14 / 25
Swan Song
しおりを挟む
この「緑の大陸」の民に伝わる神話。
はるか遠くにある「聖なる星」からやって来た神々が、この世に様々な知恵と富をもたらした。
僕らは、それら「聖なる星」の宝から生まれた。
「魔法戦士」と呼ばれる者たちがいる。そして、彼らに従う「マスコット」と呼ばれる動物たちがいる。
化け犬「カバル(cabal)」、化け猫「キャスパルグ(cathpalug)」などといった、言葉と魔力を持つ動物たちだ。彼らは主人である魔法戦士たちと共に行動し、生きている。
魔法戦士やマスコットたちは様々な魔法を使うが、彼らには究極奥義というべき必殺の魔法がある。それは、一生に一度しか使えない。
白鳥は、死ぬ間際に歌うという。それで、文人の遺作は「スワン・ソング(白鳥の歌)」と呼ばれる。そして、魔法戦士やマスコットたちの、文字通りの必殺技が「スワン・ソング」なのだ。「必殺」とは、自らに対してだ。
魔法戦士やマスコットは、一生に一度の歌を歌い、自らの全ての魔力を解き放つ。その魔法の効果はそれぞれ違う。ある者は死者を生き返し、また、ある者は一つの都市を滅ぼす。
自らの命と引き換えに、強大な魔法を用いる。それがスワン・ソングだ。
もちろん、全ての魔法戦士やマスコットがその歌を歌うのではない。むしろ、その必要もないまま生涯を終える者の方が多い。ある者は敵との戦いに敗れて死に、また、ある者は平穏無事に眠りにつく。
その者がその歌を歌うかは、神々が決める事だ。
魔法戦士やマスコットは、この世に生まれた時点で、神々からそれぞれの「歌」を授けられる。それらは普段は、それぞれの頭の中に収まって眠っている。そして、「その時」が来るまで「歌」は封印されている。
普段の魔法戦士やマスコットたちは、歌がうまい者もいれば、下手な者もいる。普通の歌なら、いくら歌っても死にはしない。あくまでも、ただの音楽なのだからね。
スワン・ソング以外にも、音楽の魔法はいくつかある。歌や楽器の音色で生き物を癒やしたり、眠らせたり。あるいは、戦の前に歌って味方の士気をあげたりする。プロの吟遊詩人の中には、そのような歌や演奏を披露する者が少なくない。
僕は「普通の」音楽の魔法は何度か見て聴いた事があるけど、さすがにスワン・ソングの現場は見た事がない。まあ、あまり見たいものではないよね。それで歌った本人が死んじゃうんだもんね。
ましてや、僕自身がそんな状況に追い込まれるのは避けたいね。まだまだ長生きしたいのだし。でも、僕がスワン・ソングを歌う事態になるかどうかは、神々が決める事。その時はその時だ。
この「会盟の樹」、世界樹がある限り、僕はみんなを励まし、楽しませ、慰める歌を歌う。今の平和な世の中が続くのを祈りながらね。
はるか遠くにある「聖なる星」からやって来た神々が、この世に様々な知恵と富をもたらした。
僕らは、それら「聖なる星」の宝から生まれた。
「魔法戦士」と呼ばれる者たちがいる。そして、彼らに従う「マスコット」と呼ばれる動物たちがいる。
化け犬「カバル(cabal)」、化け猫「キャスパルグ(cathpalug)」などといった、言葉と魔力を持つ動物たちだ。彼らは主人である魔法戦士たちと共に行動し、生きている。
魔法戦士やマスコットたちは様々な魔法を使うが、彼らには究極奥義というべき必殺の魔法がある。それは、一生に一度しか使えない。
白鳥は、死ぬ間際に歌うという。それで、文人の遺作は「スワン・ソング(白鳥の歌)」と呼ばれる。そして、魔法戦士やマスコットたちの、文字通りの必殺技が「スワン・ソング」なのだ。「必殺」とは、自らに対してだ。
魔法戦士やマスコットは、一生に一度の歌を歌い、自らの全ての魔力を解き放つ。その魔法の効果はそれぞれ違う。ある者は死者を生き返し、また、ある者は一つの都市を滅ぼす。
自らの命と引き換えに、強大な魔法を用いる。それがスワン・ソングだ。
もちろん、全ての魔法戦士やマスコットがその歌を歌うのではない。むしろ、その必要もないまま生涯を終える者の方が多い。ある者は敵との戦いに敗れて死に、また、ある者は平穏無事に眠りにつく。
その者がその歌を歌うかは、神々が決める事だ。
魔法戦士やマスコットは、この世に生まれた時点で、神々からそれぞれの「歌」を授けられる。それらは普段は、それぞれの頭の中に収まって眠っている。そして、「その時」が来るまで「歌」は封印されている。
普段の魔法戦士やマスコットたちは、歌がうまい者もいれば、下手な者もいる。普通の歌なら、いくら歌っても死にはしない。あくまでも、ただの音楽なのだからね。
スワン・ソング以外にも、音楽の魔法はいくつかある。歌や楽器の音色で生き物を癒やしたり、眠らせたり。あるいは、戦の前に歌って味方の士気をあげたりする。プロの吟遊詩人の中には、そのような歌や演奏を披露する者が少なくない。
僕は「普通の」音楽の魔法は何度か見て聴いた事があるけど、さすがにスワン・ソングの現場は見た事がない。まあ、あまり見たいものではないよね。それで歌った本人が死んじゃうんだもんね。
ましてや、僕自身がそんな状況に追い込まれるのは避けたいね。まだまだ長生きしたいのだし。でも、僕がスワン・ソングを歌う事態になるかどうかは、神々が決める事。その時はその時だ。
この「会盟の樹」、世界樹がある限り、僕はみんなを励まし、楽しませ、慰める歌を歌う。今の平和な世の中が続くのを祈りながらね。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
サディストの私がM男を多頭飼いした時のお話
トシコ
ファンタジー
素人の女王様である私がマゾの男性を飼うのはリスクもありますが、生活に余裕の出来た私には癒しの空間でした。結婚しないで管理職になった女性は周りから見る目も厳しく、私は自分だけの城を作りまあした。そこで私とM男の週末の生活を祖紹介します。半分はノンフィクション、そして半分はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる