【完結】ゲーム風世界にクラス転移するなんて誰が思う!?

雨野まいく

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本編

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 今俺の前には大きな牛がいる。立派な角持ちのね。
 鎌倉の大仏が台座合わせて18メートルって言うからそれ以上の… 高さが20メートル以上あるだろうと思うくらい大きな牛。

 そして神社の鳥居をくぐって階段を上がってきたわけだけど、遠くから見て分からなかったのに鳥居をくぐると一面白銀の世界が広がる雪山だった。

 あ、でも驚いて振り返るとさっき通った道も凍りついていたから鳥居は関係ないのか??
 これぞファンタジー!いや、そんな盛り上がれる雰囲気じゃないや…



 でも、問題は目の前に銀世界が広がることじゃなかった。いや、この環境も問題ではあるけどね??

 鳥居をくぐって階段を上がると前方からドシドシと重たい音と、黒い煙が近づいてきて俺と遥の目の前で止まる。
 急なことすぎて俺たちにできることは武器を構えることくらいだった…



 それではじめに戻るんだけど、俺たちの前には大きな牛が現れたんだよ。

 大きさと角からして牧場で見るような牛じゃなかったからモンスターだってすぐ分かったけど、20メートル以上ある牛を相手に何ができるというんだ…

 俺だったらこんな寒い中、それにこんなサイズで大迫力の牛型モンスターを目の前にしたら逃げたくなりますよ、遥さん。
 遥は、巨大な牛を目の前にしても変わらず、殺気を目に宿しながら牛ににらみを効かせていた。まじかよ…



 すると、頭に声が響き始めた。
 この頭の中に直接響く感じは案内人のエリゴルが話す時とかで覚えがあったから、声の犯人がこの牛なんだとすぐに分かる。

 それでも、分かっていても話すとは思わなかった牛が話すからなんとも…ねえ?
 

『…その匂いはもしかして、お前ら、アナボスを倒したのか?』

 でも内容は分からない。
 …アナボスって誰だ??ここに来て倒した敵なんて1匹だけだし、もしかして黄金ガエルのこととか…?

 それに、倒したか聞くということはこいつにとっても敵討ちということだろう。


『ああ、その黄金ガエルと言うやつの名前であっている。それと安心しろ、今のワシには戦う理由が無い。アナボスなんでどうでもいいしな。ただ話がしたいだけだ。そこの嬢ちゃんも分かったか?』

 そこの嬢ちゃん?って殺気が込められた目をむけてる遥のことを言ってるんだろう。

 それになるほど、アナボスはあの黄金ガエルの名前か。
 って、なっ!?牛に考えていること読まれてる!?
 でも、戦って勝てるとは思えないから、話をするだけというのならありがたい話だ。


『あと、牛とか言うな!ワシは牛では無く、ザガンだ!それとついでに隣の嬢ちゃんを止めてくれんか?』

 …嬢ちゃん?遥がどうかしたのか?


「遥!?…もしかしてこの巨大なう…ザガンと殺る気なのか!?」

 牛って言おうとすると、殺気っていうの?なんかやばいオーラを感じたから急いで直す。

「…ええそうよ。当たり前じゃない」
「おいっ!」

 遥は睨みを効かせるだけじゃなくて、今度は正面から立ち向かおうと足に力を込め始めるから、最大限の力を込めて止める。

 遥は近接戦闘向きではないから。と言うよりもこんな自分から死にに行こうとしている仲間がいたら止めるだろう!!


「裕也、邪魔をしないで!」
「落ち着けって!戦う必要がないって言ってるのに挑んでどうするんだよ!?」
「そんなの、一度拳を打ち込まないと気が済まないからよ!」
「遥!どうしてしまったんだよ!」

 「お前らしくない」という言葉は声に出さないように飲み込む。
 でも本当にどうしてしまったんだ。こんなの、ただクラスメイトが殺られたからって理由だけじゃないだろ?

「どうしてそんな突っ込もうとしてるんだ」
「そんなの、…クラスメイトがやられたからよ。」

 絶対そんな理由じゃないはずだ。
 でも本当の理由なんて思いつかないし、もうこの遥を、俺にはどうすることもできないよ。


『やれやれ、力を貸してやるが…悪く思うなよ?』
「え?」

ギギャアァオォー!

 聞き返した時にはもう手遅れで、ザガンの咆哮が響き渡る。
 今まで戦ってきた敵に咆哮をあげるやつなんてあまりいなかったし、俺と遥はその咆哮をもろに受けるしか無かった。


「うっ…」

ドサッ…

 そして気がつくと隣からうめき声と何かが落ちるような音がして、見るとガタイのいい男が遥を… 力なくうつむく遥を片手で抱えていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 今日も読んで頂きありがとうございます!

 ちょっと、今後出す時が来るのか不安なので、ちょいとネタバレを…


 は、「好きな人だったから」という単純な理由です。

 これについてはちょっぴりでも、遥が好きになるならパーティーメンバーの誰かなんじゃないの?と思っていた方!いると思います!!

 どうして好きになったの??という話はまた機会があれば、上げたいと思います!
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