31 / 39
31
しおりを挟む
3ヶ月後
僕は大陸の南方にある小さな王国に来ていた。
そこは鉱山資源が豊富で気候も良く良質な土壌もあり小さいけれどとても豊かな王国だった。
この国では厳正な審査を経て国王から認められると複数婚が出来るという。
なんでそんなことを知っているかと言うと高人の祖母はここの国王の妹だからだそうで。
なんでもお祖母様は日本に留学してきて高人の祖父と恋に落ちてそのまま結婚!というなかなか勢いのあるご婦人だと聞いた。
3ヶ月前に2人と再開した後に会いに行ったら高人にそっくりな髪色と瞳の色でとても美しい人だった。
そして僕たち3人の望む家族の形を応援してくれて、王国への移住を勧めてくれたのだ。
それから怒涛の日々が始まった。
高人と汐李は会社の仕事の引き継ぎを始めた。
高人は汐李のパートナーとなっていたので小鳥遊グループの会社で汐李と一緒に経営をしていたから2人であれこれと部下や側近に仕事を引き継いでいく。
汐李の両親は高人といずれこのまま番となって会社を継いでくれると思っていたようで大変な驚きようだった。
挨拶に行ったら小鳥遊夫人は「汐李はとっくにあなたを諦めたと思っていたわ。運命の番に勝るものはないと思っていたから…。どうりで一緒にいてもなかなか番わないはずだわ…。」
そう言いながら「ここまで朔くんに思いを寄せていたのね…あなた達3人の幸せを祈っているわ。」
と僕を抱きしめてくれた。そして「今まであなたには辛い思いをさせてごめんなさい。」と耳元で小さな声で囁いた。
会社の跡継ぎは汐李の側近をしていた小鳥遊家の本家筋に当たる優秀なアルファに任せるそうだ。
僕の両親のペンションにも行ってきた。お父さんもお母さんもつい数日前に来たばかりで急に訪ねたから驚いていたけど汐李を見てわかったみたい。
でも高人と3人で結婚することを伝えたらちょっと固まってた。
お母さんはちょっと考えてから「まぁこの状況は分からないこともないわね。」と頷いた。
お母さんも僕と同じ両性ベータだからね。
過去にアルファオメガに挟まれて似たような状況になったことがあったみたい。
覚醒はしてないから普通のベータと同じように暮らしてるけど。
お父さんもそのことは知ってたみたいっていうかその状況で困ってるお母さんを助けたところから交際が始まったんだって。
外国で結婚することに関しても、そもそも僕はアメリカから帰らないと思ってたらしくて受け入れてくれた。
僕も病院を退職したり引き継ぎしたりしなくてはいけなくてアメリカへ一旦戻る時、何故だか海里が一緒についてきた。
高人と汐李もついてきたがったんだけどまだ引き継ぎが終わらないから仕方がないよね。
そしたら海里がボディガードとしてついてくるって言うんだ。
確かに久しぶりに会った海里はなんだかムキムキになってて身体が二回りくらい大きくなってまさにボディガードみたいに見える。産科医には見えないな。
海里はフリーの産科医として国内では有名らしいんだけど、フリーだから自由が効くって言って僕と一緒に居てくれるんだって。
僕はずっとアメリカで暮らして仕事をしてきたんだから1人でも心配ないんだけど…仲良くしてた海里が一緒っていうのはちょっとうれしいな。
高人と汐李は「海里が一番危ないっつーの」って言ってたけど…何が危ないのかわからないよ。
アメリカの病院で僕を日本へ行かせてくれた上司に挨拶をする。
結婚するために退職する旨を伝えるとものすごく喜んでそして寂しがってくれた。
「時折寂しそうな顔をしていたけどすっかり幸せそうな顔になってるぞ!本当に良かった!おめでとう!」
と言ってくれて僕もすごく嬉しくなった。
それからは患者さんの引き継ぎやら各種手続きやらで忙殺されたけど、身の回りのことを海里が引き受けてくれてとても助かった。
アメリカで僕の引き継ぎの手続きの手伝いをしてくれてる時にオメガの緊急の出産が重なってしまってちょっと危険な状態になってた時、海里が急遽オペに入って的確で正確な手術をしたらしく(僕は小児病棟にいたから全然しらなかった。)、術後僕に産科医として勤務してくれるよう説得してくれって院長直々に頼まれてしまったほどだ。
「海里の産科医の腕はすごいんだね!」って言ったら
「まぁな。朔の出産は任せろよ!」ってニヤってするから思わず真っ赤になっちゃったよ。
まぁそんな感じでアメリカでの引き継ぎやら手続きも終わって一旦日本へ帰国してから4人で高人のお祖母様の祖国へ渡った。
僕は大陸の南方にある小さな王国に来ていた。
そこは鉱山資源が豊富で気候も良く良質な土壌もあり小さいけれどとても豊かな王国だった。
この国では厳正な審査を経て国王から認められると複数婚が出来るという。
なんでそんなことを知っているかと言うと高人の祖母はここの国王の妹だからだそうで。
なんでもお祖母様は日本に留学してきて高人の祖父と恋に落ちてそのまま結婚!というなかなか勢いのあるご婦人だと聞いた。
3ヶ月前に2人と再開した後に会いに行ったら高人にそっくりな髪色と瞳の色でとても美しい人だった。
そして僕たち3人の望む家族の形を応援してくれて、王国への移住を勧めてくれたのだ。
それから怒涛の日々が始まった。
高人と汐李は会社の仕事の引き継ぎを始めた。
高人は汐李のパートナーとなっていたので小鳥遊グループの会社で汐李と一緒に経営をしていたから2人であれこれと部下や側近に仕事を引き継いでいく。
汐李の両親は高人といずれこのまま番となって会社を継いでくれると思っていたようで大変な驚きようだった。
挨拶に行ったら小鳥遊夫人は「汐李はとっくにあなたを諦めたと思っていたわ。運命の番に勝るものはないと思っていたから…。どうりで一緒にいてもなかなか番わないはずだわ…。」
そう言いながら「ここまで朔くんに思いを寄せていたのね…あなた達3人の幸せを祈っているわ。」
と僕を抱きしめてくれた。そして「今まであなたには辛い思いをさせてごめんなさい。」と耳元で小さな声で囁いた。
会社の跡継ぎは汐李の側近をしていた小鳥遊家の本家筋に当たる優秀なアルファに任せるそうだ。
僕の両親のペンションにも行ってきた。お父さんもお母さんもつい数日前に来たばかりで急に訪ねたから驚いていたけど汐李を見てわかったみたい。
でも高人と3人で結婚することを伝えたらちょっと固まってた。
お母さんはちょっと考えてから「まぁこの状況は分からないこともないわね。」と頷いた。
お母さんも僕と同じ両性ベータだからね。
過去にアルファオメガに挟まれて似たような状況になったことがあったみたい。
覚醒はしてないから普通のベータと同じように暮らしてるけど。
お父さんもそのことは知ってたみたいっていうかその状況で困ってるお母さんを助けたところから交際が始まったんだって。
外国で結婚することに関しても、そもそも僕はアメリカから帰らないと思ってたらしくて受け入れてくれた。
僕も病院を退職したり引き継ぎしたりしなくてはいけなくてアメリカへ一旦戻る時、何故だか海里が一緒についてきた。
高人と汐李もついてきたがったんだけどまだ引き継ぎが終わらないから仕方がないよね。
そしたら海里がボディガードとしてついてくるって言うんだ。
確かに久しぶりに会った海里はなんだかムキムキになってて身体が二回りくらい大きくなってまさにボディガードみたいに見える。産科医には見えないな。
海里はフリーの産科医として国内では有名らしいんだけど、フリーだから自由が効くって言って僕と一緒に居てくれるんだって。
僕はずっとアメリカで暮らして仕事をしてきたんだから1人でも心配ないんだけど…仲良くしてた海里が一緒っていうのはちょっとうれしいな。
高人と汐李は「海里が一番危ないっつーの」って言ってたけど…何が危ないのかわからないよ。
アメリカの病院で僕を日本へ行かせてくれた上司に挨拶をする。
結婚するために退職する旨を伝えるとものすごく喜んでそして寂しがってくれた。
「時折寂しそうな顔をしていたけどすっかり幸せそうな顔になってるぞ!本当に良かった!おめでとう!」
と言ってくれて僕もすごく嬉しくなった。
それからは患者さんの引き継ぎやら各種手続きやらで忙殺されたけど、身の回りのことを海里が引き受けてくれてとても助かった。
アメリカで僕の引き継ぎの手続きの手伝いをしてくれてる時にオメガの緊急の出産が重なってしまってちょっと危険な状態になってた時、海里が急遽オペに入って的確で正確な手術をしたらしく(僕は小児病棟にいたから全然しらなかった。)、術後僕に産科医として勤務してくれるよう説得してくれって院長直々に頼まれてしまったほどだ。
「海里の産科医の腕はすごいんだね!」って言ったら
「まぁな。朔の出産は任せろよ!」ってニヤってするから思わず真っ赤になっちゃったよ。
まぁそんな感じでアメリカでの引き継ぎやら手続きも終わって一旦日本へ帰国してから4人で高人のお祖母様の祖国へ渡った。
38
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
芽吹く二人の出会いの話
むらくも
BL
「俺に協力しろ」
入学したばかりの春真にそう言ってきたのは、入学式で見かけた生徒会長・通称β様。
とあるトラブルをきっかけに関わりを持った2人に特別な感情が芽吹くまでのお話。
学園オメガバース(独自設定あり)の【αになれないβ×βに近いΩ】のお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる