紅の闇 蒼天の光

椎奈風音

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秘められた思い

第一話

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 彼を見ていられるだけでいいんだ。

 どうせ、俺には人を愛すことなんて出来ないんだから……。





「飛鳥、この書類を纏めてもらえないか?」
「わかりました」
 俺は生徒会長である蒼山瑞希あおやまみずきから書類を受け取った。
 瑞希から受け取った書類はかなりの量があり、今日中に終わるかどうか疑問だ。

「いつも悪いな。お前がいてくれて、本当に助かるよ」
「いえ……。俺は貴方のお役に立てるだけで充分です」
 俺は彼の気遣いが嬉しく、微かに微笑んだ。
「……っ!」
 瑞希が驚いた様に目を見開いた。

「どうしたんですか?」
 俺は瑞希がどうしてそんな反応をするのかわからず、首を傾げた。
「いや……。飛鳥の笑顔が綺麗だったから。普段からもっと笑えばいいのに」
 その言葉を聞いた瞬間、自分の顔が熱くなるのを感じた。

 俺は昔から感情が表に出にくい。
 そして過去のある事件から、更に感情を抑えるようになった。
 だが瑞希の前では、自分で作った壁が崩れる時がある。

「しかも、その眼鏡、伊達だろ?」
 瑞希が俺のかけている眼鏡を指す。
「でも、俺にはこれが必要ですから」
 瑞希が言っていることは、真実だ。
 視力は眼鏡をかけるほど悪くはない。
 ただ、かけていないと不安なだけだ。
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