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貢献の橋
黒い魔女
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ノエラの機転のおかげで街を守れた俺たちは、つま先までぐっしょり濡れながら安堵していた。途中でノエラの守りの魔法は切れてしまって、俺たちはあえなく雨に濡れてしまったが、街は完璧に守り切った。
ふっ。また一つ伝説を刻んでしまったな……なんて冗談は置いておいても、マジで危ないところだった。彼女がいなかったらどうなっていたかわからない。だが少なくとも、ここで流れてくる水量の調節をしようとしていた街人たちは、きっと耐え切れずに流されていただろう。
そして雨水を排水しきれずに水路が溢れて、街全体が浸水していた可能性だってある。ここの水路はかなり深めに作られてはいるが、あんな水量を想定されているとはとても思えないし、街が危機に瀕すると体感できるくらい酷い雨だった。
作業をしていた街人の慌てぶりを見る限り、これほどの大雨は何十年に一度とかそういう規模なんだろうな。それを俺たちで対処できて本当に良かった。今日という日が厄日にならずに済んだよ。
俺の隣にいる美人の精霊使いが恐ろしい災害を退けるのに大きく貢献したぞと街の至る所で自慢したいところだが、俺がそんなことをしなくてもすぐに彼女の功績は多くの人の耳に届くだろうな。あの街人たちや窓から俺たちのことを見ていた人がすぐに噂を広めてくれるはずだ。
そう思って勝手に誇らしい気分に浸っていると、黒いとんがり帽子に黒い毛皮の衣装を着た魔術師らしき人物が俺たちの前に降り立った。彼女はなんと何らかの魔術で空を飛んでおり、今回の天候操作は彼女がやったのだと理解できた。
とんがり帽子の後ろに長いストレートの黒髪を隠したその女性は、俺たちの顔を見た途端に妖しげに笑った。
「君たちが水路の決壊を防いでくれていたんだ。すごいね。二時間も大がかりな精霊魔法を維持していたなんてなかなか根性がある。君、名前を聞いていいかな?」
彼女は明らかにノエラの方を向いている。そりゃそうだ。俺は見た目からして神官だからね。
「わ、私は……ノエラといいます。あなたが大雨から小雨に変えてくれたんですね。ありがとうございます」
「このくらいお安い御用さ。晴れにしてもよかったんだけど、できるだけ自然の流れは捻じ曲げない方がいいからね」
「そうですね。精霊たちもきっと――」
ノエラはすべて言い切る前に、突然フラりとよろけて倒れてしまった。俺は慌てて彼女を支えにかかる。
「おやおや、どうやら集中し過ぎて大分疲労したみたいだね。いやいや、よく頑張ったよ。ほら、そこの君。彼女をどこか休めるところに連れて行ってあげてくれ」
とんがり帽子の魔女はぱちんと指を鳴らして俺たちの服を瞬時に乾かし、同時に水を弾く魔術の結界を授けてくれた。すごいな。同時に二つの魔術を一気にかけるなんてこの人は相当な手練れだ。おっと、ここは返事をしないとな。
「ああ、わかってる。俺は彼女の守護天使だからな」
「ふふっ、お熱いことだ。それなら言葉通り、きちんと彼女のことを守ってあげてくれよ? さて、あとの報告はボクがしてくから君は心配しなくていいよ。どこかでまた会うことになりそうだからそのときはよろしく」
彼女はそれだけ言って飛行の魔術で飛んで行ってしまった。誰だか知らないが、かなりの実力者に会ってしまったようだな。ふう。とりあえずここは一段落ついたし、宿に戻ってノエラを休ませてあげないとな。
そうして俺は彼女をお姫様抱っこで抱えて宿に戻った。もしかしたら窓から誰かに見られているかもしれないが、構うもんか。俺がお姫様抱っこで街の救世主を運んだなんて噂になったら、ノエラはきっと可愛らしい反応をしてくれるに違いないからな!
