ブラザー・キス

椎奈風音

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ブラザー・キス

第三話

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 僕の家は、普通とはちょっと違うと思う。
 父さんは、『愛が俺を呼んでいる』とか訳の分からないことを言って世界中を飛び回っていて、自由な恋愛を楽しんでいる。
 その結果、腹違いの兄弟がどれだけいるかなんて、僕にもわからない。
 今、うちにいる兄弟達もほとんどが腹違いだ。

「椎奈くん。今日の晩御飯はなんにする?」
「…………」
「椎奈くん?」
 ぼぉーとしていたら、目の前にあお兄の顔があって、ビックリして思わず仰け反ってしまう。

 あお兄は僕の直ぐ上の兄で、僕と一緒に主夫業をしている
 兄弟が多い僕の家では二人でも、やることが多過ぎて結構忙しい。

「……えっと、なんかその反応、傷つくんだけど?」
「えっ?……うわ、ごめんなさい!」
 もう自分でも、何を言っているかわからないくらい、テンパっていた。
 落ち着かなきゃいけないと思えば思うほど、自分が空回りしているのがわかる。

「本当にどうしたの?椎奈くん。体調でも悪いの?」
「えっ!?」
 熱を測るように額をくっつけられて、一瞬思考が停止した。
(一体、どうなって、この状況!?)

「う~ん。熱はないみたいだね」
 混乱する僕を余所に、あお兄が首を傾げている。

 いい年した兄弟が、こんな確かめ方普通しないよ?
 あお兄の自然な動作から、他の兄弟にも同じことをしているのがわかる。
 その姿を想像して、無意識のうちに、顔が歪む。

 ……なんか面白くない。

 胸の奥にモヤッとしたものが広がって、イライラする。
 あお兄がみんなに優しいことはわかっているし、誰か一人が特別なんてことはない。
 あお兄は、ある意味本当に平等だ。

 だけど……。
 それが無性にむかつくのはなんでだろう。
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