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大都市を目指して
新たな景色
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ノエラも加わって二人になったため、【闇の加護】ではなく【闇の感知】を使って魔物を避けながら進む作戦にする。ツリーハウスを拠点に魔物を狩り続けたおかげか、進み始めの気配はかなり少なかった。
そうしてツリーハウスから北に向かって安全に進むこと数時間ほどか、徐々に景色が変わってきて遠くから川の流れる音が聞こえてきた。微かだが確実に水のせせらぎの音だ。
「川に近付いてきたみたいだな」
「そうみたいですね。シビルさんは確かこの先にデリサイ水郷があると言っていたと思います」
「足場が悪くなるかもしれないな。滑らないように気を付けて進もう」
しばらく高木が多い森の中を進み、枝を避けながら草花で隠れた段差に注意していると、ほんの少しずつだけ景色がまた変わってくる。ノエラのいた村からシビルのツリーハウスまでの変化も相当なものだったが、ここからもまた大きな変化がやってくる予感だ。
それはさらに大きくなってくる水音からも明らかで、俺たちはついに川を発見することになる。川と言っても本流から分岐した小川ではあるのだが、そうなってくると水が豊富にあるおかげか巨大な木も多くなってくる。
人間三人分ほどの大きさの幹も現れ始め、やはりここは元の世界とは違うのだと実感させられた。
「でっかい木だな。見上げても天辺がまるで見えないよ」
「大きな木もそうですけど、ここに花も咲いてますよ」
「おお、本当だ。オレンジ色の花か。こっちにはピンクの花もあるぞ」
そうやって自然の産物を楽しんでいると、唐突に魔物の悪意が近づいた。俺はノエラに静かに声をかけて隠れる。大きな木の幹に身を潜めて魔物が過ぎ去るのを待つ。むむ、かなり近い。なのに姿が見えないのはおかしいな……。そう思っていると突如真上に悪意が蠢く。
「サム様、上です!」
アンヘルもそれを教えてくれるが、魔物はもう俺たちを視認しており襲いかからんとしていた。こいつは鳥型の魔物、イボンだ。食用肉にもなる相手だが、俺の奇跡とは若干相性が悪いな。飛び回られるとなかなか面倒だから広範囲の奇跡で無理やり巻き込むか。
そうして作戦を考えていると、ノエラがおもむろに精霊魔法の詠唱を始める。
『流れる風。惑い、空舞う陰りに地の安息を』
ノエラが祈るように組んだ手が薄緑色に光り、真上を飛んでいたイボンも同じく光に包まれて、飛行を維持できずに地面に墜落した。俺はそれに追撃を仕掛ける。
【黒き排除】
そうするとイボンは新鮮な食肉へと早変わりする。俺はそれを【闇の領域】に入れて、ノエラを労う意味を込めて彼女にほほ笑んだ。ノエラはそれに小さく応えてくれる。
「助かったよノエラ。もうそんなに精霊魔法を使えるんだな!」
「師匠が良かったものですから」
「いや、これはノエラの実力だって。これは俺も楽ができそうだな」
「はい。サムさんをできるだけ煩わせないように頑張ります」
「煩わしいなんてことは絶対にないからどんどん頼ってくれていいんだけどな。とはいえこれからもよろしく頼むよ」
「こちらこそ、引き続きよろしくお願いします」
そこからさらに奥に行くと、本流と思われる川が目前に現れた。渡るのに手間取るかもとは思っていたのだが、実際は特に問題もなく渡れそうだ。
その川は窪みに沿って流れており、さらに人が渡れるように丸太の橋が架かっている。きっと誰かがここを通るために架けたのだろうが、俺たちもその恩恵にあずかることができた。
丸太の橋ということもあって滑ったり転がったりしないか心配だったが無事に二人とも渡り切れて安心した。ちなみにアンヘルは空を飛べるから足場の問題は関係がない。空飛べるって羨ましいな。
そうしてツリーハウスから北に向かって安全に進むこと数時間ほどか、徐々に景色が変わってきて遠くから川の流れる音が聞こえてきた。微かだが確実に水のせせらぎの音だ。
「川に近付いてきたみたいだな」
「そうみたいですね。シビルさんは確かこの先にデリサイ水郷があると言っていたと思います」
「足場が悪くなるかもしれないな。滑らないように気を付けて進もう」
しばらく高木が多い森の中を進み、枝を避けながら草花で隠れた段差に注意していると、ほんの少しずつだけ景色がまた変わってくる。ノエラのいた村からシビルのツリーハウスまでの変化も相当なものだったが、ここからもまた大きな変化がやってくる予感だ。
それはさらに大きくなってくる水音からも明らかで、俺たちはついに川を発見することになる。川と言っても本流から分岐した小川ではあるのだが、そうなってくると水が豊富にあるおかげか巨大な木も多くなってくる。
人間三人分ほどの大きさの幹も現れ始め、やはりここは元の世界とは違うのだと実感させられた。
「でっかい木だな。見上げても天辺がまるで見えないよ」
「大きな木もそうですけど、ここに花も咲いてますよ」
「おお、本当だ。オレンジ色の花か。こっちにはピンクの花もあるぞ」
そうやって自然の産物を楽しんでいると、唐突に魔物の悪意が近づいた。俺はノエラに静かに声をかけて隠れる。大きな木の幹に身を潜めて魔物が過ぎ去るのを待つ。むむ、かなり近い。なのに姿が見えないのはおかしいな……。そう思っていると突如真上に悪意が蠢く。
「サム様、上です!」
アンヘルもそれを教えてくれるが、魔物はもう俺たちを視認しており襲いかからんとしていた。こいつは鳥型の魔物、イボンだ。食用肉にもなる相手だが、俺の奇跡とは若干相性が悪いな。飛び回られるとなかなか面倒だから広範囲の奇跡で無理やり巻き込むか。
そうして作戦を考えていると、ノエラがおもむろに精霊魔法の詠唱を始める。
『流れる風。惑い、空舞う陰りに地の安息を』
ノエラが祈るように組んだ手が薄緑色に光り、真上を飛んでいたイボンも同じく光に包まれて、飛行を維持できずに地面に墜落した。俺はそれに追撃を仕掛ける。
【黒き排除】
そうするとイボンは新鮮な食肉へと早変わりする。俺はそれを【闇の領域】に入れて、ノエラを労う意味を込めて彼女にほほ笑んだ。ノエラはそれに小さく応えてくれる。
「助かったよノエラ。もうそんなに精霊魔法を使えるんだな!」
「師匠が良かったものですから」
「いや、これはノエラの実力だって。これは俺も楽ができそうだな」
「はい。サムさんをできるだけ煩わせないように頑張ります」
「煩わしいなんてことは絶対にないからどんどん頼ってくれていいんだけどな。とはいえこれからもよろしく頼むよ」
「こちらこそ、引き続きよろしくお願いします」
そこからさらに奥に行くと、本流と思われる川が目前に現れた。渡るのに手間取るかもとは思っていたのだが、実際は特に問題もなく渡れそうだ。
その川は窪みに沿って流れており、さらに人が渡れるように丸太の橋が架かっている。きっと誰かがここを通るために架けたのだろうが、俺たちもその恩恵にあずかることができた。
丸太の橋ということもあって滑ったり転がったりしないか心配だったが無事に二人とも渡り切れて安心した。ちなみにアンヘルは空を飛べるから足場の問題は関係がない。空飛べるって羨ましいな。
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