8 / 35
第8話 異国での立ち位置
しおりを挟む
ライオンの姿で身を寄せ合っていた時は平気だったのに、こうして改めて抱きしめられると恥ずかしさのあまり頭が沸騰しそうになる。相手は同じ人なのに一体なぜ?
「へ、陛下。どうかお体をお放しください。まだ正式な夫婦になったわけではないのですから」
「嫌だ。放さない。あなたが自分を蔑ろにするのをやめるまで放さない」
そんなことを言われても……とロザリンドは途方に暮れた。これは癖のようなものだ。長年の慣れすぎて苦にもならない。むしろ、なぜレグルスがそこまで躍起になるのか、その方が不思議だった。
「陛下のお心は嬉しいですが、今までの習慣を急に直すのは難しいのです。私も懸命に努力しますから今日のところはお許しください」
レグルスはやっと体を放したが、なおも釈然としない表情を浮かべていた。言葉が通じなくてやきもきしているように見える。どうしたら納得してもらえるか、ロザリンドは頭を悩ませた。
「分かった。今日のところはここまでにする。でも忘れないで。あなたはここで私に愛されて幸せになるんだ。いいね?」
真剣なレグルスの眼差しを受けて、ロザリンドはこくこくと首を縦に振るしかなかった。
この時はそれで済んだのだが、後日雲行きの怪しくなる知らせが飛び込んできた。
「先日の話を受けて、国内の強硬派から結婚式を延期にするように言われた。その……実に忌々しい、かつ無礼極まりない話なのだが……」
口ごもるレグルスにロザリンドは励まして先を促した。
「私なら大丈夫です。ありのままを教えてください」
「あなたの身元について疑義が上がった。その……一旦平民の期間があっただろう? それを必要以上に問題視する輩がいて……すまない。国というのはなかなか一枚岩にはならないんだ。全ては私の力不足だ」
「そんなことをおっしゃらないでください。そんなことかと拍子抜けしましたわ。だって本当のことですもの」
「いやそんなことは」
「取るに足らないことですわ。それより私のせいで陛下のご威光を損ねることにならないかと、そればかりが心配で」
「頼むからやめてくれ。あなたは進むべき先を照らす灯台の明かりだ。もっと自信を持ってほしい。もしかして今でも肩身の狭い思いをしてるのかい?」
レグルスは、ロザリンドに全幅の信頼を置いてくれている。それはありがたいのだが、同時に、分不相応に思えて落ち着かない。なぜ身代わりにされるような価値のない自分をそこまで大事に思ってくれているのだろう? それが不思議でならなかった。
「そんなことありません。新しいメイドとも仲良くしてるし、タルホディアの方はみな優しいです」
「本当にその通りならいいのだが……。でも、どの世界にもいい人間がいれば悪い人間もいる。この国の皇帝という立場だからこそ分かるが、タルホディアもいい人間ばかりではない」
むしろ皇帝だからこそ嫌なものも見て来たのだろう。彼の台詞からは言葉以上のものが感じられた。
「ここに嫁いだ以上、あなたが嫌な思いをしないよう極力努力するが、私の目が届かないところもあると思う。そういう時は、すぐに教えて欲しい。私を信じてくれるなら些細なことでも隠し事をしないと約束してくれ」
レグルスは大きな両手で、ロザリンドの華奢な手をすっぽりと包み込んで、目を覗き込んで言った。青の瞳に見つめられて思わずぼうっとしてしまう。それだけでなく、ごつごつした手が男性のものであると意識させられて頬を赤く染めた。こんなことを考えていると知られたら、はしたない女だと思われるだろうか?
