29 / 43
本編
24
しおりを挟む
今俺の前には大きな牛がいる。立派な角持ちのね。
鎌倉の大仏が台座合わせて18メートルって言うからそれ以上の… 高さが20メートル以上あるだろうと思うくらい大きな牛。
そして神社の鳥居をくぐって階段を上がってきたわけだけど、遠くから見て分からなかったのに鳥居をくぐると一面白銀の世界が広がる雪山だった。
あ、でも驚いて振り返るとさっき通った道も凍りついていたから鳥居は関係ないのか??
これぞファンタジー!いや、そんな盛り上がれる雰囲気じゃないや…
でも、問題は目の前に銀世界が広がることじゃなかった。いや、この環境も問題ではあるけどね??
鳥居をくぐって階段を上がると前方からドシドシと重たい音と、黒い煙が近づいてきて俺と遥の目の前で止まる。
急なことすぎて俺たちにできることは武器を構えることくらいだった…
それではじめに戻るんだけど、俺たちの前には大きな牛が現れたんだよ。
大きさと角からして牧場で見るような牛じゃなかったからモンスターだってすぐ分かったけど、20メートル以上ある牛を相手に何ができるというんだ…
俺だったらこんな寒い中、それにこんなサイズで大迫力の牛型モンスターを目の前にしたら逃げたくなりますよ、遥さん。
遥は、巨大な牛を目の前にしても変わらず、殺気を目に宿しながら牛に睨みを効かせていた。まじかよ…
すると、頭に声が響き始めた。
この頭の中に直接響く感じは案内人のエリゴルが話す時とかで覚えがあったから、声の犯人がこの牛なんだとすぐに分かる。
それでも、分かっていても話すとは思わなかった牛が話すからなんとも…ねえ?
『…その匂いはもしかして、お前ら、アナボスを倒したのか?』
でも内容は分からない。
…アナボスって誰だ??ここに来て倒した敵なんて1匹だけだし、もしかして黄金ガエルのこととか…?
それに、倒したか聞くということはこいつにとっても敵討ちということだろう。
『ああ、その黄金ガエルと言うやつの名前であっている。それと安心しろ、今のワシには戦う理由が無い。アナボスなんでどうでもいいしな。ただ話がしたいだけだ。そこの嬢ちゃんも分かったか?』
そこの嬢ちゃん?って殺気が込められた目をむけてる遥のことを言ってるんだろう。
それになるほど、アナボスはあの黄金ガエルの名前か。
って、なっ!?牛に考えていること読まれてる!?
でも、戦って勝てるとは思えないから、話をするだけというのならありがたい話だ。
『あと、牛とか言うな!ワシは牛では無く、ザガンだ!それとついでに隣の嬢ちゃんを止めてくれんか?』
…嬢ちゃん?遥がどうかしたのか?
「遥!?…もしかしてこの巨大なう…ザガンと殺る気なのか!?」
牛って言おうとすると、殺気っていうの?なんかやばいオーラを感じたから急いで直す。
「…ええそうよ。当たり前じゃない」
「おいっ!」
遥は睨みを効かせるだけじゃなくて、今度は正面から立ち向かおうと足に力を込め始めるから、最大限の力を込めて止める。
遥は近接戦闘向きではないから。と言うよりもこんな自分から死にに行こうとしている仲間がいたら止めるだろう!!
「裕也、邪魔をしないで!」
「落ち着けって!戦う必要がないって言ってるのに挑んでどうするんだよ!?」
「そんなの、一度拳を打ち込まないと気が済まないからよ!」
「遥!どうしてしまったんだよ!」
「お前らしくない」という言葉は声に出さないように飲み込む。
でも本当にどうしてしまったんだ。こんなの、ただクラスメイトが殺られたからって理由だけじゃないだろ?
「どうしてそんな突っ込もうとしてるんだ」
「そんなの、…クラスメイトがやられたからよ。」
絶対そんな理由じゃないはずだ。
でも本当の理由なんて思いつかないし、もうこの遥を、俺にはどうすることもできないよ。
『やれやれ、力を貸してやるが…悪く思うなよ?』
「え?」
ギギャアァオォー!
聞き返した時にはもう手遅れで、ザガンの咆哮が響き渡る。
今まで戦ってきた敵に咆哮をあげるやつなんてあまりいなかったし、俺と遥はその咆哮をもろに受けるしか無かった。
「うっ…」
ドサッ…
そして気がつくと隣からうめき声と何かが落ちるような音がして、見るとガタイのいい男が遥を… 力なくうつむく遥を片手で抱えていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日も読んで頂きありがとうございます!
ちょっと、今後出す時が来るのか不安なので、ちょいとネタバレを…
遥がクラスメイトが殺られたことで怒った理由は、「好きな人だったから」という単純な理由です。
これについてはちょっぴりでも、遥が好きになるならパーティーメンバーの誰かなんじゃないの?と思っていた方!いると思います!!
