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ジュエル・キス
第十一話
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「……何処だ、ここ?」
目が覚めると、見知らぬ部屋で寝ていた。
大きなベッドが部屋の中心にあり、一般家庭ではまずないと思われるミラーボールが室内を照らしている。
色んな色のライトで照らし出される天井を眺めながら、思わず現実逃避をしたくなる。
こんな奇抜な部屋、ラブホ以外に考えられない。
かなり飲み過ぎたのか、合コンが終わってからの記憶が全くない。
恐る恐る被っていた布団を捲ると、真っ裸だった。
(……マジで、終わった)
ただ酔っ払って脱いだだけならいいが、誰かを持ち帰ってしまったなら最悪だ。
身体に特に違和感はないが、妙なダルさを感じる。
これは酒を飲み過ぎたせいなのか、それとも誰かとそういうことをしたせいなのか判断がつかない。
(一体、誰とここまで来たんた?)
記憶がないほど酔っ払っていたなら、一人でこんな所に来るなんて不可能だ。
合コンをしたのが駅前の居酒屋だったから、近くにはラブホ以外にも普通のホテルも沢山ある。
何故よりによってこんな場所に来てしまったのか。
今まで自分の酒癖が悪いと思ったことはないが、記憶を飛ばすまで飲んだことはなかったから、どうなるかは正直わからない。
呆然としていると、ドアの向こうに人の気配がする。
恐らくドアの向こうがバスルームなのだろう。
シャワーの水音が止まると、ドアを開く音が聞こえる。
相手が誰にしろ、今すぐこの場から逃げ出したい。
「ああ、起きたんだ」
濡れた髪をバスタオルで拭きながら現れた人物は、俺が想像していた中で一番ありえない人だった。
バスローブを羽織っただけの身体は、大事な所が何一つ隠れていない。
きめ細かい真っ白な肌に、ピンク色の乳首。
均整の取れたバランスのいい身体は、相手が男であっても壮絶な色気を感じる。
「……アンタ!なんで……」
「覚えてないの?シン」
色気のある瞳でジッと見つめられると、心臓が嫌な音を立てる。
(まさか、俺この人とヤッてしまったのか?)
正直、信じたくない。
俺は今まで男と関係を持ったことは一度もない。
絶対無理かと言われると、そうじゃない気もするが、兄貴のセフレであるこの人は別だ。
兄貴のことは最大のコンプレックスであり、未だ越えることの出来ない大きな壁だ。
「……じゃあ、思い出させてあげる」
上から体重を掛けられ、ベッドの上に押し倒される。
俺の方が力があるのかもしれないが、上から体重を掛けられると分が悪い。
強引に唇を奪われ、舌を入れられる。
舌を絡められて丁寧に舐められると、次第に頭がぼんやりしてくる。
(本当にこの人、キスが上手い)
口の中の敏感な所を愛撫するように舐められると、身体の奥底から熱い何かが湧き上がってくる気がする。
抵抗しなければと思う端から、快感に思考が絡め取られていく。
「トロンとしちゃって、本当に可愛いな」
「え?」
「こんな快感に弱い身体、……食べちゃっていい?」
「は!?」
正に火事場の馬鹿力というのは、こういうことを言うのだろう。
我に返った俺は、堕とされるギリギリの所で男を押し退けることに成功した。
目が覚めると、見知らぬ部屋で寝ていた。
大きなベッドが部屋の中心にあり、一般家庭ではまずないと思われるミラーボールが室内を照らしている。
色んな色のライトで照らし出される天井を眺めながら、思わず現実逃避をしたくなる。
こんな奇抜な部屋、ラブホ以外に考えられない。
かなり飲み過ぎたのか、合コンが終わってからの記憶が全くない。
恐る恐る被っていた布団を捲ると、真っ裸だった。
(……マジで、終わった)
ただ酔っ払って脱いだだけならいいが、誰かを持ち帰ってしまったなら最悪だ。
身体に特に違和感はないが、妙なダルさを感じる。
これは酒を飲み過ぎたせいなのか、それとも誰かとそういうことをしたせいなのか判断がつかない。
(一体、誰とここまで来たんた?)
記憶がないほど酔っ払っていたなら、一人でこんな所に来るなんて不可能だ。
合コンをしたのが駅前の居酒屋だったから、近くにはラブホ以外にも普通のホテルも沢山ある。
何故よりによってこんな場所に来てしまったのか。
今まで自分の酒癖が悪いと思ったことはないが、記憶を飛ばすまで飲んだことはなかったから、どうなるかは正直わからない。
呆然としていると、ドアの向こうに人の気配がする。
恐らくドアの向こうがバスルームなのだろう。
シャワーの水音が止まると、ドアを開く音が聞こえる。
相手が誰にしろ、今すぐこの場から逃げ出したい。
「ああ、起きたんだ」
濡れた髪をバスタオルで拭きながら現れた人物は、俺が想像していた中で一番ありえない人だった。
バスローブを羽織っただけの身体は、大事な所が何一つ隠れていない。
きめ細かい真っ白な肌に、ピンク色の乳首。
均整の取れたバランスのいい身体は、相手が男であっても壮絶な色気を感じる。
「……アンタ!なんで……」
「覚えてないの?シン」
色気のある瞳でジッと見つめられると、心臓が嫌な音を立てる。
(まさか、俺この人とヤッてしまったのか?)
正直、信じたくない。
俺は今まで男と関係を持ったことは一度もない。
絶対無理かと言われると、そうじゃない気もするが、兄貴のセフレであるこの人は別だ。
兄貴のことは最大のコンプレックスであり、未だ越えることの出来ない大きな壁だ。
「……じゃあ、思い出させてあげる」
上から体重を掛けられ、ベッドの上に押し倒される。
俺の方が力があるのかもしれないが、上から体重を掛けられると分が悪い。
強引に唇を奪われ、舌を入れられる。
舌を絡められて丁寧に舐められると、次第に頭がぼんやりしてくる。
(本当にこの人、キスが上手い)
口の中の敏感な所を愛撫するように舐められると、身体の奥底から熱い何かが湧き上がってくる気がする。
抵抗しなければと思う端から、快感に思考が絡め取られていく。
「トロンとしちゃって、本当に可愛いな」
「え?」
「こんな快感に弱い身体、……食べちゃっていい?」
「は!?」
正に火事場の馬鹿力というのは、こういうことを言うのだろう。
我に返った俺は、堕とされるギリギリの所で男を押し退けることに成功した。
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