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ジュエル・キス
第二話
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……結局、あれから一睡も出来なかった。
隣は夜明けまで盛り上がっていて、俺より5つも上なくせにどんだけ体力があるんだよと言ってやりたい。
今日は朝からバイトだ。
ぼんやりした頭じゃ、仕事にならない。
とりあえず、シャワーでも浴びて頭をすっきりさせたい。
そう思ってドアを開けた瞬間、俺は固まった。
「僕、もう帰るね」
「ああ」
隣の部屋から出てきたのは、兄貴と……男!?
思わず不躾なほど、マジマジと見てしまい、相手の男と目が合った。
年は俺と変わらないくらいか、少し上に見える。
透き通るほど白い肌と、完璧な美貌。
相手が男だとわかっていても、つい目がいってしまうほどの美形だ。
だが、いくら綺麗だと言っても、男は男。
兄貴のヤツ、節操ないとは思っていたけど、男までオッケーなのか。
「あれ?もしかして、タカの弟?」
無視することも出来ず、俺は無言で頷いた。
「へ~え。似てないね」
俺はこの言葉を言われるのが一番嫌いだ。
ガキの頃から、美形の兄貴と散々比べられてきたからだ。
……確かに俺と兄貴は似ていない。
身長はそこそこ変わらないが、同じ親から生まれたと思えないほど、兄貴の美貌は際立っている。
俺も一人で立っていればそれなりに見えるが、兄貴の傍にいれば引き立て役にしかならない。
現に俺の歴代の彼女達は始めは俺に興味を示すが、兄貴に会うと手のひらを返したように見向きもしなくなる。
兄貴は当然ことながらかなりモテるが、今まで恋人をつくったことがない。
ただ気まぐれに周りに集まったヤツを摘み食いするだけだ。
なんで、あんな下半身ケダモノの男がいいんだ?
……やっぱり、世の中顔なのか?
「タカとは雰囲気が違うけど、君もいいね。今度僕とヤッてみる?」
「はぁ!?」
何を言ってるんだ?この人は。
からかわれているのか、マジで言っているのかよくわからないが、こんな美形が兄貴を差し置いて、俺に声をかける筈がない。
タチの悪い冗談だと思いながらも、下から潤んだ目で見上げられると、ぐらりと理性が揺らぐ。
「どうする?」
どうするって、どうしようもないだろ?
元々男子校出身で、周りに男同士のカップルが多かったせいか、同性の恋愛に偏見はないが、一夜限りのセックスの相手に男を選ぼうとは思わない。
それに相手は兄貴と寝た男だ。
比べられるのは、目に見えている。
「からかうのはその辺にしておけよ」
やっぱり、からかわれていただけか……。
兄貴の台詞に、妙に納得してしまった自分が負けたようで嫌だ。
「ふ~ん。そんな顔したタカなんて、初めて見たね。そんなに大事なら鍵をかけて、誰にも見られない所にしまっておけば?」
「お前に言われるまでもない」
「あっそ」
気心の知れた関係だからかもしれないが、二人の会話はかなりドライだ。
人を寝不足にするほど、熱烈に愛し合っていた二人だとは思えない。
所詮身体だけの関係って、こんなものなのだろうか?
隣は夜明けまで盛り上がっていて、俺より5つも上なくせにどんだけ体力があるんだよと言ってやりたい。
今日は朝からバイトだ。
ぼんやりした頭じゃ、仕事にならない。
とりあえず、シャワーでも浴びて頭をすっきりさせたい。
そう思ってドアを開けた瞬間、俺は固まった。
「僕、もう帰るね」
「ああ」
隣の部屋から出てきたのは、兄貴と……男!?
思わず不躾なほど、マジマジと見てしまい、相手の男と目が合った。
年は俺と変わらないくらいか、少し上に見える。
透き通るほど白い肌と、完璧な美貌。
相手が男だとわかっていても、つい目がいってしまうほどの美形だ。
だが、いくら綺麗だと言っても、男は男。
兄貴のヤツ、節操ないとは思っていたけど、男までオッケーなのか。
「あれ?もしかして、タカの弟?」
無視することも出来ず、俺は無言で頷いた。
「へ~え。似てないね」
俺はこの言葉を言われるのが一番嫌いだ。
ガキの頃から、美形の兄貴と散々比べられてきたからだ。
……確かに俺と兄貴は似ていない。
身長はそこそこ変わらないが、同じ親から生まれたと思えないほど、兄貴の美貌は際立っている。
俺も一人で立っていればそれなりに見えるが、兄貴の傍にいれば引き立て役にしかならない。
現に俺の歴代の彼女達は始めは俺に興味を示すが、兄貴に会うと手のひらを返したように見向きもしなくなる。
兄貴は当然ことながらかなりモテるが、今まで恋人をつくったことがない。
ただ気まぐれに周りに集まったヤツを摘み食いするだけだ。
なんで、あんな下半身ケダモノの男がいいんだ?
……やっぱり、世の中顔なのか?
「タカとは雰囲気が違うけど、君もいいね。今度僕とヤッてみる?」
「はぁ!?」
何を言ってるんだ?この人は。
からかわれているのか、マジで言っているのかよくわからないが、こんな美形が兄貴を差し置いて、俺に声をかける筈がない。
タチの悪い冗談だと思いながらも、下から潤んだ目で見上げられると、ぐらりと理性が揺らぐ。
「どうする?」
どうするって、どうしようもないだろ?
元々男子校出身で、周りに男同士のカップルが多かったせいか、同性の恋愛に偏見はないが、一夜限りのセックスの相手に男を選ぼうとは思わない。
それに相手は兄貴と寝た男だ。
比べられるのは、目に見えている。
「からかうのはその辺にしておけよ」
やっぱり、からかわれていただけか……。
兄貴の台詞に、妙に納得してしまった自分が負けたようで嫌だ。
「ふ~ん。そんな顔したタカなんて、初めて見たね。そんなに大事なら鍵をかけて、誰にも見られない所にしまっておけば?」
「お前に言われるまでもない」
「あっそ」
気心の知れた関係だからかもしれないが、二人の会話はかなりドライだ。
人を寝不足にするほど、熱烈に愛し合っていた二人だとは思えない。
所詮身体だけの関係って、こんなものなのだろうか?
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