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結局汐李は両親と話し合って、お見合いはしたらしい。断ったみたいだけど。
相手のアルファがすごく乗り気だったらしくて断るのが大変だったと不機嫌な顔で学校へ行く車に乗って僕を待っていた。
そして僕の首元に顔を近づけてスンスンと匂いを嗅ぎながら
「はぁー朔の匂い嗅ぐとイライラも落ち着くなぁー。」
ってニコニコしてる。くすぐったいし恥ずかしいしドキドキしちゃうからほんとにやめてほしい。
ドキドキしながらも報われないこの気持に蓋をしなくちゃならないのは本当に辛く悲しい気持ちになるけれど。
この日から汐李はますます僕と一緒にいたがった。
嬉しいけど僕はベータで汐李はオメガ、番うことはできないし家柄も雲泥の差があるから絶対に期待してはいけないってちゃんとわかっている。
それに汐李は僕の両性ベータ特有の匂いに惹かれているだけだということも…。
僕は心の中で汐李への気持ちを恋から友情へ線を引き直した。
中学3年生の年末も押し迫ったころ汐李と学校から帰宅すると、汐李が会社から急に呼び出されて出かけて行った。
こんなことは滅多にないのに珍しいな…と見送ったら奥さまに呼ばれた。
「高校進学のことなんだけど、成績優秀なあなたに行ってもらいたい高校があるの。」
そこはアルファのエリート育成進学校だった。
今はアルファもオメガも平等といわれているけれど、アルファもオメガもフェロモンコントロールするのはどうしたって精神的・肉体的に多少なりとも負担がかかることだからエリート育成校はアルファ専門オメガ専門と分かれているところもあるのだ。
ベータはフェロモンに影響されないので成績さえ伴っていれば入学できる。
僕は今の学校で学年2位なんだ。1位は汐李。
この成績だから試験を受けずに推薦で入学出来るんだって。
「全寮制でみっちり3年間。将来的には汐李の仕事のサポートをしてもらうために勉強とアルファの人脈を作ってきてほしいのよ。」
これを僕に言うために汐李を会社へ行かせたんだろう。何しろ汐李は僕から片時も離れないから。
汐李と高校で引き離してその間に汐李の番をどうにかしたいのだと僕は理解した。
確かに僕が汐李のそばにいたら汐李は頑なに番を拒むだろう。
そしてベータの僕にはなすすべがないこともわかっている。
小鳥遊夫妻は僕のことはとても気に入っていてできればずっとここにいて欲しかったと。
でも汐李の将来のためにここは自分たちの提案を聞き入れて欲しいと頭を下げた。
両親にも話はついてると先手を打たれ僕には断る理由がなかった。
そして僕は汐李に内緒でアルファ専門の高校へ進学した…。
相手のアルファがすごく乗り気だったらしくて断るのが大変だったと不機嫌な顔で学校へ行く車に乗って僕を待っていた。
そして僕の首元に顔を近づけてスンスンと匂いを嗅ぎながら
「はぁー朔の匂い嗅ぐとイライラも落ち着くなぁー。」
ってニコニコしてる。くすぐったいし恥ずかしいしドキドキしちゃうからほんとにやめてほしい。
ドキドキしながらも報われないこの気持に蓋をしなくちゃならないのは本当に辛く悲しい気持ちになるけれど。
この日から汐李はますます僕と一緒にいたがった。
嬉しいけど僕はベータで汐李はオメガ、番うことはできないし家柄も雲泥の差があるから絶対に期待してはいけないってちゃんとわかっている。
それに汐李は僕の両性ベータ特有の匂いに惹かれているだけだということも…。
僕は心の中で汐李への気持ちを恋から友情へ線を引き直した。
中学3年生の年末も押し迫ったころ汐李と学校から帰宅すると、汐李が会社から急に呼び出されて出かけて行った。
こんなことは滅多にないのに珍しいな…と見送ったら奥さまに呼ばれた。
「高校進学のことなんだけど、成績優秀なあなたに行ってもらいたい高校があるの。」
そこはアルファのエリート育成進学校だった。
今はアルファもオメガも平等といわれているけれど、アルファもオメガもフェロモンコントロールするのはどうしたって精神的・肉体的に多少なりとも負担がかかることだからエリート育成校はアルファ専門オメガ専門と分かれているところもあるのだ。
ベータはフェロモンに影響されないので成績さえ伴っていれば入学できる。
僕は今の学校で学年2位なんだ。1位は汐李。
この成績だから試験を受けずに推薦で入学出来るんだって。
「全寮制でみっちり3年間。将来的には汐李の仕事のサポートをしてもらうために勉強とアルファの人脈を作ってきてほしいのよ。」
これを僕に言うために汐李を会社へ行かせたんだろう。何しろ汐李は僕から片時も離れないから。
汐李と高校で引き離してその間に汐李の番をどうにかしたいのだと僕は理解した。
確かに僕が汐李のそばにいたら汐李は頑なに番を拒むだろう。
そしてベータの僕にはなすすべがないこともわかっている。
小鳥遊夫妻は僕のことはとても気に入っていてできればずっとここにいて欲しかったと。
でも汐李の将来のためにここは自分たちの提案を聞き入れて欲しいと頭を下げた。
両親にも話はついてると先手を打たれ僕には断る理由がなかった。
そして僕は汐李に内緒でアルファ専門の高校へ進学した…。
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