37 / 39
第二十話 ミュリエルとメルヒ先生2
しおりを挟む
「うー、寒いね。今日は暖炉に火を入れるところからやってもらおうと思って、一旦火を消していたんだ」
「じゃあ、早くつけちゃいますね」
自分の身体を自分で抱くメルヒオルの姿が何だか可愛くて、ミュリエルはいそいそと暖炉に向かった。
「あれ……灰も全部かき出されてる……」
薪に火の魔術を放てばいいと思っていたため、何もなくなっている暖炉を見て戸惑った。暖炉には火が灯されているのが当たり前の生活をしていたから、どうしたらいいかさっぱり見当がつかない。
「暖炉に火を起こすにはね、薪と小枝と、藁とか紙とか火種になるものがいるんだ。これらをどう使うのか、今からやってみるよ」
暖炉を前に固まっているミュリエルの頭を撫で、メルヒオルは手早く薪を組んでいった。
「まず、薪で土台を作る。箱のような形を作るのが一番簡単だね。そしたら、その中に火種になるものを入れる……今日は新聞を千切って丸めたものにしよう。その上に小枝を重ねて、さらに薪を重ねたらできあがり」
「……すごい。先生、無駄がないですね」
「慣れてますから」
感心するミュリエルに、メルヒオルは少し格好つけて言う。それから、「さあどうぞ」というようにミュリエルを促した。
これで暖炉としての格好はついたはずだ。あとは火の魔術さえ使えば部屋を暖かくできるだろうと、杖を振った。
だが、炎は新聞紙や小枝を舐めるだけで、そこから薪へと燃え移ってはいかない。
「あれ……火力が足りないのでしょうか? もっと大きめの火の魔術にしたほうがいいですか?」
「その必要はないよ。だって魔術を使わない人は、マッチ一本でこの暖炉に火を入れるのだから。それより、足りないものを補うことを考えてみて」
「足りないもの?」
土台は作ってくれたが、どうやらこれがすべてではないらしい。ということは何か目に見えないもの――魔術的な要素で足りていないものがあるのだろうと考え、思考をめぐらせた。
(火を起こすのに水は関係ないわね。だったら土も。部屋を明るくするのだったら光が関わってくるかもしれないけれど、たぶん今は関係ないし、闇でもないだろうから……風?)
「もしかして、風……空気ですか? そっか! 火が大きく燃え上がるために、空気を送り込む必要があったんですね!」
「そうだよ」
ひらめいたミュリエルはもう一度杖を振り、炎を出現させた。その小さな炎の舌が消えないうちに、そっと息を吹き込む。
「やった! つきました!」
ふぅふぅと何度か吹くうちに、炎は薪へと移り、赤々と燃え盛り始めた。無事に、火を起こすことができたのだ。
手を叩いて喜ばんばかりのミュリエルを、メルヒオルはクスクス笑って見守っていた。
「風の魔術を使うのでもよかったのに……一生懸命息を吹く姿は、可愛かったよ」
「……!」
笑われていた理由がわかり、ミュリエルは即座に真っ赤になる。だが、嫌な気分ではない。
ミュリエルを見つめる仮面越しのメルヒオルの視線は優しくて、柔らかくて、大事にされているのがわかるから。
それに、こうして暖炉のあたたかな光に照らされていると、メルヒオルの美貌を前にしているのに、それほど緊張していないことに気がついた。
「どうやら、少しは緊張がほぐれたみたいだね。君は何かに取り組ませたらそれに集中する子だから、こうやってちょっと難しい作業をさせたら、私への緊張を和らげられるかと思ったのだけれど、正解だったかな」
言いながら、メルヒオルは暖炉の近くに椅子を二つ運んでくる。
「これでようやく、ミュリエルとゆっくり話ができる」
おもむろに仮面を外すのがわかって、ミュリエルは身構えた。そして、素顔が晒されても少し心臓が跳ねただけだったことに安堵する。鼻血が出なかったことにも。
どうやら暖炉の明かりは輪郭をぼんやりと優しく見せてくれるため、美形の眩しさをいくらか緩和してくれるらしい。
ほっと息を吐いて、改めてメルヒオルを見つめた。
「いろいろ、考えてくださってるんですね」
「それはそうだよ。だって、好きな女性と見つめあえないなんてつらいからね。ちゃんと顔を見ておしゃべりできないことも」
「好きな女性……」
改めてその言葉の響きを噛みしめて、ミュリエルは嬉しくて、それでいて不思議な気分になる。
「私はミュリエルが好きだよ。私の心に寄り添ってくれた女性は、君が初めてだから」
「わ、わたくしも、メルヒ先生のことが好きです」
羞恥に顔を真っ赤にさせながらも、ミュリエルは言った。好きな人からの好意には、素直に応えたいと思ったのだ。
そんなミュリエルを前に、メルヒオルは優美な笑みを浮かべる。
