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旋律
第四話
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その部屋は、翔梧の家の隣だった。
最上階は一番値段が高く2部屋しかない。
片方は幼馴染みの翔梧の家族が昔から住んでいたが、高過ぎる値段のせいか、もう一部屋は買い手がつかず、ずっと空室だった。
(……コイツって、いいとこのお坊ちゃんじゃん)
場所は都心から少し離れているが、設備が整っているため、それなりに高い。
しかも、最上階は他の部屋と比べて明らかにグレードが高く、他の階の倍はする。
「家族と一緒に引っ越して来たのか?」
「いや」
俺の疑問に藤堂は苦笑して、否定した。
高校生の一人暮らしは別に珍しくない。
だけど、こんな高級マンションで一人暮らしなんて聞いたことがない。
(一体、何者なんだ?コイツ……)
「そもそも、なんで転校してきたんだ?」
俺は根本的なことを聞いてみる。
家族の仕事の都合とかで引っ越したんなら家族と一緒に同居するだろうし、家族について行かないで一人暮らしをするなら、前の学校の近くのマンションにするだろう。
(何故、コイツの場合、どっちでもないんだ?)
「両親が海外に転勤になって、俺を一人で置いておくのが不安だから、親戚がいるここに引っ越して来ることになったんだ。そんなに心配しなくても、前住んでた所からそんなに離れてないのにね。うちの両親、めちゃくちゃ過保護だよ」
(……確かに)
藤堂を見れば、親に大事にされて育ったんだな、っていうのが一発でわかる。
品がいいというか、育ちの良さを感じるのだ。
(ん?でも都内ってことはどこの学校に通ってたんだろう?)
「藤堂、前はどこの学校にいたの?」
「聖和だけど」
「はぁ?」
俺は目を見開く。
(よりによって、聖和かよ!マジでありえない!!)
聖和学園は全国でも1、2を争う偏差値の高い名門校だ。
毎年受験には、全国から数千人以上の人が集まるが、合格するのはその中のほんの一握りと言われている。
そんな名門校にいたのに、姉妹校とはいえ、かなりレベルに差のあるうちの学校に転校してくるなんて勿体ない。
しかも特進科ならまだしも、こんな普通のクラスに……。
最上階は一番値段が高く2部屋しかない。
片方は幼馴染みの翔梧の家族が昔から住んでいたが、高過ぎる値段のせいか、もう一部屋は買い手がつかず、ずっと空室だった。
(……コイツって、いいとこのお坊ちゃんじゃん)
場所は都心から少し離れているが、設備が整っているため、それなりに高い。
しかも、最上階は他の部屋と比べて明らかにグレードが高く、他の階の倍はする。
「家族と一緒に引っ越して来たのか?」
「いや」
俺の疑問に藤堂は苦笑して、否定した。
高校生の一人暮らしは別に珍しくない。
だけど、こんな高級マンションで一人暮らしなんて聞いたことがない。
(一体、何者なんだ?コイツ……)
「そもそも、なんで転校してきたんだ?」
俺は根本的なことを聞いてみる。
家族の仕事の都合とかで引っ越したんなら家族と一緒に同居するだろうし、家族について行かないで一人暮らしをするなら、前の学校の近くのマンションにするだろう。
(何故、コイツの場合、どっちでもないんだ?)
「両親が海外に転勤になって、俺を一人で置いておくのが不安だから、親戚がいるここに引っ越して来ることになったんだ。そんなに心配しなくても、前住んでた所からそんなに離れてないのにね。うちの両親、めちゃくちゃ過保護だよ」
(……確かに)
藤堂を見れば、親に大事にされて育ったんだな、っていうのが一発でわかる。
品がいいというか、育ちの良さを感じるのだ。
(ん?でも都内ってことはどこの学校に通ってたんだろう?)
「藤堂、前はどこの学校にいたの?」
「聖和だけど」
「はぁ?」
俺は目を見開く。
(よりによって、聖和かよ!マジでありえない!!)
聖和学園は全国でも1、2を争う偏差値の高い名門校だ。
毎年受験には、全国から数千人以上の人が集まるが、合格するのはその中のほんの一握りと言われている。
そんな名門校にいたのに、姉妹校とはいえ、かなりレベルに差のあるうちの学校に転校してくるなんて勿体ない。
しかも特進科ならまだしも、こんな普通のクラスに……。
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