案内人は苦労中!

カヲス神

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プロローグ、と見せかけて第1章!

これは…修羅場?

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とても不本意な目立ち方で戻った宿では、おじさんとアリシアさんが部屋で待っていた。
どちらもかなり驚いた顔をしていた。
やっぱりこのギターの所為ですよね、解ります。
というか帰り道で突き刺さった視線のおかげで解っちゃいます。
そんなに変かな?このギター。
うーむ…カバーは掛けているのだがなぁ。
大きさかな?
それともカバーが黒色忌み色だからかな?
あとで改善してみよう。
でも改善するとはいえ、あまりお金がないんだよな。
やっぱりなんでも出来る御都合主義な万能魔法でいくか。
魔法でいくとすると、何色でも出来るから迷うな。
赤色?
派手過ぎるから駄目か。
緑色?
地球に優しい色だけど、街で見かけたことはあまり無いからきっと視線は厳しいだろう。
黄色?
論外だ。
これは意図せずともかなり目立ってしまう。
きっと黒色とどっこいどっこいだろう。
へ?
確証は有るのかって?
ないよ、そんな物。
カンと少しの想像で考えている。
実験は絶対にしないからね。
私にはカンと少しの想像だけで充分なんだよ。
青色?
これならイケるかな。
でも普通の青だと目立つし…
紺色でいくか。
これなら周りが暗くない限り黒色には見えないだろう。
多分。
流石にギター本体はただの木で出来ているように見えるし、大丈夫だよね。
うん、大丈夫大丈夫。

さて、ギターの改善作戦(という名の現実逃避)も終わったし、そろそろ現実に目を向けるか。
あれ?なんか昔もこんなこと言った気がする。
まぁいいか。
ここはアメリアさんとおじさんの部屋。
私はアメリアさんのベッドの上に座っている。
というよりベッドぐらいしか座れる物が無いのも原因だけど。
そしてこのベッドの今の主アメリアさんは私の正面、おじさんのベッドの上におじさんと一緒に座っている。
つまり、私たちは向かい合って座っているわけだ。
普通ならかなり弾む会話もない。
というか誰も一言も発さない。
そうなると私も話せない。
そして、居るだけで逃げたくなるような空気の重さ。
きっとこういうのを修羅場と言うのだろう。
なんか違う気もするけど。
こんな悲惨な光景を作り出したのは誰かって?
知らん。
寧ろ私が聞きたいわ!
ただ一つ弁明をするとすれば、私が入った時にはこうだった。
つまり決して私の所為では無い。
というか誰かが怒っているというよりは、私の出方を伺っているというか何というか…
なにか私、したのかな?
いやいやいや、それは無いだろう。
何も大変なことはしていないし。
うーん…
ギターかなぁ?
でも、ギターとのご対面の時には何も言わなかったし。
カバーの色の問題はそれこそ違うだろう。
仮にそうだとしても変えることができるということを伝えればいいし。
あれ?何か言われるような事なんて、本当にしていないぞ。
なら、この空気はなんなんだ?
そして一体私に何をしろと?
わ、わっかんねぇ…
私はどうすればいいんだ⁉︎
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