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第19話 華やかな迷路
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夜も更ける頃になり晩餐会は無事終了した。目に見えない駆け引きはあったものの、想定以上のことは起きなかったようだ。めいめいの部屋に帰ってから、レグルスはロザリンドを呼び止めた。
「今日はお疲れ様。あなたは素晴らしかった。今夜は疲れただろうからゆっくり休んでくれ」
「無事お役に立ててよかったです。私が私じゃないみたいで、まるで夢の中にいるようでした」
「夢なんかじゃない。あなたが元々持っている魅力が花開いただけだ。もっと自信を持って欲しい」
「自信だなんてそんな……。今日はたまたま他の令嬢がいなかっただけです。もっと大きな舞台ならあっという間にメッキがはがれていたことでしょう。陛下のリードがなかったらどうなっていたか……」
「そんな謙遜しなくてもいいのに……」
「謙遜なんかじゃありません。思ったまでを申しただけですが?」
ロザリンドは、自分が褒められると嬉しいと思うより先に、不安になる癖が付いている。それを見たレグルスはなぜか悲しそうに微笑んだ。
「まあいい。湯に浸かって疲れを取って早く休みなさい。私はまだ少し仕事が残っている」
そう言ってレグルスは去って行った。もういい時間なのにまだ仕事が残っているとは。嫌な顔一つせず淡々と仕事をこなす彼に畏敬の念を新たにする。本当に自分のような者が妻でいいのだろうか?
(こんな時、カッサンドラ様なら……ううん、今は考えるのはよそう)
レグルスに言われた通り、ロザリンドは入浴を済ませてから床に入った。慣れない体験でぐったり疲れたのですぐに入眠したが、またいつもの動物と身を寄せ合う夢を見た。普段は傷ついた心を癒すように優しく体を寄せてくるのだが、この日は向こうの方から愛を乞うようにぎゅっと抱きしめられた。獣が自分を求めているようなそんな感覚にぞわぞわする。でも不思議と嫌な感じはしない。相手の求めに応じたくなる衝動に襲われるが、あと一歩のところで怖い気持ちがわずかに勝る。不安定なシーソーのような状態が続くうちに、心地よい快感に身をゆだね、深い眠りに落ち、気づくと朝になっていた。
「ハンナ、おはよう」
「ロザリンド様、おはようございます!? 私何も知りませんよ?」
「うん? おかしなことを言うのね。それより今日の予定は何だったかしら?」
「は、はい! 今日の予定ですね! ええと、使節団のエド・ターナーという方が面会を求めています。どうなさいますか?」
エドの名前を聞いて、半分夢見心地だったロザリンドは我に返った。エドに気を付けるように。レグルスが言っていたことを思い出す。彼に会うなとは言ってないから、ここは一つ会ってみて、彼の出方を伺ってもいいかもしれない。藪蛇だったらどうしようという怖い気持ちもあったが、昨日の成功体験が彼女の背中を後押しした。
「いいわ。会ってみます。先方にそう伝えて」
かくして、約束の時間に熱帯の草原の庭園に面した客室を準備してもらい、そこでエドに会うことにした。この部屋を選んだのには、一応理由がある。レグルスの本来の姿であるライオンが生息するのがこの気候だからだ。聡いエドならこのメッセージが伝わるのでは、そんな考えがあった。
「お会いする時間を作ってくれてありがとうございます」
開口一番、エドはこう切り出した。淡い水色を基調とした上着は、彼の端正な若々しさを際立たせていた。人に接する仕事だけあって、自分の好感度を高める演出に隙がない。やはり彼は有能だ。
「こちらこそ。あなた一人で会いに来たの? 他の方は?」
「我々は同時に様々な仕事にかかっていて、なかなか全員で行動できないのです。無礼をお許しください」
「いいえ、謝る必要はありません。本来、私はあなたにこんなに丁寧な対応をしてもらえる身分ではなかったのだから」
「滅相もありません! あなたがどんな立場でも、僕の態度は変わりません! あの時も、どんな方か知った後もあなたのお姿が脳裏から離れませんでした。実は、何とかアプローチできる方法を探していたんです。しかし、あれから間もなく王宮に入られて、手が届かない人になってしまった……」