そうして宿に戻るとバロンが心配そうに声をかけてくるが、問題ないと俺は制した。疲れているだけには見えないかもしれないが、事実そうなのだから仕方ない。
霊力は俺の【献身の常闇】の奇跡で減っていないはずだから、集中のし過ぎで疲れた頭を休ませるために気を失ってしまったのだろう。
ふっ。また一つ伝説を刻んでしまったな……なんて冗談は置いておいても、マジで危ないところだった。彼女がいなかったらどうなっていたかわからない。だが少なくとも、ここで流れてくる水量の調節をしようとしていた街人たちは、きっと耐え切れずに流されていただろう。
そして雨水を排水しきれずに水路が溢れて、街全体が浸水していた可能性だってある。ここの水路はかなり深めに作られてはいるが、あんな水量を想定されているとはとても思えないし、街が危機に瀕すると体感できるくらい酷い雨だった。
作業をしていた街人の慌てぶりを見る限り、これほどの大雨は何十年に一度とかそういう規模なんだろうな。それを俺たちで対処できて本当に良かった。今日という日が厄日にならずに済んだよ。
俺の隣にいる美人の精霊使いが恐ろしい災害を退けるのに大きく貢献したぞと街の至る所で自慢したいところだが、俺がそんなことをしなくてもすぐに彼女の功績は多くの人の耳に届くだろうな。あの街人たちや窓から俺たちのことを見ていた人がすぐに噂を広めてくれるはずだ。
そう思って勝手に誇らしい気分に浸っていると、黒いとんがり帽子に黒い毛皮の衣装を着た魔術師らしき人物が俺たちの前に降り立った。彼女はなんと何らかの魔術で空を飛んでおり、今回の天候操作は彼女がやったのだと理解できた。
とんがり帽子の後ろに長いストレートの黒髪を隠したその女性は、俺たちの顔を見た途端に妖しげに笑った。
「君たちが水路の決壊を防いでくれていたんだ。すごいね。二時間も大がかりな精霊魔法を維持していたなんてなかなか根性がある。君、名前を聞いていいかな?」
彼女は明らかにノエラの方を向いている。そりゃそうだ。俺は見た目からして神官だからね。
「わ、私は……ノエラといいます。あなたが大雨から小雨に変えてくれたんですね。ありがとうございます」
「このくらいお安い御用さ。晴れにしてもよかったんだけど、できるだけ自然の流れは捻じ曲げない方がいいからね」
「そうですね。精霊たちもきっと――」
ノエラはすべて言い切る前に、突然フラりとよろけて倒れてしまった。俺は慌てて彼女を支えにかかる。
「おやおや、どうやら集中し過ぎて大分疲労したみたいだね。いやいや、よく頑張ったよ。ほら、そこの君。彼女をどこか休めるところに連れて行ってあげてくれ」
とんがり帽子の魔女はぱちんと指を鳴らして俺たちの服を瞬時に乾かし、同時に水を弾く魔術の結界を授けてくれた。すごいな。同時に二つの魔術を一気にかけるなんてこの人は相当な手練れだ。おっと、ここは返事をしないとな。
「ああ、わかってる。俺は彼女の守護天使だからな」
「ふふっ、お熱いことだ。それなら言葉通り、きちんと彼女のことを守ってあげてくれよ? さて、あとの報告はボクがしてくから君は心配しなくていいよ。どこかでまた会うことになりそうだからそのときはよろしく」
彼女はそれだけ言って飛行の魔術で飛んで行ってしまった。誰だか知らないが、かなりの実力者に会ってしまったようだな。ふう。とりあえずここは一段落ついたし、宿に戻ってノエラを休ませてあげないとな。
そうして俺は彼女をお姫様抱っこで抱えて宿に戻った。もしかしたら窓から誰かに見られているかもしれないが、構うもんか。俺がお姫様抱っこで街の救世主を運んだなんて噂になったら、ノエラはきっと可愛らしい反応をしてくれるに違いないからな!
そうして宿に戻るとバロンが心配そうに声をかけてくるが、問題ないと俺は制した。疲れているだけには見えないかもしれないが、事実そうなのだから仕方ない。
霊力は俺の【献身の常闇】の奇跡で減っていないはずだから、集中のし過ぎで疲れた頭を休ませるために気を失ってしまったのだろう。
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