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転校生
第二話
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俺の通う栄和学園は、幼等部から大学部までエスカレーター式の有名私立学校だ。
都心から少し外れた場所にあるせいか、有り余る自然と広大な敷地面積を誇っている。
俺と翔梧は通い慣れた高等部へ続く道を猛ダッシュで走り、本鈴ギリギリで教室にすべりこんだ。
「あれ?意外に余裕?」
いつも時間に正確な担任がまだ来ていない。
横でボソッと、そんなわけないだろ、とツッコミを入れた翔梧をあえて無視していると、前の席に座っていたクラス委員の賀川と目が合った。
賀川はにっと笑って、
「おそよう!遅刻ギリギリに来たお前らにビックニュースがあるぞ!」
「……おはよう。くだらない嫌味はいいから、ビックニュースって何?」
よくぞ聞いてくれました!とばかりに賀川が喋り出す。
「実はこのクラスに転校生がくるらしくてさ」
「は?」
俺は思わず真顔で聞き返してしまった。
一貫教育を基本としているこの学校は、よほどの理由がないかぎり学期途中で他校生を受け入れることはない。
しかも高校2年の秋という中途半端な時期に……。
「賀川は、その転校生見たの?」
「ああ。今日、日誌を取りに職員室に行ったら、先生と話してた」
「ふ~ん。男?それとも女の子?」
やっぱ、お前もそこが気になるんだな、としたり顔で賀川が口を開こうとした瞬間、教室の戸が開いた。
(こんなの、ありか!?)
担任と一緒に入って来た少年を見た瞬間、自分の目を疑った。
(滅多にいないぞ。こんな翔梧並の美形……)
天然なのか、染めているのかはよくわからないが、手触りの良さそうな色素の薄い髪に焦げ茶の瞳。
甘く整った顔立ち。
翔梧とは正反対の魅力を持つ美形だ。
教室の隅の方から、女の子達の黄色い声が聞こえる。
彼女達の『いい男チェック』はすでに始まっているらしい。
都心から少し外れた場所にあるせいか、有り余る自然と広大な敷地面積を誇っている。
俺と翔梧は通い慣れた高等部へ続く道を猛ダッシュで走り、本鈴ギリギリで教室にすべりこんだ。
「あれ?意外に余裕?」
いつも時間に正確な担任がまだ来ていない。
横でボソッと、そんなわけないだろ、とツッコミを入れた翔梧をあえて無視していると、前の席に座っていたクラス委員の賀川と目が合った。
賀川はにっと笑って、
「おそよう!遅刻ギリギリに来たお前らにビックニュースがあるぞ!」
「……おはよう。くだらない嫌味はいいから、ビックニュースって何?」
よくぞ聞いてくれました!とばかりに賀川が喋り出す。
「実はこのクラスに転校生がくるらしくてさ」
「は?」
俺は思わず真顔で聞き返してしまった。
一貫教育を基本としているこの学校は、よほどの理由がないかぎり学期途中で他校生を受け入れることはない。
しかも高校2年の秋という中途半端な時期に……。
「賀川は、その転校生見たの?」
「ああ。今日、日誌を取りに職員室に行ったら、先生と話してた」
「ふ~ん。男?それとも女の子?」
やっぱ、お前もそこが気になるんだな、としたり顔で賀川が口を開こうとした瞬間、教室の戸が開いた。
(こんなの、ありか!?)
担任と一緒に入って来た少年を見た瞬間、自分の目を疑った。
(滅多にいないぞ。こんな翔梧並の美形……)
天然なのか、染めているのかはよくわからないが、手触りの良さそうな色素の薄い髪に焦げ茶の瞳。
甘く整った顔立ち。
翔梧とは正反対の魅力を持つ美形だ。
教室の隅の方から、女の子達の黄色い声が聞こえる。
彼女達の『いい男チェック』はすでに始まっているらしい。
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