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11 観覧車とバースデー
第38話
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「だからさ、だれかに祝ってもらおうなんて、これっぽっちも思わないワケ」
「咲也くん……」
「ただ……大切な人といっしょにいたいと思った。今日が忌まわしい日であることを忘れるために」
ほほ笑んだ咲也くんの瞳に、わたしがうつってる。
「一千花センパイしかいなかった。今日という日をいっしょに過ごすのは……。だから、強引に誘っちゃった。ごめんね」
ぺろっと舌を出す咲也くん。
そんなふうに、わたしを心の底から求めてくれていたんだ!
「……わたしでよかったの?」
咲也くんの左手が伸びてきて、わたしの頬をやさしくなでた。
「一千花センパイじゃなきゃダメだ。今日は、おれだけを見ていてよ」
「うん」
咲也くんの瞳にうつってるわたし、笑顔になってるよ。
「あっ、見て見て。一番高いところまで上がったんじゃない?」
窓に視線をうつして、はしゃぐ咲也くん。
きっと咲也くん、いま、スッゴく照れてるよね。
そんな気がする。
クスッとして、わたしも窓からの景色を見つめた。
「わあっ!」
視界がひらけて、開花町全体を一望できるよ!
すぐに開花中学校が見つかった。
視線を横にすべらせる。
わたしの家がある東地区の住宅街が、豆つぶみたい。
はるか遠くの山々も、パノラマ風景の一部になってる。
でも――。
わたしには、この眺めはある意味、見なれたものだった。
魔法少女アイカになって、自由に空を飛びまわれたころ、見ていた景色――。
「なつかしいな……」
ぽつりと、咲也くんがつぶやいた。
「おれ、魔力で空を自由に飛べたんだよな……」
「わたしも……」
二年前のあの日まで、わたしたちは飛べたんだ。
「おれは、この町を……世界を闇に染めあげようとしてたんだな。こんなに美しい世界を……。ずっと遠くまで見わたせたのに、なんにも見ようとしてなかった」
「咲也くん……」
「一千花センパイはどう? フツーの女の子に戻って、町を見下ろした感想は?」
咲也くんにたずねられ、わたしは首をかしげる。
「うーん、見え方は同じかな。花がたくさん咲いていて、みんなそれぞれの生活と笑顔があって……。わたしの大好きな町! それは変わらないよ。今はもう、空を飛べないけど、今日こうして咲也くんと、この景色を見られてうれしいよ」
ほほ笑みあう、わたしたち。
「誕生日おめでとう、咲也くん」
わたしの口から、自然とお祝いの言葉がこぼれ出る。
今日は、咲也くんが、この世に生まれ出た、おめでたい日なんだよ。
忌まわしい日なんかじゃないよ。
咲也くんは、少しとまどった表情になったけれど、
「ありがとう」
って、照れくさそうに返してくれた。
そのとき――。
「ううっ……」
急に眉をしかめた咲也くんが、左目をおさえた。
「ど、どうしたの!?」
びっくりして、咲也くんの背中に手をそえるわたし。
「……くっ……左目が……魔眼がうずくんだ……」
「えっ、魔眼が!?」
「今までとはちがう。とてつもない魔力を感じる……!」
咲也くんはうめきながら、おさえていた手を外した。
まがまがしい光をはなっている魔眼が、あらわになる。
「一千花センパイを、どこか離れたところから見てやがる!」
荒々しい声を出して、とり乱す咲也くん。
不安の波が、一気に押しよせてきた。
なにか、よくないことが起きる気がする!
「咲也くん……」
「ただ……大切な人といっしょにいたいと思った。今日が忌まわしい日であることを忘れるために」
ほほ笑んだ咲也くんの瞳に、わたしがうつってる。
「一千花センパイしかいなかった。今日という日をいっしょに過ごすのは……。だから、強引に誘っちゃった。ごめんね」
ぺろっと舌を出す咲也くん。
そんなふうに、わたしを心の底から求めてくれていたんだ!
「……わたしでよかったの?」
咲也くんの左手が伸びてきて、わたしの頬をやさしくなでた。
「一千花センパイじゃなきゃダメだ。今日は、おれだけを見ていてよ」
「うん」
咲也くんの瞳にうつってるわたし、笑顔になってるよ。
「あっ、見て見て。一番高いところまで上がったんじゃない?」
窓に視線をうつして、はしゃぐ咲也くん。
きっと咲也くん、いま、スッゴく照れてるよね。
そんな気がする。
クスッとして、わたしも窓からの景色を見つめた。
「わあっ!」
視界がひらけて、開花町全体を一望できるよ!
すぐに開花中学校が見つかった。
視線を横にすべらせる。
わたしの家がある東地区の住宅街が、豆つぶみたい。
はるか遠くの山々も、パノラマ風景の一部になってる。
でも――。
わたしには、この眺めはある意味、見なれたものだった。
魔法少女アイカになって、自由に空を飛びまわれたころ、見ていた景色――。
「なつかしいな……」
ぽつりと、咲也くんがつぶやいた。
「おれ、魔力で空を自由に飛べたんだよな……」
「わたしも……」
二年前のあの日まで、わたしたちは飛べたんだ。
「おれは、この町を……世界を闇に染めあげようとしてたんだな。こんなに美しい世界を……。ずっと遠くまで見わたせたのに、なんにも見ようとしてなかった」
「咲也くん……」
「一千花センパイはどう? フツーの女の子に戻って、町を見下ろした感想は?」
咲也くんにたずねられ、わたしは首をかしげる。
「うーん、見え方は同じかな。花がたくさん咲いていて、みんなそれぞれの生活と笑顔があって……。わたしの大好きな町! それは変わらないよ。今はもう、空を飛べないけど、今日こうして咲也くんと、この景色を見られてうれしいよ」
ほほ笑みあう、わたしたち。
「誕生日おめでとう、咲也くん」
わたしの口から、自然とお祝いの言葉がこぼれ出る。
今日は、咲也くんが、この世に生まれ出た、おめでたい日なんだよ。
忌まわしい日なんかじゃないよ。
咲也くんは、少しとまどった表情になったけれど、
「ありがとう」
って、照れくさそうに返してくれた。
そのとき――。
「ううっ……」
急に眉をしかめた咲也くんが、左目をおさえた。
「ど、どうしたの!?」
びっくりして、咲也くんの背中に手をそえるわたし。
「……くっ……左目が……魔眼がうずくんだ……」
「えっ、魔眼が!?」
「今までとはちがう。とてつもない魔力を感じる……!」
咲也くんはうめきながら、おさえていた手を外した。
まがまがしい光をはなっている魔眼が、あらわになる。
「一千花センパイを、どこか離れたところから見てやがる!」
荒々しい声を出して、とり乱す咲也くん。
不安の波が、一気に押しよせてきた。
なにか、よくないことが起きる気がする!
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