どうして好きになったの??という話はまた機会があれば、上げたいと思います!
鎌倉の大仏が台座合わせて18メートルって言うからそれ以上の… 高さが20メートル以上あるだろうと思うくらい大きな牛。
そして神社の鳥居をくぐって階段を上がってきたわけだけど、遠くから見て分からなかったのに鳥居をくぐると一面白銀の世界が広がる雪山だった。
あ、でも驚いて振り返るとさっき通った道も凍りついていたから鳥居は関係ないのか??
これぞファンタジー!いや、そんな盛り上がれる雰囲気じゃないや…
でも、問題は目の前に銀世界が広がることじゃなかった。いや、この環境も問題ではあるけどね??
鳥居をくぐって階段を上がると前方からドシドシと重たい音と、黒い煙が近づいてきて俺と遥の目の前で止まる。
急なことすぎて俺たちにできることは武器を構えることくらいだった…
それではじめに戻るんだけど、俺たちの前には大きな牛が現れたんだよ。
大きさと角からして牧場で見るような牛じゃなかったからモンスターだってすぐ分かったけど、20メートル以上ある牛を相手に何ができるというんだ…
俺だったらこんな寒い中、それにこんなサイズで大迫力の牛型モンスターを目の前にしたら逃げたくなりますよ、遥さん。
遥は、巨大な牛を目の前にしても変わらず、殺気を目に宿しながら牛に睨みを効かせていた。まじかよ…
すると、頭に声が響き始めた。
この頭の中に直接響く感じは案内人のエリゴルが話す時とかで覚えがあったから、声の犯人がこの牛なんだとすぐに分かる。
それでも、分かっていても話すとは思わなかった牛が話すからなんとも…ねえ?
『…その匂いはもしかして、お前ら、アナボスを倒したのか?』
でも内容は分からない。
…アナボスって誰だ??ここに来て倒した敵なんて1匹だけだし、もしかして黄金ガエルのこととか…?
それに、倒したか聞くということはこいつにとっても敵討ちということだろう。
『ああ、その黄金ガエルと言うやつの名前であっている。それと安心しろ、今のワシには戦う理由が無い。アナボスなんでどうでもいいしな。ただ話がしたいだけだ。そこの嬢ちゃんも分かったか?』
そこの嬢ちゃん?って殺気が込められた目をむけてる遥のことを言ってるんだろう。
それになるほど、アナボスはあの黄金ガエルの名前か。
って、なっ!?牛に考えていること読まれてる!?
でも、戦って勝てるとは思えないから、話をするだけというのならありがたい話だ。
『あと、牛とか言うな!ワシは牛では無く、ザガンだ!それとついでに隣の嬢ちゃんを止めてくれんか?』
…嬢ちゃん?遥がどうかしたのか?
「遥!?…もしかしてこの巨大なう…ザガンと殺る気なのか!?」
牛って言おうとすると、殺気っていうの?なんかやばいオーラを感じたから急いで直す。
「…ええそうよ。当たり前じゃない」
「おいっ!」
遥は睨みを効かせるだけじゃなくて、今度は正面から立ち向かおうと足に力を込め始めるから、最大限の力を込めて止める。
遥は近接戦闘向きではないから。と言うよりもこんな自分から死にに行こうとしている仲間がいたら止めるだろう!!
「裕也、邪魔をしないで!」
「落ち着けって!戦う必要がないって言ってるのに挑んでどうするんだよ!?」
「そんなの、一度拳を打ち込まないと気が済まないからよ!」
「遥!どうしてしまったんだよ!」
「お前らしくない」という言葉は声に出さないように飲み込む。
でも本当にどうしてしまったんだ。こんなの、ただクラスメイトが殺られたからって理由だけじゃないだろ?
「どうしてそんな突っ込もうとしてるんだ」
「そんなの、…クラスメイトがやられたからよ。」
絶対そんな理由じゃないはずだ。
でも本当の理由なんて思いつかないし、もうこの遥を、俺にはどうすることもできないよ。
『やれやれ、力を貸してやるが…悪く思うなよ?』
「え?」
ギギャアァオォー!
聞き返した時にはもう手遅れで、ザガンの咆哮が響き渡る。
今まで戦ってきた敵に咆哮をあげるやつなんてあまりいなかったし、俺と遥はその咆哮をもろに受けるしか無かった。
「うっ…」
ドサッ…
そして気がつくと隣からうめき声と何かが落ちるような音がして、見るとガタイのいい男が遥を… 力なくうつむく遥を片手で抱えていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日も読んで頂きありがとうございます!
ちょっと、今後出す時が来るのか不安なので、ちょいとネタバレを…
遥がクラスメイトが殺られたことで怒った理由は、「好きな人だったから」という単純な理由です。
これについてはちょっぴりでも、遥が好きになるならパーティーメンバーの誰かなんじゃないの?と思っていた方!いると思います!!
どうして好きになったの??という話はまた機会があれば、上げたいと思います!
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説


[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる