秘密の関係

犬猿の仲！？

第五話

　あれからコーヒーを飲みながら30分くらい皆で話をしていたが、部外者があまり長居をするのも良くないと思って、雄哉と帰ることにした。
　暁ちゃんも一緒に帰りたがっていたが、生徒会の仕事がまだ終わらないらしく、暁ちゃんを残して帰宅した。

「ただいま～」
「おかえり」
　玄関のドアを開けると、すぐに春兄ちゃんが出迎えてくれる。
「遅かったな。何かあったのか？」
　春兄ちゃんが心配そうな顔で僕を見る。
　（本当に過保護だなぁ）
　まだ6時を少しまわった所だ。
　そんなに心配されるような時間でもない。

「別に何もないよ。ちょっと生徒会室に寄ってただけ」
「は？なんで生徒会室？」
　春兄ちゃんが不思議そうな顔をしたが、春兄ちゃんの反応はもっともだ。
　一般の生徒には生徒会室なんて、用がないよね。

「僕、学級委員になったから、その挨拶に行ってたんだ」
「はぁ？」
　春兄ちゃんが目を見開く。
（なんか今にも目が落ちそうだよ、春兄ちゃん……）

「なんでいきなり学級委員なんだ？」
　その質問、ごもっともです。
　僕もあの時、同じこと思ったし。
「雄哉に指名されたから」
　僕が答えた瞬間――、その場の空気が変わった気がした。

（春兄ちゃん、なんか目がマジだよ……）
　なんか春兄ちゃんの目に殺意が見える気がする。
　今なら、視線だけで人が殺せるって言われても、僕、驚かないよ。

「……（アイツ、余計なことをしやがって……）」
「は？」
　春兄ちゃんの声が、聞き取りにくくて聞き返した。
「……別に、なんでもないよ」
　春兄ちゃんは、その端正な顔に苦笑いを浮かべる。

（なんでもない、って顔じゃないけど）
　いつもは落ち着いている春兄ちゃんが、こんなに感情を表に出すことは珍しい。
　不謹慎だけど……、なんていうか、可愛い。
　春兄ちゃんに聞かれたら、卒倒しそうなことを僕は考えていた。