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不穏
第三話
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普段、兄貴は自分の感情を表に出すことは少ない。
確かに俺への態度は、周りに対するものとは全く違うが、それでも怒りを表に出すのは稀だ。
「……兄貴、なんで?」
呆然として呟いた声は、自分でもわかるほど、頼りないものだった。
「本当に、お前は馬鹿だな……」
一瞬兄貴の動きが止まり、その端整な顔に苦笑を浮かべた。
その顔はいつもの兄貴で、俺はほっとした。
「夕希、お前自覚無さすぎ」
「何が?」
意味がわからず、素で聞き返すと、兄貴がため息を吐いた。
「(……ただでさえ美人なんだから、そういう顔するなよ。勘違いするだろ)」
「は?」
兄貴の声が小さすぎて聞き取れなかった。
「別に大したことじゃないから気にするな」
そんな言われ方をすると余計気になるのが人の性だと思う。
「兄貴?」
「それはそうとお前、学校では気をつけろよ。獣みたいな奴ばっかだからな」
「…………」
いくら男子校といえど、そうそうゲイは転がっていないと思う。
(それにその台詞、兄貴だけには言われたくないね)
あんたが一番獣だよ!!
「……兄貴、人のこと言えるの?」
「何?俺の方が獣みたいって?もしかして何か期待してるの?夕希?」
兄貴がぐいっと顔を近づけてきて、俺は思わず仰け反った。
「な、何?」
「何って。期待されてるんなら、答えなきゃと思って」
再び押し倒される形になって、俺はジタバタ暴れた。
「離してよ!!それに全然期待なんかしてないってば!!」
「またまた照れちゃって」
「いい加減にしろ!」
俺は迫ってくる兄貴の顔にドキドキしながら、必死で兄貴を押し退けた。
確かに俺への態度は、周りに対するものとは全く違うが、それでも怒りを表に出すのは稀だ。
「……兄貴、なんで?」
呆然として呟いた声は、自分でもわかるほど、頼りないものだった。
「本当に、お前は馬鹿だな……」
一瞬兄貴の動きが止まり、その端整な顔に苦笑を浮かべた。
その顔はいつもの兄貴で、俺はほっとした。
「夕希、お前自覚無さすぎ」
「何が?」
意味がわからず、素で聞き返すと、兄貴がため息を吐いた。
「(……ただでさえ美人なんだから、そういう顔するなよ。勘違いするだろ)」
「は?」
兄貴の声が小さすぎて聞き取れなかった。
「別に大したことじゃないから気にするな」
そんな言われ方をすると余計気になるのが人の性だと思う。
「兄貴?」
「それはそうとお前、学校では気をつけろよ。獣みたいな奴ばっかだからな」
「…………」
いくら男子校といえど、そうそうゲイは転がっていないと思う。
(それにその台詞、兄貴だけには言われたくないね)
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「何?俺の方が獣みたいって?もしかして何か期待してるの?夕希?」
兄貴がぐいっと顔を近づけてきて、俺は思わず仰け反った。
「な、何?」
「何って。期待されてるんなら、答えなきゃと思って」
再び押し倒される形になって、俺はジタバタ暴れた。
「離してよ!!それに全然期待なんかしてないってば!!」
「またまた照れちゃって」
「いい加減にしろ!」
俺は迫ってくる兄貴の顔にドキドキしながら、必死で兄貴を押し退けた。
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