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山脈での躍進
変異個体
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そしてずっとついていくと、キリンロボがふと立ち止まってこちらに振り返った。前方には洞窟のようなものが口を開け、そこから多くの気配が漂っているように思える。密集し過ぎてわかりにくいが、かなりの数が存在しているようだ。
そうして気配を探っていると、突如左横にキリンロボが現れる。感知の奇跡でわかってはいたのだが、目測よりもかなり早くこちらまでやって来たのだ。そのキリンロボは、あろうことか思い切りこっちに飛びかかってきた。
俺は右手に持っていたパルーサでは間に合わないと判断し、左手のランタンで攻撃する。
【邪悪な洗礼】
俺のランタンが紫の光を爆発させる。それに巻き込まれたキリンロボは、豪快に吹っ飛んで木にぶつかった。一匹は対処できたものの、その攻撃を皮切りにどんどん魔物たちが迫ってくる。
まずは【邪悪なる闇光】で一掃するが……その後も元々暗い洞窟から次々にキリンロボが出てくるおかげで数が減らず面倒なことこの上ない。
「ノエラ、援護を頼む! 俺が前に出て戦うよ!」
「わかりました!」
俺は【暗黒の束縛】を使って自身の足を軽く固定して足場を確保する。これは敵に使うような奇跡なので完全に応用の使い方だが、思いのほか上手く使えて、頑張れば空中も足場にできそうだ。
俺はその足場を上手く活用しながら、【呪怨】の恩恵を受けて邪剣を構える。集中して最適な動きをイメージする。そうすれば、自然と体が動きだして、空中を駆けながらキリンロボの体を切り裂き、切り捨て、そして切り刻んでいった。
右から飛びかかってくれば下から上に切り上げて真っ二つに。正面から襲って来れば、横をすり抜け居合切り。左から来れば右回転からの突きでその体を貫き、そして剣を振るって肉を裂く。
後ろから来る相手はノエラの援護による風と土の攻撃で、俺に辿り着く前に倒された。そうやって連携を決めつつ、ほとんどすべてのキリンロボを倒した後。洞窟から異常な大きさのキリンロボ、マラカス・キリンロボと呼ばれる変異種が現れた。
紋章にすべて聞くまでもなく、その体躯はまさに通常のキリンロボの約三倍くらいだとわかる。それはつまり俺の身長の倍くらいはある大きさだ。
洞窟の入り口を狭そうに掻い潜ってでてきたヤツは、銀色の目をしてこちらを見据えていた。瞬時にこの魔物は強いと俺は悟ったが、あえて不意を付くつもりで間髪入れずに切りかかる。
俺がパルーサを相手の顔面に向かって思いっきり切り開こうとした刹那、剣は鋭い牙を上手く使った噛み付きで留められてしまった。そしてその後、強い力で首を振るわれて、俺は剣ごと遠くに飛ばされる。
だがノエラを置いて吹っ飛ばされるわけにはいかず、【暗黒の束縛】で足場を作ってそれを蹴り、俺再びマラカス・キリンロボの前に戻った。
その間にノエラが風の精霊魔法で斬撃を放つ。風の魔法は目視では確認し難いから当たるだろうと俺は思ったが、マラカス・キリンロボは長い耳で音を聞いてそれを頼りにサッと風の攻撃を躱した。
俺が無意識に木々を切り倒していたせいで、この辺は広い空間ができてしまっている。素早い相手は動きやすく、こちらは不利な状況になってしまった。だがしかし、こちらには剣だけしかないわけじゃない!