「まあ、お話が上手ですわね」
殿方を翻弄する話術など持ち合わせていないロザリンドだったが、思っても見なかったことを言われたので、思わず本音が出てしまった。
「本当です。ラッセル夫人は身分が吊りあわないとおっしゃいましたが、そんなことどうでもいいと思いました。でもまあ、昨晩、レグルス陛下との仲睦まじさを見てたら、一人で勝手に盛り上がただけだったと悟りましたがね」
そう言ってエドは苦笑いした。今のは彼の本音なのだろうか。それともあらかじめ用意されたシナリオなのか。よく分からなかったが、どちらにしても心は凪のままだった。
そんな時だった。無意識下で考えていたことがふと口を告いで出たのは。
「……本当は、国王陛下に私を誘惑するように言われてたのでは?」
「え? 一体何をおっしゃるんですか?」
「レグルス陛下が私との仲をアピールした意味を考えてましたの。最初はあなたをけん制するためだと思っていました。ところが、そんな小さなことを気にする陛下かしらと疑問に思ったのです。こう言っては失礼ですが、陛下にとっては、一介の役人のあなたなど、赤子の手をひねるくらいの相手でしょう。そこまでムキになる必要もない。じゃ本当の理由は? あなたは、カルランスの国王が用意した、私に対する武器。そうお考えになったのかもしれません」
「ぶ、武器!? これまた物騒ですね」
エドは少しおどけて言ったが、ロザリンドは淡々とした口調を崩さなかった。
「では、作戦と言い換えましょうか。国王陛下は、私にアプローチできる人間を探していた。残念ながら、カルランスでは友人がいなかったから人選に苦慮した。かろうじて、一度だけ声をかけただけの、知り合いとも呼べないあなたに白羽の矢が立った。こうではありませんか?」
「もしそうだとして、私がはいと言うと思いましたか?」
この期に及んでも、エドの表出は余裕を失っておらずにこやかな態度を崩していない。内心どう思っているか知らないが、それでも十分小憎らしく感じられた。
「いいえ。思いません」
「それならこの話は終わりになってしまう。これ以上続けようがないじゃありませんか?」
「そうね。でもさっきのあなたは、正に私を口説いていましたわ。その本心はどこにありますの? わざわざ使節団の一員になって外国に来て、他国の皇帝の婚約者を誘惑する。普通に考えたらリスクばかりで、何のメリットもない。あなたは国王から何を託されたの? 国王は何を考えているの?」
最初は淡々としていたロザリンドの口調は、だんだん熱を帯びてきた。エドは、感情を表に出さぬまま静かに彼女の言葉を受け止めている。そして、弱々しい笑みを浮かべながらこう言った。
「私の口からは何とも言えません。ただし、一つだけ訂正をさせてください。先ほどあなたを口説いたのは国王から指示されたからとおっしゃいましたが、そんな単純な話ではありません。確かに国王陛下は私を利用した。しかし、私も自分の目的を果たすために利用したのです。さっきの言葉は、全部が嘘ではありません。もし、あなたが王宮に呼ばれるのがもう少し遅かったら。今でもそう考えることがあります。貴重なお時間を取らせてしまいました。これで失礼いたします」
「今日はお疲れ様。あなたは素晴らしかった。今夜は疲れただろうからゆっくり休んでくれ」
「無事お役に立ててよかったです。私が私じゃないみたいで、まるで夢の中にいるようでした」
「夢なんかじゃない。あなたが元々持っている魅力が花開いただけだ。もっと自信を持って欲しい」
「自信だなんてそんな……。今日はたまたま他の令嬢がいなかっただけです。もっと大きな舞台ならあっという間にメッキがはがれていたことでしょう。陛下のリードがなかったらどうなっていたか……」
「そんな謙遜しなくてもいいのに……」
「謙遜なんかじゃありません。思ったまでを申しただけですが?」
ロザリンドは、自分が褒められると嬉しいと思うより先に、不安になる癖が付いている。それを見たレグルスはなぜか悲しそうに微笑んだ。
「まあいい。湯に浸かって疲れを取って早く休みなさい。私はまだ少し仕事が残っている」
そう言ってレグルスは去って行った。もういい時間なのにまだ仕事が残っているとは。嫌な顔一つせず淡々と仕事をこなす彼に畏敬の念を新たにする。本当に自分のような者が妻でいいのだろうか?
