組まれたお茶会であることをだんだん察して来た。テーブルには一人一人違う花が置いてあってきめ細やかな歓迎の意思表示がしてあり、社交界の重鎮であるアシモフ夫人を味方に付けたことをアピールし、そのアシモフ夫人を使ってロザリンドを歓迎するムードを作り上げる。その一方で、祖国の文化も紹介して、両国を橋渡しする存在としてのイメージを植え付ける。会が終わるころには、みなロザリンドの術中にはまっていた。
無事にお茶会はお開きになり、みなパラパラと席を立ち帰って行くところを見送る。その中にレジーナの姿を見つけ、ロザリンドは小走りで駆け寄って行った。ロザリンドにとっては、まだこれで終わりではない。これからが第二ラウンドだ。
「レジーナ嬢、もしお時間が空いていたらもう少しお話してもいいかしら? そのための席も設けてあるの」
呼び止められたレジーナは、怪訝な表情を浮かべロザリンドに顔を向けた。
「別に構いませんが、どんなお話でしょう?」
「こないだの話の続きを、カッサンドラ様についてもっと聞きたいのよ」
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