リサと不器用な王子様 〜理科室のchemistry〜

先生の怪談

リサと先生はお互いに異性を意識しつつも、それを上手く隠すように会話を続けていた。

「松田さんのスケッチのアイディア、本当に面白いと思うよ。視覚的な表現って、データをより理解しやすくしてくれるね。」

先生の言葉にリサは満足気に頷いた。彼の真剣な表情に、彼女は彼の熱意と尊敬を感じることができた。

「はい、お手伝いできることがあれば！どんどんやりましょう」

「ありがとう、松田さん。本当に助かります」

二人の間には自然な会話が続く一方、微妙な緊張感も漂っていた。お互いの視線が重なるたびに、心のなかでほんのりとした高鳴りを感じる瞬間があった。


「そういうえば、松田さんは怖い話も好きだと聞きましたよ？」

先生が少し意を決したような表情で聞いてきた。リサは少し恥ずかしそうに笑いながら答えた。

「はい、怖い話も好きなんです。どうしてですか？」

先生は微笑みながら言った。

「実は、私も昔から怖い話が好きでして。でも、どちらかというと、不思議な話の方が好きなんです。」

その言葉にリサの心が跳ねるような感覚を覚え、お互いの共通点を見つけた瞬間があった。

彼女は先生の目を見つめながら、何か特別な瞬間にいるような錯覚を感じた。


異性を意識しながらも、お互いに共鳴する何かが二人の心を結びつけていくのを感じた瞬間だった。

窓の外には夕暮れが迫っており、理科室内には微かな照明が灯っていた。



先生が少し声を落として、怖い話を始めた。

「昔この辺りに住んでいたとある女性の話をします。彼女は美しく、知性もあり、町の人々から羨望の的でした。ある晩、彼女は町の祭りで一人の男性と出会ったのです。」

先生の声は魅惑的な響きを持ちながらも、どこか幽玄さも感じられるものだった。

リサはその話に引き込まれるように耳を傾け、少し緊張しながらも、先生の言葉に身を委ねていった。

「その男性は黒いスーツに身を包み、彼女に微笑むと、美しい赤いバラを手渡しました」

「彼女はそのバラを受け取ると、なぜかその男性に引き寄せられるような感覚を覚え、自然と歩み寄っていきました。」

「彼女と男性は、祭りの賑わいから離れ、静かな場所へと足を運びました」

「彼女は男性と話すうちに、その魅力にどんどん引き込まれていきました。そして、夜が更けていくにつれて、彼らの距離はますます縮まっていきました。」