「ええ、お約束します」
「よかった。安心した。式のことは何とかするからどうか心配しないでくれ」
こう言い残してレグルスは去って行った。約束するとは言ったが、本当に包み隠さず打ち明けられるだろうか? ちっぽけな自分にそんな勇気があるのだろうか? 彼が去った後もその場に立ったまま、ぼんやり考えていると、ハンナがいそいそと寄って来た。
「ロザリンド様、愛されてますね」
「やだ、ハンナ。聞いていたの?」
「ごめんなさい、だって色々心配なんですもの。でもレグルス様が後ろ盾になってくだされば何も心配ないですよ。初めての土地で一人ぼっちで心細いと思いますが、遠慮なく私たちを頼って下さい」
「ありがとう。私なんかのためにみんなよくしてくれる……。本当にこの国はいい人たちばかりだわ」
「実際はそこまで単純ではありません。余り怖がらせることを言いたくありませんが、外国人ということで当たりがきつくなることもあるかもしれません。タルホディアにも様々な勢力がありますから」
確かにハンナの言う通りだろう。ロザリンドはまだこの国のことがよく分かっていない。たくさん知れば知るほど、いいことばかりではないことに気付くのだろう。
「せっかくだから、その『様々な勢力』というのを聞かせてくれない? ここで生きていくには必要な知識だと思うの」
ハンナは一瞬躊躇したものの、いつか知らなければいけない知識だと判断したようで、詳しく説明してくれた。
「大昔、私たちは、人間とは異なる、高度に発達した文明を築いていたと言われています。しかし、固有種は繁殖力が弱く、寿命も短くて、人間より数の点で劣っていました。この世界で人間が増えて勢力を広げるようになり、衝突が起きるようになりました。血を血で争う激しい戦いが長らく続きましたが、双方疲弊するようになり、やがて、争いをやめて人間のよい部分を導入して融和策を取ろうという考えが獣人の間に生まれたんです。そこで、積極的に混血政策を推進したり、人間の文化や風俗を導入したりして、現在では殆ど変わらない生態になりました」
「そうよね。それなのに、カルランス人の間ではまだ誤解も多いわ」
「ええ、残念ながらそれは否定できませんね。国内でも『人間にかなり譲歩して混血政策を進めたのに、未だに差別が解消されていない。これ以上我慢する必要はない』と主張する強硬派が存在するんです。強硬派は、皇帝の婚姻についても獣人を娶って血脈を守るべしと主張しています。ですから、今回の婚姻にも正直いい顔をしていないのです。皇帝は人間との共存を目指す融和派で、前の奥様も人間でしたから……」
ロザリンドは、前に見た肖像画を思い出した。確かに、あの絵には獣の耳は描かれてなかった。
「強硬派の言い分も分かるわ。ここに来る前、カルランスで色々言われたもの。根拠のない偏見だと本当はみな分かっているはずなのに、あんなことを日々言われ続けたら、人間に恨みを持つのも仕方ないと思う」
「でもここに来たら、ロザリンド様が同じ目に遭われる恐れがあるのです。確かに私たちのことを思って下さるのはありがたいですが、どうぞ過分な情けはかけていただかなくて結構です。道理に合わないことはきちんと主張してください」
確かに、この地では自分は少数派なので差別されることもあるかもしれない。しかし、祖国でも同じ立場だった。自分が自分らしくいられる場所がこの地上に存在するのだろうか、ふとそんなことを考えてしまった。
「へ、陛下。どうかお体をお放しください。まだ正式な夫婦になったわけではないのですから」
「嫌だ。放さない。あなたが自分を蔑ろにするのをやめるまで放さない」
そんなことを言われても……とロザリンドは途方に暮れた。これは癖のようなものだ。長年の慣れすぎて苦にもならない。むしろ、なぜレグルスがそこまで躍起になるのか、その方が不思議だった。
「陛下のお心は嬉しいですが、今までの習慣を急に直すのは難しいのです。私も懸命に努力しますから今日のところはお許しください」
レグルスはやっと体を放したが、なおも釈然としない表情を浮かべていた。言葉が通じなくてやきもきしているように見える。どうしたら納得してもらえるか、ロザリンドは頭を悩ませた。
「分かった。今日のところはここまでにする。でも忘れないで。あなたはここで私に愛されて幸せになるんだ。いいね?」
真剣なレグルスの眼差しを受けて、ロザリンドはこくこくと首を縦に振るしかなかった。
この時はそれで済んだのだが、後日雲行きの怪しくなる知らせが飛び込んできた。
「先日の話を受けて、国内の強硬派から結婚式を延期にするように言われた。その……実に忌々しい、かつ無礼極まりない話なのだが……」
口ごもるレグルスにロザリンドは励まして先を促した。
「私なら大丈夫です。ありのままを教えてください」
「あなたの身元について疑義が上がった。その……一旦平民の期間があっただろう? それを必要以上に問題視する輩がいて……すまない。国というのはなかなか一枚岩にはならないんだ。全ては私の力不足だ」
「そんなことをおっしゃらないでください。そんなことかと拍子抜けしましたわ。だって本当のことですもの」
「いやそんなことは」
「取るに足らないことですわ。それより私のせいで陛下のご威光を損ねることにならないかと、そればかりが心配で」
