7 / 39
7
しおりを挟む
「で?月に一度バースセンターへ定期検査に行くの?」
「うん。月末の最終土曜日に行くことになったよ。学校も休みだし。」
「じゃあその日は僕と会えないじゃん!送迎するよ!」
「えっ!何言ってるの?汐李は土曜日も忙しいじゃん!僕に時間使ってる場合じゃないでしょ?」
そう、汐李は中学入学と同時に小鳥遊グループの会社の一つで経営を半分任されるようになった。
まだ社長の父親とその第一秘書がとなりにいてフォローがあるとはいえ、並み居る百戦錬磨の大人たちと渡り合うのは大変だろう。
だがそれを乗り越えて何千人といる社員たちを従える経営者に育っていくのは大企業の御曹司として生まれたからには当然のことなのだいう。
そして将来的に跡を継ぎ家格に釣り合う優秀なアルファを養子に迎え跡取りを産むことも決められている。
そこに本人の意思はないけれど、上流階級の世界では当たり前のことみたい。
だから学校が休みの日は会社経営や人脈作りに奔走し、次々と舞い込むアルファとのお見合いをしている。
汐李本人はお見合いに全く興味が無く、いつも行くだけ行って義理だけ果たして帰ってくる。
汐李はものすごく綺麗なうえに可愛くて、優秀でそして何よりも優しくて完璧だからお見合い相手のアルファからはいつも是非交際を!って言われるんだけどいつも断っちゃうんだ。
そしてそのことに僕はこっそりとホッとしてしまっていることに最近気付いてしまった。
前までそれは幼馴染みが離れていくのが寂しいからだと思っていたけど、それも少し違うとわかりかけている。
僕はこの気持ちは絶対に表には出さないと決めている。汐李のそばにいるために。
学校が終わり小鳥遊家へ帰ると奥さまに呼ばれた。
一人で部屋を訪ねると部屋には小鳥遊夫妻がいた。
汐李がお見合いに全く興味を示さない状況に困ってしまっているので僕からもう少しお見合いに積極的になるように説得して欲しいって言われた。
アルファとオメガの番である小鳥遊夫妻は良い相手と番うことこそアルファとオメガの幸せと信じている。
そしておそらく僕の気持ちに気付いている。隠しているつもりだったのに夫妻には丸わかりだったようだ。
だからこれは僕への牽制だ。
小鳥遊夫妻の言うことは絶対だから逆らうことは許されない。
そして上位オメガの汐李には素敵な上位アルファと番って幸せになって欲しいと夫妻から言われてしまうとその通りだな…と思ってしまうのだ。
「わかりました。折を見てそれとなく促してみます。」とどうにか答えて部屋を出た。
「うん。月末の最終土曜日に行くことになったよ。学校も休みだし。」
「じゃあその日は僕と会えないじゃん!送迎するよ!」
「えっ!何言ってるの?汐李は土曜日も忙しいじゃん!僕に時間使ってる場合じゃないでしょ?」
そう、汐李は中学入学と同時に小鳥遊グループの会社の一つで経営を半分任されるようになった。
まだ社長の父親とその第一秘書がとなりにいてフォローがあるとはいえ、並み居る百戦錬磨の大人たちと渡り合うのは大変だろう。
だがそれを乗り越えて何千人といる社員たちを従える経営者に育っていくのは大企業の御曹司として生まれたからには当然のことなのだいう。
そして将来的に跡を継ぎ家格に釣り合う優秀なアルファを養子に迎え跡取りを産むことも決められている。
そこに本人の意思はないけれど、上流階級の世界では当たり前のことみたい。
だから学校が休みの日は会社経営や人脈作りに奔走し、次々と舞い込むアルファとのお見合いをしている。
汐李本人はお見合いに全く興味が無く、いつも行くだけ行って義理だけ果たして帰ってくる。
汐李はものすごく綺麗なうえに可愛くて、優秀でそして何よりも優しくて完璧だからお見合い相手のアルファからはいつも是非交際を!って言われるんだけどいつも断っちゃうんだ。
そしてそのことに僕はこっそりとホッとしてしまっていることに最近気付いてしまった。
前までそれは幼馴染みが離れていくのが寂しいからだと思っていたけど、それも少し違うとわかりかけている。
僕はこの気持ちは絶対に表には出さないと決めている。汐李のそばにいるために。
学校が終わり小鳥遊家へ帰ると奥さまに呼ばれた。
一人で部屋を訪ねると部屋には小鳥遊夫妻がいた。
汐李がお見合いに全く興味を示さない状況に困ってしまっているので僕からもう少しお見合いに積極的になるように説得して欲しいって言われた。
アルファとオメガの番である小鳥遊夫妻は良い相手と番うことこそアルファとオメガの幸せと信じている。
そしておそらく僕の気持ちに気付いている。隠しているつもりだったのに夫妻には丸わかりだったようだ。
だからこれは僕への牽制だ。
小鳥遊夫妻の言うことは絶対だから逆らうことは許されない。
そして上位オメガの汐李には素敵な上位アルファと番って幸せになって欲しいと夫妻から言われてしまうとその通りだな…と思ってしまうのだ。
「わかりました。折を見てそれとなく促してみます。」とどうにか答えて部屋を出た。
35
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
芽吹く二人の出会いの話
むらくも
BL
「俺に協力しろ」
入学したばかりの春真にそう言ってきたのは、入学式で見かけた生徒会長・通称β様。
とあるトラブルをきっかけに関わりを持った2人に特別な感情が芽吹くまでのお話。
学園オメガバース(独自設定あり)の【αになれないβ×βに近いΩ】のお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる