降る、ふる、かれる。

茶茶

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第一章 リスナー

先輩

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すぐに既読がつき、返信が返ってくる。


 〈おひさー!元気だよ!ゆあから連絡あるなんて珍しいね笑どうしたの?〉

 〈いや、先輩元気かなーって〉

 〈何それ笑いやでも、ゆあからの連絡嬉しいわ〉

 私は照れた様子のウサギのスタンプと好きです!と横に書かれたハリネズミがラブレターを差し出しているスタンプを送った。

 すると、〈あのさ、電話していい?〉という突然の電話のお誘いの返信が返ってきた。

 〈今ですか?〉私は何事かとすこし躊躇した。

 〈うん。少しでいいから〉先輩にキャバクラのことを直接聞ける良い機会だと思った。

 私が電話を掛けると、ワンコールもしないうちに先輩が電話に出た。

「お久しぶりです!咲先輩」

「久しぶり。急にごめんね」久しぶりに聞く声は、あの頃と全く変わっていなかった。

「いえ、いいんですよ。暇していましたから」

「ゆあは最近どうなの?」

「最近ですかー」先輩に最近のことを告げる。

 人間関係がうまく行っていないこと。ずっと学校に行っていないこと。高校をやめるかもしれないこと。そして、お金が無くて、夜のお仕事で働くことを考えているということ。

「ゆあさ、もしかしてみちゃった?」深刻そうな雰囲気は一ミリもなく、先輩は私に問うた。

「みちゃいました」エヘッと私は笑った。

「みちゃったかー。ってか、私だってよくわかったね。私、結構顔変えたんだよ?」電話越しに風がさまよう音が聞こえる。

「分かりますよ」

「ゆあが初めてかも。何も言わずにあの顔が私だってわかったの」

「本当ですかー。うれしい。ほぼ二年間毎日一緒にいたから、さすがに分かります」

「そっかー。よくできた後輩だな」懐かしい声で先輩は照れ笑いをあげた。「お金のことはねー、うん。何とかなると思う。ゆあとりあえず、うちの店舗で体入しなよ。いろいろ教えてあげる。それにさ、ゆあ、かわいいからさ最高時給貰えると思う」

「本当ですか!?」

「うん。かわいい後輩が来るって話通してあげるから、近いうちにきなよ」

「ありがとうございます!また先輩と一緒にいれるなんて嬉しいです!」

「かわいい後輩め」

 先輩は朗らかに笑った。

 立ち止まっていた私の人生が再び動く音が聞こえた
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