「頼むからやめてくれ。あなたは進むべき先を照らす灯台の明かりだ。もっと自信を持ってほしい。もしかして今でも肩身の狭い思いをしてるのかい?」
レグルスは、ロザリンドに全幅の信頼を置いてくれている。それはありがたいのだが、同時に、分不相応に思えて落ち着かない。なぜ身代わりにされるような価値のない自分をそこまで大事に思ってくれているのだろう? それが不思議でならなかった。
「そんなことありません。新しいメイドとも仲良くしてるし、タルホディアの方はみな優しいです」
「本当にその通りならいいのだが……。でも、どの世界にもいい人間がいれば悪い人間もいる。この国の皇帝という立場だからこそ分かるが、タルホディアもいい人間ばかりではない」
むしろ皇帝だからこそ嫌なものも見て来たのだろう。彼の台詞からは言葉以上のものが感じられた。
「ここに嫁いだ以上、あなたが嫌な思いをしないよう極力努力するが、私の目が届かないところもあると思う。そういう時は、すぐに教えて欲しい。私を信じてくれるなら些細なことでも隠し事をしないと約束してくれ」
レグルスは大きな両手で、ロザリンドの華奢な手をすっぽりと包み込んで、目を覗き込んで言った。青の瞳に見つめられて思わずぼうっとしてしまう。それだけでなく、ごつごつした手が男性のものであると意識させられて頬を赤く染めた。こんなことを考えていると知られたら、はしたない女だと思われるだろうか?
「ええ、お約束します」
「よかった。安心した。式のことは何とかするからどうか心配しないでくれ」
こう言い残してレグルスは去って行った。約束するとは言ったが、本当に包み隠さず打ち明けられるだろうか? ちっぽけな自分にそんな勇気があるのだろうか? 彼が去った後もその場に立ったまま、ぼんやり考えていると、ハンナがいそいそと寄って来た。
「ロザリンド様、愛されてますね」
「やだ、ハンナ。聞いていたの?」
「ごめんなさい、だって色々心配なんですもの。でもレグルス様が後ろ盾になってくだされば何も心配ないですよ。初めての土地で一人ぼっちで心細いと思いますが、遠慮なく私たちを頼って下さい」
「ありがとう。私なんかのためにみんなよくしてくれる……。本当にこの国はいい人たちばかりだわ」
「実際はそこまで単純ではありません。余り怖がらせることを言いたくありませんが、外国人ということで当たりがきつくなることもあるかもしれません。タルホディアにも様々な勢力がありますから」
確かにハンナの言う通りだろう。ロザリンドはまだこの国のことがよく分かっていない。たくさん知れば知るほど、いいことばかりではないことに気付くのだろう。
「せっかくだから、その『様々な勢力』というのを聞かせてくれない? ここで生きていくには必要な知識だと思うの」
ハンナは一瞬躊躇したものの、いつか知らなければいけない知識だと判断したようで、詳しく説明してくれた。
「大昔、私たちは、人間とは異なる、高度に発達した文明を築いていたと言われています。しかし、固有種は繁殖力が弱く、寿命も短くて、人間より数の点で劣っていました。この世界で人間が増えて勢力を広げるようになり、衝突が起きるようになりました。血を血で争う激しい戦いが長らく続きましたが、双方疲弊するようになり、やがて、争いをやめて人間のよい部分を導入して融和策を取ろうという考えが獣人の間に生まれたんです。そこで、積極的に混血政策を推進したり、人間の文化や風俗を導入したりして、現在では殆ど変わらない生態になりました」
「そうよね。それなのに、カルランス人の間ではまだ誤解も多いわ」
「ええ、残念ながらそれは否定できませんね。国内でも『人間にかなり譲歩して混血政策を進めたのに、未だに差別が解消されていない。これ以上我慢する必要はない』と主張する強硬派が存在するんです。強硬派は、皇帝の婚姻についても獣人を娶って血脈を守るべしと主張しています。ですから、今回の婚姻にも正直いい顔をしていないのです。皇帝は人間との共存を目指す融和派で、前の奥様も人間でしたから……」
ロザリンドは、前に見た肖像画を思い出した。確かに、あの絵には獣の耳は描かれてなかった。
「強硬派の言い分も分かるわ。ここに来る前、カルランスで色々言われたもの。根拠のない偏見だと本当はみな分かっているはずなのに、あんなことを日々言われ続けたら、人間に恨みを持つのも仕方ないと思う」
「でもここに来たら、ロザリンド様が同じ目に遭われる恐れがあるのです。確かに私たちのことを思って下さるのはありがたいですが、どうぞ過分な情けはかけていただかなくて結構です。道理に合わないことはきちんと主張してください」
確かに、この地では自分は少数派なので差別されることもあるかもしれない。しかし、祖国でも同じ立場だった。自分が自分らしくいられる場所がこの地上に存在するのだろうか、ふとそんなことを考えてしまった。
14
お気に入りに追加
207
あなたにおすすめの小説
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私ミーシャ・ラクリマ男爵令嬢は、家の借金の為コッソリと王宮でメイドとして働いています。基本は王宮内のお掃除ですが、人手が必要な時には色々な所へ行きお手伝いします。そんな中私を番だと言う人が現れた。えっ、あなたって!?
