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都市の行き来
二人の商人
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そうしてバロンの失踪事件を終えて、翌日。俺とノエラは四力統治塔で仕事を引き受けに来た。そしたら一気にメダルの階級が上がって、俺は六、ノエラは五の階級になった。それによって仕事が大幅に増えて、遠くに行くような依頼も多くなっている。
それを確認してちょっとわくわくした俺たちは、さらに難易度の高い仕事を回す上の階層の掲示板の前に行き、仕事を探した。周辺地域の調査以来や、遠くの洞窟の調査など以前は見なかったような仕事が転がっている。
中でも俺たちの興味を引いたのは隊商の護衛依頼だ。この世界では街を渡ること自体がそもそも危険で誰もやらず、大都市から離れれば離れるほどそれは顕著だ。しかしこの依頼はかなり遠くの方まで行くようで、歩いて三日くらいの距離らしい。
そんな依頼は滅多になさそうなのでつい気になってしまい、俺たちはその仕事の話を聞くことにした。掲示板から仕事内容の書かれた張り紙を取って、受付の方に持っていく。ここは中級の依頼専用の窓口になっていて、わざわざ一層目に行かなくても済むようになっていた。こんな小さなところでも階級の変化を感じる。
依頼関係の手続きを終えて、俺たちが向かったのは貴族街にある喫茶店のような場所だ。今までこんなところには入ったことはなかったが、客の入りはそんなに悪くなさそうで、立地も貴族街の中心から少し奥まったところとそう悪くもない。知る人ぞ知る名店といった感じで、固定客がいそうな雰囲気だ。
だが意外にもそこにいる人たちは割と庶民に近い形で騒いでいて、喫茶店と言うより飲み屋に近い印象だった。だからちょっと奥まったところにあるのだなと妙に納得しつつ、テーブル席で仕事の依頼人が来るのを待った。
どんな人なんだろうとノエラと話をしながら待っていると、時間よりも少し早く依頼人が現れた。隊商の護衛と言うからには、ふくよかな男性かなとか勝手に想像していたのだが、実際には全く違い、依頼人は二人の女性だった。
一人はショートヘアの快活そうな女性で、片耳だけにイアリングをしている。革鎧を着ているのは保身のためのようだ。もう一人は金髪のロングヘアーの女性で、かなりスタイルが良い。全身から妖艶な雰囲気を漂わせていてこの店の中でも浮いている。
彼女たちは俺らを見つけると近寄ってきて、快活そうなショートヘアの女性が声をかけてきた。
「もしかして君たちが仕事を引き受けてくれた人かな? 噂の邪神の神官様と精霊使いの美女だから間違いないよね? 時間よりもこんなに早く来るなんて真面目だね」
「そんな言い方失礼よミーナ。こちらの方々は貴族なのだから」
はーいとミーナと呼ばれた女性が口を尖らせると同時に、金髪の女性が丁寧に自己紹介してくれた。邪神の神官だってのを知っていても普通に接してくれるのは嬉しいな。貴族になって名前も知れたことの恩恵を強く感じる。
「私たちの依頼の話を聞きにきてくださって感謝しますわ、伯爵様、子爵様。私はオルタヴィア、この子はミーナと申します。お見知りおきください」
「あ、そんなかしこまらなくても大丈夫だぞ。俺もノエラも気にしないからさ」
だってーとミーナは嬉しそうに尖らせた口を笑みに変えるも、オルタヴィアはそれでも眉根を寄せる。
「そうは仰いましても貴族様に無礼を働くわけには――」
「いいじゃんいいじゃん、その貴族様本人が言ってくださってるんだから。それじゃあ私たちの依頼内容を聞いてくれる?」
「もちろん聞くよ」
俺とノエラは改めて椅子に座り直し、彼女らと向かい合う形でテーブル席に座った。やはり話辛そうにするオルタヴィアをよそに、ミーナはハキハキと話し始めた。
それを確認してちょっとわくわくした俺たちは、さらに難易度の高い仕事を回す上の階層の掲示板の前に行き、仕事を探した。周辺地域の調査以来や、遠くの洞窟の調査など以前は見なかったような仕事が転がっている。
中でも俺たちの興味を引いたのは隊商の護衛依頼だ。この世界では街を渡ること自体がそもそも危険で誰もやらず、大都市から離れれば離れるほどそれは顕著だ。しかしこの依頼はかなり遠くの方まで行くようで、歩いて三日くらいの距離らしい。
そんな依頼は滅多になさそうなのでつい気になってしまい、俺たちはその仕事の話を聞くことにした。掲示板から仕事内容の書かれた張り紙を取って、受付の方に持っていく。ここは中級の依頼専用の窓口になっていて、わざわざ一層目に行かなくても済むようになっていた。こんな小さなところでも階級の変化を感じる。
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だが意外にもそこにいる人たちは割と庶民に近い形で騒いでいて、喫茶店と言うより飲み屋に近い印象だった。だからちょっと奥まったところにあるのだなと妙に納得しつつ、テーブル席で仕事の依頼人が来るのを待った。
どんな人なんだろうとノエラと話をしながら待っていると、時間よりも少し早く依頼人が現れた。隊商の護衛と言うからには、ふくよかな男性かなとか勝手に想像していたのだが、実際には全く違い、依頼人は二人の女性だった。
一人はショートヘアの快活そうな女性で、片耳だけにイアリングをしている。革鎧を着ているのは保身のためのようだ。もう一人は金髪のロングヘアーの女性で、かなりスタイルが良い。全身から妖艶な雰囲気を漂わせていてこの店の中でも浮いている。
彼女たちは俺らを見つけると近寄ってきて、快活そうなショートヘアの女性が声をかけてきた。
「もしかして君たちが仕事を引き受けてくれた人かな? 噂の邪神の神官様と精霊使いの美女だから間違いないよね? 時間よりもこんなに早く来るなんて真面目だね」
「そんな言い方失礼よミーナ。こちらの方々は貴族なのだから」
はーいとミーナと呼ばれた女性が口を尖らせると同時に、金髪の女性が丁寧に自己紹介してくれた。邪神の神官だってのを知っていても普通に接してくれるのは嬉しいな。貴族になって名前も知れたことの恩恵を強く感じる。
「私たちの依頼の話を聞きにきてくださって感謝しますわ、伯爵様、子爵様。私はオルタヴィア、この子はミーナと申します。お見知りおきください」
「あ、そんなかしこまらなくても大丈夫だぞ。俺もノエラも気にしないからさ」
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