Voice

椎奈風音

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第二話

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「おはよう……」
 翌日ダイニングの扉を開けると、いつものように翔梧が朝ご飯を食べていた。
「おはよ」
 俺も挨拶を返して、翔梧の前の席に座る。

「お前、今日休みなのに早いなぁ」
 俺が感心していると、翔梧がボソッと「仕事だから」と呟いた。
「なるほどね」

 翔梧は映像関係の仕事をしている。
 中学生の時に撮った写真で、有名な賞を取ってから注目され始め、今はメディアなどで活躍している。
 以前は写真がメインだったが、最近ではCMなどの映像を手掛けることが多い。
 あの俺が惹かれた『Voice』のCMも翔梧が撮ったものだ。

「大変だな。今日はなんの仕事?」
「ああ、『Voice』の第二弾の撮影」
「あれって、続き撮るんだ?」
 俺は驚きに目を見開いた。

「そう。それで……、提案なんだけど……」
「ん……?」
(何か嫌な予感がするんだけど……)
 コイツのお願いって、いつもロクなことがないんだよね。 


「今日の撮影、奏についてきて欲しいんだ」
「は?」
 俺は真顔で聞き返してしまった。

(一体何言ってんの?コイツ)
 撮影現場なんて、一般人の自分が行く所でもないし。
 それにかなり場違いだ。

「お前にとっては悪いことじゃないはずだけど……?『Voice』の声、誰か知りたいんだろ?」
 はっとして、翔梧を見た。
(なんで、翔梧がそんなこと知ってるんだ?)
「……図星?」
 翔梧は、にっと不敵な笑みを浮かべた。
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