貧乏令嬢が番と幸せになるまでのすれ違いを書いていきます。
愛の花第2弾です。前の話を読んでいなくても、単体のお話として読んで頂けます。

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。
一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。
そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。

【完結】戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
水都 ミナト
恋愛
最高峰の魔法の研究施設である魔塔。
そこでは、生活に不可欠な魔導具の生産や開発を行われている。
最愛の父と母を失い、継母に生家を乗っ取られ居場所を失ったシルファは、ついには戸籍ごと魔塔に売り飛ばされてしまった。
そんなシルファが配属されたのは、魔導具の『メンテナンス部』であった。
上層階ほど尊ばれ、難解な技術を必要とする部署が配置される魔塔において、メンテナンス部は最底辺の地下に位置している。
貴族の生まれながらも、魔法を発動することができないシルファは、唯一の取り柄である周囲の魔力を吸収して体内で中和する力を活かし、日々魔導具のメンテナンスに従事していた。
実家の後ろ盾を無くし、一人で粛々と生きていくと誓っていたシルファであったが、
上司に愛人になれと言い寄られて困り果てていたところ、突然魔塔の最高責任者ルーカスに呼びつけられる。
そこで知ったルーカスの秘密。
彼はとある事件で自分自身を守るために退行魔法で少年の姿になっていたのだ。
元の姿に戻るためには、シルファの力が必要だという。
戸惑うシルファに提案されたのは、互いの利のために結ぶ契約結婚であった。
シルファはルーカスに協力するため、そして自らの利のためにその提案に頷いた。
所詮はお飾りの妻。役目を果たすまでの仮の妻。
そう覚悟を決めようとしていたシルファに、ルーカスは「俺は、この先誰でもない、君だけを大切にすると誓う」と言う。
心が追いつかないまま始まったルーカスとの生活は温かく幸せに満ちていて、シルファは少しずつ失ったものを取り戻していく。
けれど、継母や上司の男の手が忍び寄り、シルファがようやく見つけた居場所が脅かされることになる。
シルファは自分の居場所を守り抜き、ルーカスの退行魔法を解除することができるのか――
※他サイトでも公開しています

追放された公爵令嬢エヴァンジェリカ、冷酷王に溺愛される ~悪役に仕立てられた私ですが、国を救ったら求婚されました~
ゆる
恋愛
婚約者である王太子の前で、無実の罪を着せられ、公爵令嬢エヴァンジェリカ・セロンは国外追放を言い渡された。
「悪女」呼ばわりされ、父からも見放され、すべてを失った彼女は、寒空の下、故郷を追われる――。
しかし、その絶望の先に待っていたのは、隣国ルシタニアの"冷酷王"ルシウス・ヴォルフガングとの運命的な出会いだった。
「面白い。お前を拾ってやろう――余の役に立つのならな」
有能な者しか信用しない冷徹な王のもと、エヴァンジェリカはその才知を発揮し、王国の参謀見習いとして頭角を現していく。
そして、かつて彼女を追放した婚約者と“聖女”の国が危機に陥り、救いを求めてくるとき――彼女の華麗なる“ざまあ返し”が幕を開ける!
「お前を追放した国を、今度は見下ろす側に回るのだ」
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる