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40.終幕
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「……なぜ、そこまで?」
「まあ……近年は周辺諸国の発展も目覚ましく、慣例を守るだけで他国と渡り合える時代ではありません。厳しい情勢の中、害悪となる者を王座に着かせる余裕はありませんから。……それに……。」
彼はそこまで言って目を泳がせ、やがて意を決したようにコホン、と咳払いをすると、再びわたくしと視線を合わせました。
「……何より、貴女を傷つける可能性のある人物を野放しにできるはずがない。」
どき、と。
また胸が高鳴ります。
「あの、それは、どういう……。」
掠れた声で聞き返すのがやっとでした。
「つまり、その……、そういうことです。」
「そ、それでは分かりませんわ!きちんと言葉で仰ってくださいまし!」
たまらず追及すると、彼はその透けるように白い頬を真っ赤に染めて、叫ぶように仰ったのです。
「っ……、私は!貴女を、ずっと以前からお慕いしておりました。だからどうか……キャシーと、そう呼ばせてはいただけませんか。
そして願わくば、 貴女に……求婚する権利を、私にください。」
「な、……な……。きゃ……きゅう……。」
自分から聞いたとはいえ、こうも一気に話を詰められると思っていなかったわたくしは、ぐんぐんと体中が熱くなるのを感じました。
(きっと今わたくしの顔は、モラードバナナより赤く染まっているのではないかしら。)
「な、なぜですの!?自分で言うのも何ですが、わたくし、あなたに求愛されるような大層な存在ではなくってよ!
何か、何かの間違いでございましょう。一時の気の迷いということもあり得ます、どうか落ち着いてくださいませ。」
力いっぱい訴えてみても、ブルーノ様は動じません。
「貴女はいつだって魅力的だよ。それこそ自由に動ける手足、心の内を語る言葉を得る前からずっと。」
「えっ……?」
随分と意味深な言い回しに、一瞬動きが止まってしまいます。
(どういうことですの……?この流れで「胎児の頃から愛していた」とか、まさかそんな病的なお話ではないでしょうし。)
だとすれば、それが意味するのは。
「まさか……本当に、ブルー・ジャヴァ……。」
言いかけるわたくしに、彼はふっと笑いかけました。
それは厚く凍てついた氷河の氷が解けるようで。
状況を忘れ、思わず見惚れてしまったのも無理のないことでしょう。
「君もだろう?人気者のキャベンディッシュ。」
そしてついに、核心を突く言葉。
あのパーティーの時とは全く異質の緊張が走ります。
「か……仮に。もし仰るとおりだったとして、どうやってお気づきになったというのです?」
墓穴を掘っている、というか、もはや肯定しているも同然ですが、どうしても聞かずにはいられませんでした。
「薄々感づいてはいたんだ。だって君、動揺すると語彙がすぐバナナ絡みになるだろう?」
「うっ。」
「それに君のデザインするドレス。どれも素晴らしい出来には違いないが、どことなく前世で見た……そう、例えばあの園内に併設されていたカフェのメニューをモチーフにしているように思える。」
「うぅっ。」
(つまり、彼も同じ植物園に生育するバナナだったということ……!)
「ほかにも君の外見や垣間見える性分など、いくつか理由はあるのだけど。
今の一連の反応を見るに、どうやら間違いでは無かったようだね。」
彼はそう言って、ふう、と安心するように息をつきました。
「はあ、心底ホッとしたよ……。これでも気が気ではなかったんだ。
こんな確証のない話、妙なことを言い出す頭のおかしい奴だと思われるのではないかとね。
全部私の勘違いだなんて落ちだったら、いたたまれないだろう?」
「それはわたくしも同じですわ。ですから、ほんの少しはもしやと思うこともありましたけれど、今の今まで聞けずじまいでしたの。」
互いの安堵感から、暫し和やかな空気が流れます。
けれどそれをぶち壊すように重い口を開かなければならないことに、心が痛みました。
「……でも、似た前世を持つからといって、わたくしがあなたに釣り合うということにはなりませんわ。」
「えっ……どうして?」
「だって……トッピングもされず味気ない最後の1本で、今世では王子様にも捨てられた、落ちこぼれの……。」
そう。
所詮、わたくしの本質は誰にも必要とされずに持て余される厄介者で、あのときのように売れ残って惨めに生涯を終えるのがお似合いなのです。
いつだって人目を引き、自らの価値を示し、求められ続ける彼とは違います。
(この方の妻として隣に立つなんて、そんな夢のようなことが許されるはずがありませんわ。)
しかし、思わず目を伏せたわたくしの手を、ブルーノ様はそっと握ってくださいました。
「私からすれば、君への賛辞をなぜ言葉のまま受け取ってもらえないのかが不思議でならないよ。
……でも、そうだね。昔の私たちは個体の識別すらままならなかったから、君があの植物園にいたことと、キャベンディッシュという品種であったことくらいしか分からなかったけれど。
今の君の言葉で、君がその中のどれであったのか、前世の記憶の何を苦に思っているのか、ようやく知ることができた気がするよ。」
「?なぜ……いえ、ならば尚更お分かりの筈です。わたくしは……。」
言いかけた言葉を遮って、ふわふわのアイスクリームのような、優しい微笑みを浮かべて囁きます。
「私が最初に美しいと、心を奪われた君はね。
君が味気無いと言ったその、シンプルな着飾らない姿に他ならないんだ。」
「え?」
「そう、私は数多のきょうだいのうちの一つなどではない、君自身のことを覚えているよ。
愛だの恋だのを知らない果実の身でも、最期の日に見たあの情景には、人間に生まれ変わった今もなお忘れられないほど焦がれていたのだから。」
「……仰る意味が、よく。」
「覚えていないのかい?あの日、あの屋台を取り仕切っていた一人の青年は、彼にとって初めて任された大きな仕事をやり遂げた。
その喜びのままに、たった一つ残しておいた大好物のチョコバナナを、誰よりも美味しそうに食べていただろう。それはもう、幸せそうに。
私はその様子を、とても眩しく、羨ましく見ていたのだよ。
よく思い出してごらん。君を食した青年が何を言っていたか、どんな顔をしていたか。
君は本当に、余り物だったかな?」
はく、はく、と、頼りなく震えるばかりのわたくしの口は、言葉を紡ぐことができません。
どうしたら良いのか、本当に分からないのです。
(そんなに都合良く鮮明に思い出すことはできませんわ。もうずっと昔のことだし、あの時は全てに絶望していたんですもの。)
でも、脳裏……いえ、きっとこの魂に焼き付いた、かつての自分が見た最期の景色。
思い出せずにいたのは、薄れ行く意識の中で聞いた、その人の言葉。
記憶と呼ぶにはあまりに一瞬で、破片のようなそれらは、ずっとぼやけていたはずなのに、どうしてか今になって形を持ちはじめました。
(どうして、どうして忘れていたの。)
私を食べてくれたお兄さん。あのとき確かに、輝くような笑顔でこう言っていたのに。
──あー、めちゃくちゃ頑張った後に食べるチョコバナナ、人生でいっちゃん美味いなぁ!
(わたくしがいつまでも見ない振りをして、逃げていたから……?)
だって、売れ残ったことが辛くて、どうしようもなく悲しかったから。……でも。
「そう、だったの……。」
堪えきれなくなった涙が、つう、と頬を伝います。
長い間背負っていた重石をようやく降ろすことができたような、そんな感覚がいたしました。
「キャスリン・アクミナータ嬢。」
いつの間にか優雅に跪いていたブルーノ様が、恭しくわたくしを見上げています。
「私の言葉で、ご自身の価値に気づいていただけたのなら。この愛も、信じてくださいませんか。」
彼の青く透き通った銀色の瞳が熱を孕んで、真っ直ぐにこちらを見据えました。
「改めて伝えさせてください。……心から、貴女を愛しております。私にとって唯一無二の価値を持つ貴女を、何よりも大切にいたします。そのお心が許すなら、どうか、私の妻となって、私と生涯を共にしてください。」
もしもこの場所を他の誰かが見ていたならば、ついにぼろぼろと涙を溢すわたくしは、さぞかしみっともなく映ったことでしょう。
それでも、精一杯の微笑みを浮かべたわたくしは、何とかこの想いを伝えねばと、口を開き、たった一言を絞り出しました。
「『キャシー』と、そうお呼びくださいませ。」
* * * *
かくして、かつて自らの不運を嘆くことしかできなかったちっぽけな果実──わたくしキャスリン・アクミナータ──は、とうとう心からの幸せを掴んだのでございました。
「まあ……近年は周辺諸国の発展も目覚ましく、慣例を守るだけで他国と渡り合える時代ではありません。厳しい情勢の中、害悪となる者を王座に着かせる余裕はありませんから。……それに……。」
彼はそこまで言って目を泳がせ、やがて意を決したようにコホン、と咳払いをすると、再びわたくしと視線を合わせました。
「……何より、貴女を傷つける可能性のある人物を野放しにできるはずがない。」
どき、と。
また胸が高鳴ります。
「あの、それは、どういう……。」
掠れた声で聞き返すのがやっとでした。
「つまり、その……、そういうことです。」
「そ、それでは分かりませんわ!きちんと言葉で仰ってくださいまし!」
たまらず追及すると、彼はその透けるように白い頬を真っ赤に染めて、叫ぶように仰ったのです。
「っ……、私は!貴女を、ずっと以前からお慕いしておりました。だからどうか……キャシーと、そう呼ばせてはいただけませんか。
そして願わくば、 貴女に……求婚する権利を、私にください。」
「な、……な……。きゃ……きゅう……。」
自分から聞いたとはいえ、こうも一気に話を詰められると思っていなかったわたくしは、ぐんぐんと体中が熱くなるのを感じました。
(きっと今わたくしの顔は、モラードバナナより赤く染まっているのではないかしら。)
「な、なぜですの!?自分で言うのも何ですが、わたくし、あなたに求愛されるような大層な存在ではなくってよ!
何か、何かの間違いでございましょう。一時の気の迷いということもあり得ます、どうか落ち着いてくださいませ。」
力いっぱい訴えてみても、ブルーノ様は動じません。
「貴女はいつだって魅力的だよ。それこそ自由に動ける手足、心の内を語る言葉を得る前からずっと。」
「えっ……?」
随分と意味深な言い回しに、一瞬動きが止まってしまいます。
(どういうことですの……?この流れで「胎児の頃から愛していた」とか、まさかそんな病的なお話ではないでしょうし。)
だとすれば、それが意味するのは。
「まさか……本当に、ブルー・ジャヴァ……。」
言いかけるわたくしに、彼はふっと笑いかけました。
それは厚く凍てついた氷河の氷が解けるようで。
状況を忘れ、思わず見惚れてしまったのも無理のないことでしょう。
「君もだろう?人気者のキャベンディッシュ。」
そしてついに、核心を突く言葉。
あのパーティーの時とは全く異質の緊張が走ります。
「か……仮に。もし仰るとおりだったとして、どうやってお気づきになったというのです?」
墓穴を掘っている、というか、もはや肯定しているも同然ですが、どうしても聞かずにはいられませんでした。
「薄々感づいてはいたんだ。だって君、動揺すると語彙がすぐバナナ絡みになるだろう?」
「うっ。」
「それに君のデザインするドレス。どれも素晴らしい出来には違いないが、どことなく前世で見た……そう、例えばあの園内に併設されていたカフェのメニューをモチーフにしているように思える。」
「うぅっ。」
(つまり、彼も同じ植物園に生育するバナナだったということ……!)
「ほかにも君の外見や垣間見える性分など、いくつか理由はあるのだけど。
今の一連の反応を見るに、どうやら間違いでは無かったようだね。」
彼はそう言って、ふう、と安心するように息をつきました。
「はあ、心底ホッとしたよ……。これでも気が気ではなかったんだ。
こんな確証のない話、妙なことを言い出す頭のおかしい奴だと思われるのではないかとね。
全部私の勘違いだなんて落ちだったら、いたたまれないだろう?」
「それはわたくしも同じですわ。ですから、ほんの少しはもしやと思うこともありましたけれど、今の今まで聞けずじまいでしたの。」
互いの安堵感から、暫し和やかな空気が流れます。
けれどそれをぶち壊すように重い口を開かなければならないことに、心が痛みました。
「……でも、似た前世を持つからといって、わたくしがあなたに釣り合うということにはなりませんわ。」
「えっ……どうして?」
「だって……トッピングもされず味気ない最後の1本で、今世では王子様にも捨てられた、落ちこぼれの……。」
そう。
所詮、わたくしの本質は誰にも必要とされずに持て余される厄介者で、あのときのように売れ残って惨めに生涯を終えるのがお似合いなのです。
いつだって人目を引き、自らの価値を示し、求められ続ける彼とは違います。
(この方の妻として隣に立つなんて、そんな夢のようなことが許されるはずがありませんわ。)
しかし、思わず目を伏せたわたくしの手を、ブルーノ様はそっと握ってくださいました。
「私からすれば、君への賛辞をなぜ言葉のまま受け取ってもらえないのかが不思議でならないよ。
……でも、そうだね。昔の私たちは個体の識別すらままならなかったから、君があの植物園にいたことと、キャベンディッシュという品種であったことくらいしか分からなかったけれど。
今の君の言葉で、君がその中のどれであったのか、前世の記憶の何を苦に思っているのか、ようやく知ることができた気がするよ。」
「?なぜ……いえ、ならば尚更お分かりの筈です。わたくしは……。」
言いかけた言葉を遮って、ふわふわのアイスクリームのような、優しい微笑みを浮かべて囁きます。
「私が最初に美しいと、心を奪われた君はね。
君が味気無いと言ったその、シンプルな着飾らない姿に他ならないんだ。」
「え?」
「そう、私は数多のきょうだいのうちの一つなどではない、君自身のことを覚えているよ。
愛だの恋だのを知らない果実の身でも、最期の日に見たあの情景には、人間に生まれ変わった今もなお忘れられないほど焦がれていたのだから。」
「……仰る意味が、よく。」
「覚えていないのかい?あの日、あの屋台を取り仕切っていた一人の青年は、彼にとって初めて任された大きな仕事をやり遂げた。
その喜びのままに、たった一つ残しておいた大好物のチョコバナナを、誰よりも美味しそうに食べていただろう。それはもう、幸せそうに。
私はその様子を、とても眩しく、羨ましく見ていたのだよ。
よく思い出してごらん。君を食した青年が何を言っていたか、どんな顔をしていたか。
君は本当に、余り物だったかな?」
はく、はく、と、頼りなく震えるばかりのわたくしの口は、言葉を紡ぐことができません。
どうしたら良いのか、本当に分からないのです。
(そんなに都合良く鮮明に思い出すことはできませんわ。もうずっと昔のことだし、あの時は全てに絶望していたんですもの。)
でも、脳裏……いえ、きっとこの魂に焼き付いた、かつての自分が見た最期の景色。
思い出せずにいたのは、薄れ行く意識の中で聞いた、その人の言葉。
記憶と呼ぶにはあまりに一瞬で、破片のようなそれらは、ずっとぼやけていたはずなのに、どうしてか今になって形を持ちはじめました。
(どうして、どうして忘れていたの。)
私を食べてくれたお兄さん。あのとき確かに、輝くような笑顔でこう言っていたのに。
──あー、めちゃくちゃ頑張った後に食べるチョコバナナ、人生でいっちゃん美味いなぁ!
(わたくしがいつまでも見ない振りをして、逃げていたから……?)
だって、売れ残ったことが辛くて、どうしようもなく悲しかったから。……でも。
「そう、だったの……。」
堪えきれなくなった涙が、つう、と頬を伝います。
長い間背負っていた重石をようやく降ろすことができたような、そんな感覚がいたしました。
「キャスリン・アクミナータ嬢。」
いつの間にか優雅に跪いていたブルーノ様が、恭しくわたくしを見上げています。
「私の言葉で、ご自身の価値に気づいていただけたのなら。この愛も、信じてくださいませんか。」
彼の青く透き通った銀色の瞳が熱を孕んで、真っ直ぐにこちらを見据えました。
「改めて伝えさせてください。……心から、貴女を愛しております。私にとって唯一無二の価値を持つ貴女を、何よりも大切にいたします。そのお心が許すなら、どうか、私の妻となって、私と生涯を共にしてください。」
もしもこの場所を他の誰かが見ていたならば、ついにぼろぼろと涙を溢すわたくしは、さぞかしみっともなく映ったことでしょう。
それでも、精一杯の微笑みを浮かべたわたくしは、何とかこの想いを伝えねばと、口を開き、たった一言を絞り出しました。
「『キャシー』と、そうお呼びくださいませ。」
* * * *
かくして、かつて自らの不運を嘆くことしかできなかったちっぽけな果実──わたくしキャスリン・アクミナータ──は、とうとう心からの幸せを掴んだのでございました。
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よもやバナナにウルッとさせられる日がくるとは(笑) とても楽しく読ませていただきました。そしてチョコバナナはやはりノーマルが正義!!
ご感想ありがとうございます!彼らの感情を大切に描きたかったので、ウルッとしていただけて、楽しんでいただけて嬉しいです!
最近は色んなチョコバナナがあってそれも面白いのですが、ノーマルが原点にして最強なことは忘れずにいたいですね!