(こんな時、カッサンドラ様なら……ううん、今は考えるのはよそう)
レグルスに言われた通り、ロザリンドは入浴を済ませてから床に入った。慣れない体験でぐったり疲れたのですぐに入眠したが、またいつもの動物と身を寄せ合う夢を見た。普段は傷ついた心を癒すように優しく体を寄せてくるのだが、この日は向こうの方から愛を乞うようにぎゅっと抱きしめられた。獣が自分を求めているようなそんな感覚にぞわぞわする。でも不思議と嫌な感じはしない。相手の求めに応じたくなる衝動に襲われるが、あと一歩のところで怖い気持ちがわずかに勝る。不安定なシーソーのような状態が続くうちに、心地よい快感に身をゆだね、深い眠りに落ち、気づくと朝になっていた。
「ハンナ、おはよう」
「ロザリンド様、おはようございます!? 私何も知りませんよ?」
「うん? おかしなことを言うのね。それより今日の予定は何だったかしら?」
「は、はい! 今日の予定ですね! ええと、使節団のエド・ターナーという方が面会を求めています。どうなさいますか?」
エドの名前を聞いて、半分夢見心地だったロザリンドは我に返った。エドに気を付けるように。レグルスが言っていたことを思い出す。彼に会うなとは言ってないから、ここは一つ会ってみて、彼の出方を伺ってもいいかもしれない。藪蛇だったらどうしようという怖い気持ちもあったが、昨日の成功体験が彼女の背中を後押しした。
「いいわ。会ってみます。先方にそう伝えて」
かくして、約束の時間に熱帯の草原の庭園に面した客室を準備してもらい、そこでエドに会うことにした。この部屋を選んだのには、一応理由がある。レグルスの本来の姿であるライオンが生息するのがこの気候だからだ。聡いエドならこのメッセージが伝わるのでは、そんな考えがあった。
「お会いする時間を作ってくれてありがとうございます」
開口一番、エドはこう切り出した。淡い水色を基調とした上着は、彼の端正な若々しさを際立たせていた。人に接する仕事だけあって、自分の好感度を高める演出に隙がない。やはり彼は有能だ。
「こちらこそ。あなた一人で会いに来たの? 他の方は?」
「我々は同時に様々な仕事にかかっていて、なかなか全員で行動できないのです。無礼をお許しください」
「いいえ、謝る必要はありません。本来、私はあなたにこんなに丁寧な対応をしてもらえる身分ではなかったのだから」
「滅相もありません! あなたがどんな立場でも、僕の態度は変わりません! あの時も、どんな方か知った後もあなたのお姿が脳裏から離れませんでした。実は、何とかアプローチできる方法を探していたんです。しかし、あれから間もなく王宮に入られて、手が届かない人になってしまった……」
「まあ、お話が上手ですわね」
殿方を翻弄する話術など持ち合わせていないロザリンドだったが、思っても見なかったことを言われたので、思わず本音が出てしまった。
「本当です。ラッセル夫人は身分が吊りあわないとおっしゃいましたが、そんなことどうでもいいと思いました。でもまあ、昨晩、レグルス陛下との仲睦まじさを見てたら、一人で勝手に盛り上がただけだったと悟りましたがね」
そう言ってエドは苦笑いした。今のは彼の本音なのだろうか。それともあらかじめ用意されたシナリオなのか。よく分からなかったが、どちらにしても心は凪のままだった。
そんな時だった。無意識下で考えていたことがふと口を告いで出たのは。
「……本当は、国王陛下に私を誘惑するように言われてたのでは?」
「え? 一体何をおっしゃるんですか?」
「レグルス陛下が私との仲をアピールした意味を考えてましたの。最初はあなたをけん制するためだと思っていました。ところが、そんな小さなことを気にする陛下かしらと疑問に思ったのです。こう言っては失礼ですが、陛下にとっては、一介の役人のあなたなど、赤子の手をひねるくらいの相手でしょう。そこまでムキになる必要もない。じゃ本当の理由は? あなたは、カルランスの国王が用意した、私に対する武器。そうお考えになったのかもしれません」
「ぶ、武器!? これまた物騒ですね」
エドは少しおどけて言ったが、ロザリンドは淡々とした口調を崩さなかった。
「では、作戦と言い換えましょうか。国王陛下は、私にアプローチできる人間を探していた。残念ながら、カルランスでは友人がいなかったから人選に苦慮した。かろうじて、一度だけ声をかけただけの、知り合いとも呼べないあなたに白羽の矢が立った。こうではありませんか?」
「もしそうだとして、私がはいと言うと思いましたか?」
この期に及んでも、エドの表出は余裕を失っておらずにこやかな態度を崩していない。内心どう思っているか知らないが、それでも十分小憎らしく感じられた。
「いいえ。思いません」
「それならこの話は終わりになってしまう。これ以上続けようがないじゃありませんか?」
「そうね。でもさっきのあなたは、正に私を口説いていましたわ。その本心はどこにありますの? わざわざ使節団の一員になって外国に来て、他国の皇帝の婚約者を誘惑する。普通に考えたらリスクばかりで、何のメリットもない。あなたは国王から何を託されたの? 国王は何を考えているの?」
最初は淡々としていたロザリンドの口調は、だんだん熱を帯びてきた。エドは、感情を表に出さぬまま静かに彼女の言葉を受け止めている。そして、弱々しい笑みを浮かべながらこう言った。
「私の口からは何とも言えません。ただし、一つだけ訂正をさせてください。先ほどあなたを口説いたのは国王から指示されたからとおっしゃいましたが、そんな単純な話ではありません。確かに国王陛下は私を利用した。しかし、私も自分の目的を果たすために利用したのです。さっきの言葉は、全部が嘘ではありません。もし、あなたが王宮に呼ばれるのがもう少し遅かったら。今でもそう考えることがあります。貴重なお時間を取らせてしまいました。これで失礼いたします」
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