紅の闇 蒼天の光

椎奈風音

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悪夢

第二話

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「大人しくしてた方がいいぜ。怪我したくないならな」
 男達が下卑た笑みを浮かべて近づいてきた。
 俺は無表情なまま、男達を見た。
(……三人か)
 それなりにガタイはいいが、所詮は雑魚だ。

 俺は掴みかかってきた男を反射的に蹴り飛ばした。
 凄い音がして、男の背後に積んであった廃材が倒れた。

「てめぇ!!」
 他の二人が逆上して殴りかかってくる。
 俺は拳をヒラリと避けて、男達に手刀を食らわせる。
 男達は気を失い、足元に崩れ落ちた。

「弱ぇ……」
 俺は醒めた目で足元に転がる男達を見た。
 こんなに弱いなら、喧嘩を売って欲しくない。
 暇つぶしにもならない。
 興味をなくした俺が踵を返そうとした瞬間、背後から強烈な殺気を感じた。

「……っ!!」
 反射的に振り返ろうとしたが、頸動脈を押さえつけられ、そのままの体勢で固まった。
「お前、なかなか強いな」
 耳元に男の低い声が響いた。
(アンタの方がな)
 こんなに近づかれるまで気づかないなんて初めてだ。
 なんとか逃げ道を探すが、頸動脈と一緒に腕を押さえられていて身動きが出来ない。

「お前、どこのグループの奴だ?これだけ強ければ、それなりに名が知れてるはずだが」
「グループ?」
 正直、意味がわからない。
 俺はただこの街で、時間を潰しているだけだ。
 誰かと群れているわけじゃないし、それ以前に人と関わりたくない。

「これはいい拾い物をしたか……」
「は?」
 意味がわからず、俺は間抜けな声を出した。
「俺は『シキ』。覚えておけ」
 男がそう言った瞬間、首に強い衝撃を受け、俺の意識は深い闇に沈んでいった。
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