【漆黒の投槍】
俺のランタンから生まれた闇から、黒い槍が何本も射出される。それは相手に向かって連続かつ一直線に飛んでいく。マラカス・キリンロボは回り込むように走り、それらを避けるが、地面に突き刺さった槍は周りを侵食する闇を燻らせている。さすがに素早いな。
直線攻撃はどんなに撃っても当たらないか。だが、ヤツはもう終わりだ。相手が油断して足を止めた直後、俺は呪縛の奇跡を行使する。
【暗黒の束縛】
相手の足元が瞬時に闇に呑まれ、そこから無数の黒い何かがマラカス・キリンロボを掴んで捉えた。抵抗しようとしているが、闇を払うことは簡単にはできず、縛られた哀れな魔物は苦痛の声をあげた。ふう、やっと本来の使い方ができた。そして……コイツには悪いがこれでトドメだ。
【漆黒の槍玉】
ヤツを掴んでいた地面の闇から、さらに無数の槍が上方向に突き上がる。避けようもなくマラカス・キリンロボは幾度となく俺が生み出した槍に貫かれ、そして最後に数メートルはあろう巨大な槍に串刺しにされた。
体が大きく宙に舞うが、槍が霞となって消えた瞬間に重い体が地面にボトリと落っこちた。無事に倒せたようで一安心だ。
そうして気配を探っていると、突如左横にキリンロボが現れる。感知の奇跡でわかってはいたのだが、目測よりもかなり早くこちらまでやって来たのだ。そのキリンロボは、あろうことか思い切りこっちに飛びかかってきた。
俺は右手に持っていたパルーサでは間に合わないと判断し、左手のランタンで攻撃する。
【邪悪な洗礼】
俺のランタンが紫の光を爆発させる。それに巻き込まれたキリンロボは、豪快に吹っ飛んで木にぶつかった。一匹は対処できたものの、その攻撃を皮切りにどんどん魔物たちが迫ってくる。
まずは【邪悪なる闇光】で一掃するが……その後も元々暗い洞窟から次々にキリンロボが出てくるおかげで数が減らず面倒なことこの上ない。
「ノエラ、援護を頼む! 俺が前に出て戦うよ!」
「わかりました!」
俺は【暗黒の束縛】を使って自身の足を軽く固定して足場を確保する。これは敵に使うような奇跡なので完全に応用の使い方だが、思いのほか上手く使えて、頑張れば空中も足場にできそうだ。
俺はその足場を上手く活用しながら、【呪怨】の恩恵を受けて邪剣を構える。集中して最適な動きをイメージする。そうすれば、自然と体が動きだして、空中を駆けながらキリンロボの体を切り裂き、切り捨て、そして切り刻んでいった。
右から飛びかかってくれば下から上に切り上げて真っ二つに。正面から襲って来れば、横をすり抜け居合切り。左から来れば右回転からの突きでその体を貫き、そして剣を振るって肉を裂く。
後ろから来る相手はノエラの援護による風と土の攻撃で、俺に辿り着く前に倒された。そうやって連携を決めつつ、ほとんどすべてのキリンロボを倒した後。洞窟から異常な大きさのキリンロボ、マラカス・キリンロボと呼ばれる変異種が現れた。
紋章にすべて聞くまでもなく、その体躯はまさに通常のキリンロボの約三倍くらいだとわかる。それはつまり俺の身長の倍くらいはある大きさだ。
洞窟の入り口を狭そうに掻い潜ってでてきたヤツは、銀色の目をしてこちらを見据えていた。瞬時にこの魔物は強いと俺は悟ったが、あえて不意を付くつもりで間髪入れずに切りかかる。
俺がパルーサを相手の顔面に向かって思いっきり切り開こうとした刹那、剣は鋭い牙を上手く使った噛み付きで留められてしまった。そしてその後、強い力で首を振るわれて、俺は剣ごと遠くに飛ばされる。
だがノエラを置いて吹っ飛ばされるわけにはいかず、【暗黒の束縛】で足場を作ってそれを蹴り、俺再びマラカス・キリンロボの前に戻った。
その間にノエラが風の精霊魔法で斬撃を放つ。風の魔法は目視では確認し難いから当たるだろうと俺は思ったが、マラカス・キリンロボは長い耳で音を聞いてそれを頼りにサッと風の攻撃を躱した。
俺が無意識に木々を切り倒していたせいで、この辺は広い空間ができてしまっている。素早い相手は動きやすく、こちらは不利な状況になってしまった。だがしかし、こちらには剣だけしかないわけじゃない!
【漆黒の投槍】
俺のランタンから生まれた闇から、黒い槍が何本も射出される。それは相手に向かって連続かつ一直線に飛んでいく。マラカス・キリンロボは回り込むように走り、それらを避けるが、地面に突き刺さった槍は周りを侵食する闇を燻らせている。さすがに素早いな。
直線攻撃はどんなに撃っても当たらないか。だが、ヤツはもう終わりだ。相手が油断して足を止めた直後、俺は呪縛の奇跡を行使する。
【暗黒の束縛】
相手の足元が瞬時に闇に呑まれ、そこから無数の黒い何かがマラカス・キリンロボを掴んで捉えた。抵抗しようとしているが、闇を払うことは簡単にはできず、縛られた哀れな魔物は苦痛の声をあげた。ふう、やっと本来の使い方ができた。そして……コイツには悪いがこれでトドメだ。
【漆黒の槍玉】
ヤツを掴んでいた地面の闇から、さらに無数の槍が上方向に突き上がる。避けようもなくマラカス・キリンロボは幾度となく俺が生み出した槍に貫かれ、そして最後に数メートルはあろう巨大な槍に串刺しにされた。
体が大きく宙に舞うが、槍が霞となって消えた瞬間に重い体が地面にボトリと落っこちた。無事に倒せたようで一安心だ。
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