紅の闇 蒼天の光

椎奈風音

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秘められた思い

第二話

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『お前は綺麗だね。隠す必要なんてない。もっと見せてくれ』

 頭の中に、低い声が聞こえた。
「……っ!」
 頭の隅に追いやっていた忘れ去りたい記憶が蘇る。

『……逃がさない』

 ゾクッと背筋が震える。
 無意識に手が震えてくる。
 止めようと思っても、なかなか止まらない。

 ……怖い。

 彼は絶対に自分を追ってくる。
 この平穏な日々は、いつか終わりがくるだろう。
 最悪な形で――。


「……大丈夫か?」
 急に瑞希に髪を撫でられ、ビクッとする。
「悪い。驚かせたか?」
 穏やかな声が、頭の上から降ってくる。
「すみません。大丈夫です」
 過剰な自分の反応に、恥ずかしくなり俯いた。

(なんか、悪いことをしたみたいだ……)
 彼はただ自分のことを心配してくれただけなのに……。
 俺が顔を上げられないでいると、小さな笑い声が聞こえた。

「……?」
 反射的に顔を上げると、笑みを浮かべた瑞希と目が合った。
「いや、悪い……。なんか反応が可愛くて……」
「か……可愛い!?」
 飛鳥は真っ赤になって、絶句した。

(俺のどこが可愛いって?)
 今までそんなことを言われたことがない。
 無表情で冷たそうとはよく言われるけど。

「そういう所が可愛いんだよな」
 ポンポンと頭を撫でられる。
 本当なら子供扱いするな!!って怒る所かもしれないが、全然そんな気にならなかった。
 それどころか、妙にドキドキしてきた。

(なんなんだ。この気持ち……)
 深く考えたら、何か怖いことになりそうな気がして、慌てて考えるのをやめた。
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