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「両性ベータ?それは何ですか?」
何だろう?両性ベータなんて聞いたことないよ。
そこで湯川先生から両性ベータについて説明を受けた。
両性ベータというのは性別はベータなんだけど、特殊なフェロモンを持っているらしくてアルファやオメガを惹きつけるらしい。
僕のお母さんも両性ベータらしいんだけど、両性ベータは突然変異で産まれるらしくて親子というのはものすごく珍しいことみたい。
両性ベータというのがハッキリ確認されたのがまだ最近らしくてお母さんの時代には知られてなかったそうだ。
現在確認されている数は世界中でも10名足らずで年代もフェロモンが関係なくなる50代以上の方がほとんどで、将来的なフェロモンの心配があるのは僕1人という状態みたい。
言われてみればお母さんはアルファやオメガの友だちが多く街中でもよく声をかけられていたっけ。
仕事でお世話になっている小鳥遊夫妻もアルファとオメガだ。
あくまでもベータなのでアルファやオメガのフェロモンに惑わされないしベータからみると両性ベータの特殊なフェロモンなんてわからないらしい。
でも両性というだけあって成長と共に見た目がアルファやオメガに近づく場合があるらしいんだけど…まぁ僕には関係ないかな。
身長は平均より少し大きいけど、どう見ても普通のベータだもんね。お母さんは同世代のベータ母の中ではちょっとだけ綺麗かもしれないけどね…。って思ってスンッてしてたら「自覚ないの?朔くん充分綺麗で可愛いよ。」って先生に苦笑いされたけど言ってる意味がわかんないよ。
「普段アルファやオメガに囲まれてたら麻痺しちゃうかもね。」と言った後、湯川先生は話を続けた。
両性ベータじたいが少ないのでデータが少ないけどそれでも研究過程である仮説が立ったんだそうだ。
「アルファとオメガの運命の番って知ってる?」
知ってるも何も運命の番なんてベータたちの憧れでドラマや映画なんかにも題材にされているアルファとオメガの関係じゃん。
運命の番は出会った瞬間から惹きつけあいどんなことがあっても離れられない唯一の相手でしょ?
そう言うと湯川先生は笑った。
「運命の番というのはベータの人たちがアルファとオメガの関係に憧れて作られたお伽噺に近いんだ。
本当はフェロモンの相性が完璧に合う相手というだけのことでね。
フェロモンの相性が良いから性格や嗜好が合うことも多いんだけど、お互い一人の人間だから相容れない部分がある場合もありえるんだ。
だから運命の番と言われる2人が必ず番になるわけではなくお互いに自分の本当に愛する人と番になるということもあるんだよ。
アルファとオメガの間では知られていることなんだけど大多数のベータの間ではやっぱりドラマチックな感じがするから憧れてしまうんだね。
もちろん運命の番が見つかると唯一無二の関係になることが多いのは昔から言われていることなんだけどね。」
そうなんだ。運命の番って絶対に結ばれるわけじゃないんだね。でも絆はすごく深そうだよね。
で、それがどうしたのかな?
「フェロモンの相性が合うアルファとオメガが初めて会った瞬間はどんなにコントロールしても2人のフェロモンが混じり合って特別なフェロモンを誘発するんだよ。
そしてそのフェロモンに両性ベータが充てられると両性ベータのフェロモンが覚醒してしまうと考えられているんだ。」
僕のフェロモンが覚醒する?疑問に思う僕に湯川先生はあくまでも仮説だから確実ではないけどかなり正確な説だからと話してくれた。
今の僕の状態は落ち着いたベータフェロモンでベータには当然気付かれず、アルファやオメガも僕のことは好ましいからただ一緒に居たいなぁくらいの感じなんだって。
それが覚醒しちゃうとアルファからするとオメガのヒート以上にオメガからするとアルファのラット以上に激しく誘惑するフェロモンを撒き散らすんだって。
フェロモンの暴発っていわれるそれはコントロールが上手く出来ない体質のアルファやオメガには時々あるんだけど何しろベータの場合は前例がないから僕自身がどうなってしまうのか予測がつかないんだって。
普通フェロモンコントロールが上手くいかないアルファやオメガがいた場合、早めに番を見つけて番うと落ち着くんだけど、ベータの僕は番えない。
暴走しても誰かアルファやオメガと番えば良いと言うわけではないのだ。
何それ、それって僕めっちゃ危険なんじゃないの?
湯川先生は僕の気持ちを読んだように言った。
「アルファとオメガが運命の番として出会うのは滅多にない上にその出会う瞬間に出くわすなんて人生でまずないことだから安心してね。そういうこともあるかもね…くらいの気持ちで良いよ。」
万が一そうなってしまったらベータの人にタクシーでバースセンターへ連れてきてもらってと言われた。
ベータの人はフェロモンに反応しないのと今のタクシーは万が一オメガがヒートを起こしたりしてしまった場合に備えて後部座席にフェロモン漏れ防止のパーテーションをつけることが義務付けられてるから。
なんだか不安しかないんだけど…汐李も運命の番なんて都市伝説って言ってたし…まぁ大丈夫かな。
ちなみに運命の番が出会った瞬間のフェロモン放出が影響するだけなので、出会って落ち着いた運命の番同士に会っても大丈夫みたい。
出会った瞬間のフェロモンはものすごい爆発力なんだね。
というわけで毎日のフェロモンを記録するリストバンドをつけて月に一度検診とリストバンドの記録を読み取る為にバースセンターへ通うことになった。
何だろう?両性ベータなんて聞いたことないよ。
そこで湯川先生から両性ベータについて説明を受けた。
両性ベータというのは性別はベータなんだけど、特殊なフェロモンを持っているらしくてアルファやオメガを惹きつけるらしい。
僕のお母さんも両性ベータらしいんだけど、両性ベータは突然変異で産まれるらしくて親子というのはものすごく珍しいことみたい。
両性ベータというのがハッキリ確認されたのがまだ最近らしくてお母さんの時代には知られてなかったそうだ。
現在確認されている数は世界中でも10名足らずで年代もフェロモンが関係なくなる50代以上の方がほとんどで、将来的なフェロモンの心配があるのは僕1人という状態みたい。
言われてみればお母さんはアルファやオメガの友だちが多く街中でもよく声をかけられていたっけ。
仕事でお世話になっている小鳥遊夫妻もアルファとオメガだ。
あくまでもベータなのでアルファやオメガのフェロモンに惑わされないしベータからみると両性ベータの特殊なフェロモンなんてわからないらしい。
でも両性というだけあって成長と共に見た目がアルファやオメガに近づく場合があるらしいんだけど…まぁ僕には関係ないかな。
身長は平均より少し大きいけど、どう見ても普通のベータだもんね。お母さんは同世代のベータ母の中ではちょっとだけ綺麗かもしれないけどね…。って思ってスンッてしてたら「自覚ないの?朔くん充分綺麗で可愛いよ。」って先生に苦笑いされたけど言ってる意味がわかんないよ。
「普段アルファやオメガに囲まれてたら麻痺しちゃうかもね。」と言った後、湯川先生は話を続けた。
両性ベータじたいが少ないのでデータが少ないけどそれでも研究過程である仮説が立ったんだそうだ。
「アルファとオメガの運命の番って知ってる?」
知ってるも何も運命の番なんてベータたちの憧れでドラマや映画なんかにも題材にされているアルファとオメガの関係じゃん。
運命の番は出会った瞬間から惹きつけあいどんなことがあっても離れられない唯一の相手でしょ?
そう言うと湯川先生は笑った。
「運命の番というのはベータの人たちがアルファとオメガの関係に憧れて作られたお伽噺に近いんだ。
本当はフェロモンの相性が完璧に合う相手というだけのことでね。
フェロモンの相性が良いから性格や嗜好が合うことも多いんだけど、お互い一人の人間だから相容れない部分がある場合もありえるんだ。
だから運命の番と言われる2人が必ず番になるわけではなくお互いに自分の本当に愛する人と番になるということもあるんだよ。
アルファとオメガの間では知られていることなんだけど大多数のベータの間ではやっぱりドラマチックな感じがするから憧れてしまうんだね。
もちろん運命の番が見つかると唯一無二の関係になることが多いのは昔から言われていることなんだけどね。」
そうなんだ。運命の番って絶対に結ばれるわけじゃないんだね。でも絆はすごく深そうだよね。
で、それがどうしたのかな?
「フェロモンの相性が合うアルファとオメガが初めて会った瞬間はどんなにコントロールしても2人のフェロモンが混じり合って特別なフェロモンを誘発するんだよ。
そしてそのフェロモンに両性ベータが充てられると両性ベータのフェロモンが覚醒してしまうと考えられているんだ。」
僕のフェロモンが覚醒する?疑問に思う僕に湯川先生はあくまでも仮説だから確実ではないけどかなり正確な説だからと話してくれた。
今の僕の状態は落ち着いたベータフェロモンでベータには当然気付かれず、アルファやオメガも僕のことは好ましいからただ一緒に居たいなぁくらいの感じなんだって。
それが覚醒しちゃうとアルファからするとオメガのヒート以上にオメガからするとアルファのラット以上に激しく誘惑するフェロモンを撒き散らすんだって。
フェロモンの暴発っていわれるそれはコントロールが上手く出来ない体質のアルファやオメガには時々あるんだけど何しろベータの場合は前例がないから僕自身がどうなってしまうのか予測がつかないんだって。
普通フェロモンコントロールが上手くいかないアルファやオメガがいた場合、早めに番を見つけて番うと落ち着くんだけど、ベータの僕は番えない。
暴走しても誰かアルファやオメガと番えば良いと言うわけではないのだ。
何それ、それって僕めっちゃ危険なんじゃないの?
湯川先生は僕の気持ちを読んだように言った。
「アルファとオメガが運命の番として出会うのは滅多にない上にその出会う瞬間に出くわすなんて人生でまずないことだから安心してね。そういうこともあるかもね…くらいの気持ちで良いよ。」
万が一そうなってしまったらベータの人にタクシーでバースセンターへ連れてきてもらってと言われた。
ベータの人はフェロモンに反応しないのと今のタクシーは万が一オメガがヒートを起こしたりしてしまった場合に備えて後部座席にフェロモン漏れ防止のパーテーションをつけることが義務付けられてるから。
なんだか不安しかないんだけど…汐李も運命の番なんて都市伝説って言ってたし…まぁ大丈夫かな。
ちなみに運命の番が出会った瞬間のフェロモン放出が影響するだけなので、出会って落ち着いた運命の番同士に会っても大丈夫みたい。
出会った瞬間のフェロモンはものすごい爆発力なんだね。
というわけで毎日のフェロモンを記録するリストバンドをつけて月に一度検診とリストバンドの記録を読み取る為にバースセンターへ通うことになった。
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