生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン

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前世の僕

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思い出した前世の僕は普通のサラリーマンだった。

名前は山田貴斗52歳で結婚して15年目になる奥さんがいた。
奥さんは布実花39歳いわゆる歳の差夫婦だった。

布実花との出会いは短大を卒業して新卒で入って来た彼女が僕に一目惚れをしたから…らしい。
僕は見た目の中身もごく普通で今までモテたこともないしどこが良いのかさっぱりわからなかったが彼女にとって13歳も年上の普通のおっさんが魅力的に映ったようだ。

布実花は大人しめの普通の女の子だったけどものすごく積極的にアプローチしてきた。
周りもびっくりするくらい。

若い女の子から熱烈にアピールされて僕はすっかり絆されてしまったのだった。
5年ほどの交際を経て僕たちは結婚をした。
夫婦の暮らしは大きな波もなく順調だった。

歳の差のせいかお互いのおだやかな性格のためか取り立てて喧嘩もなく仲良く暮らしていた。
結婚して5年が経った時奥さんに頼まれた。

「一緒に不妊治療の検査に行って欲しい。」

5年間避妊せずにいたのに子供が出来なかったからだ。
僕たちは結婚したら子供ができるもんだと漠然と考えていたけれどそうではなさそうだった。
彼女は今年30歳になった。
子供が欲しいならそろそろ真剣に考えたいと。
僕も彼女1人にこの気持ちを背負わせたくなかったから一緒に検査に行くことにした。
結果は………….僕に原因があった。

子供の頃に出した高熱が原因で精子がないらしい。
2人で落ち込んだ…彼女が子供を望むなら離婚したほうが良いだろう。

だけど自分からそれを切り出す勇気はなく、それからしばらくは2人ともどこかよそよそしい空気の中暮らした。
あれから一月近く立っところ真剣な顔で彼女から話があると言われた。
離婚かな… と思いながら彼女の前に座った。
聞かされた話は大変に衝撃的だった。

彼女は高校生の頃から漫画を描いていて同人誌を作っていたと言うのだ。

結婚してからはかなり頻度は減って同人誌を出すことはなかったけどSNSでは時々出していてその界隈ではまぁまぁの有名人だという。
その界隈とはBL漫画…。

確かに僕が仕事から帰るとタブレットとペンのようなものがテーブルに置いてある時はあったけど全く気が付かなかった。
ペンネームは「アルパカ」名付けた理由は特に無いらしい。

少し読ませてもらったけれど…かなりエグくてそしてエロい。
そして僕に放った衝撃の言葉…。

「私たちに子供が望めないことは仕方がない。子供ができたら子育てを頑張るつもりでいたからこれからの生き方を考え直してみた。私はBL漫画を描くことが好きだからこれからはあなたに隠さずに描いていきたい。」
僕は呆然としてしまったけど受け入れてしまった。

なんだかんだと13歳も年下の彼女が可愛くて彼女の望みはなんだって叶えてやりたい。
ましてや自分のせいで欲しかった子供が望めないのだから…。

それからの暮らしは彼女は近所のコンビニでパートをしつつ漫画を描いていた。商業?とやらのお誘いもあるそうだが彼女曰く「自分の好きなように描きたい」という理由で断っているらしい。知らんけども。お金儲けが入ると色々制約が出るんだろうか?作家さんも大変なんだな。

一応僕も会社員としてそれなりの収入はあるし贅沢もしない夫婦2人だけだから余裕はある。

同人誌活動なんかにかかるお金は彼女のパート代で賄っているからまぁ好きなようにやってくれたらいいよって感じで2人で出かけたり美味しいもの食べたりして仲良く暮らしていた。

そんな生活が3年ほど続いた時に彼女がまたしても真剣な顔で話があると言って来た。
なんだろうか?と思って前に座ると彼女がおずおずと何かを差し出してきた。
何やら黒くてうねうねした不思議な形の物体と何かゲル状の液体の入ったボトル。

「これをあなたで試したい…。」

どうやらこれを尻に入れて前立腺を刺激するらしい…。
流石に引いたが「今まで想像で書いてきたけど本当はどうなのか実際に見てみたい。」
結局僕は受け入れた。

可愛い可愛い年下の奥さんの望みは聞いてあげたいのだ。

そうは言っても最初はかなり屈辱的だったし苦戦した。
腸を空にして少しずつ奥さんに尻を向けて慣らされる日々…。
違和感しかなくて拒否感もあったけど彼女は止めようとしなかった。
むしろ嬉々として僕の尻穴をいじってくる、ついには乳首まで開発されてしまい乳首でいくという何とも複雑な気持ちになりつつ受け入れる。

僕もなんだかんだと彼女には逆らえないのだ。

そんなある時突然それはやってきた。
いつもの道具がある場所をぐりっとした瞬間「あっ!ああっ!」と思わず声が出ていってしまった。
呆然としながら今のは一体…と考える。

奥さんはすごく嬉しそうに「あなた今のが前立腺ね!あなたの良いところ!ついにお尻でいけたのね!ありがとう!参考になったわ!」とそれはそれは大層喜んでくれたけど、その日を境に僕はすっかりお尻の魅力に取り憑かれ奥さんは僕のお尻の開発に取り憑かれてしまったのだった。
 
 
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