「獣の頭でも好きになってくれるなんて、ミュリエルは物好きだね。……でも、それは君がきちんと私の中身を見てくれたということだ。だから、できたらこの本来の姿も、早く慣れて好きになってくれるといいな」
「そうですよね……せっかく、元の姿に戻れたんですものね」
「君に会うために、必死だったんだ。獣のままでは外に出られない。外に出られなければ、君に会えない。その思いが、何より元に戻るための薬だったと思う」
メルヒオルはそっと手を伸ばして、ミュリエルの頬に触れた。その感触を楽しむように指先をすべらせて撫でられ、ミュリエルの身体はかすかに震えた。緊張と、期待に。
「もっと、触れてみてもいいかな?」
メルヒオルの指先は、頬から唇へと移動している。その意味がわかって、ミュリエルは目を閉じた。
「……はい」
期待が緊張を上回り、一気に鼓動を速めていく。そのせいで自分の身体が揺れているのでないかと不安になってくるが、そんなことは唐突にどうでもよくなる。
柔らかなものが、唇に触れたのだ。
口づけられたのだ、とわかると途端に顔が熱くなる。だが、いつもの鼻の奥がつんと痛くなる感覚はなかった。
数秒の後、メルヒオルの唇は離れていく。
鼻血が出なかったことにばかり気を取られているうちに接吻が終わっていて、ミュリエルは何だか物足りない気分になる。まだドキドキしているくせに。
「これ以上は、だめだよ。……私が、我慢できなくなってしまうから」
「……は、はいっ」
この口づけより先がある――そのことを強く思い知らされて、ミュリエルの心臓は持ちそうになかった。
「ミュリエル!? ミュリエル!」
椅子から滑り落ちるようにして倒れてしまったミュリエルの身体を、メルヒオルがあわてて助け起こす。顔を覗き込んでみても、鼻血は出ていない。だが、意識は失っているようだった。
(この美しすぎる顔に、いつか慣れる日がくるのかしら……? 鼻の血管と心臓を強くしないと、近いうちにわたくし、死んでしまうわ……)
夢うつつの意識の中、そんなことをミュリエルは考える。
魔術師を志す令嬢と獣の頭だった侯爵の恋は、前途多難だ。
「じゃあ、早くつけちゃいますね」
自分の身体を自分で抱くメルヒオルの姿が何だか可愛くて、ミュリエルはいそいそと暖炉に向かった。
「あれ……灰も全部かき出されてる……」
薪に火の魔術を放てばいいと思っていたため、何もなくなっている暖炉を見て戸惑った。暖炉には火が灯されているのが当たり前の生活をしていたから、どうしたらいいかさっぱり見当がつかない。
「暖炉に火を起こすにはね、薪と小枝と、藁とか紙とか火種になるものがいるんだ。これらをどう使うのか、今からやってみるよ」
暖炉を前に固まっているミュリエルの頭を撫で、メルヒオルは手早く薪を組んでいった。
「まず、薪で土台を作る。箱のような形を作るのが一番簡単だね。そしたら、その中に火種になるものを入れる……今日は新聞を千切って丸めたものにしよう。その上に小枝を重ねて、さらに薪を重ねたらできあがり」
「……すごい。先生、無駄がないですね」
「慣れてますから」
感心するミュリエルに、メルヒオルは少し格好つけて言う。それから、「さあどうぞ」というようにミュリエルを促した。
これで暖炉としての格好はついたはずだ。あとは火の魔術さえ使えば部屋を暖かくできるだろうと、杖を振った。
だが、炎は新聞紙や小枝を舐めるだけで、そこから薪へと燃え移ってはいかない。
「あれ……火力が足りないのでしょうか? もっと大きめの火の魔術にしたほうがいいですか?」
「その必要はないよ。だって魔術を使わない人は、マッチ一本でこの暖炉に火を入れるのだから。それより、足りないものを補うことを考えてみて」
「足りないもの?」
土台は作ってくれたが、どうやらこれがすべてではないらしい。ということは何か目に見えないもの――魔術的な要素で足りていないものがあるのだろうと考え、思考をめぐらせた。
(火を起こすのに水は関係ないわね。だったら土も。部屋を明るくするのだったら光が関わってくるかもしれないけれど、たぶん今は関係ないし、闇でもないだろうから……風?)
「もしかして、風……空気ですか? そっか! 火が大きく燃え上がるために、空気を送り込む必要があったんですね!」
「そうだよ」
ひらめいたミュリエルはもう一度杖を振り、炎を出現させた。その小さな炎の舌が消えないうちに、そっと息を吹き込む。
「やった! つきました!」
ふぅふぅと何度か吹くうちに、炎は薪へと移り、赤々と燃え盛り始めた。無事に、火を起こすことができたのだ。
手を叩いて喜ばんばかりのミュリエルを、メルヒオルはクスクス笑って見守っていた。
「風の魔術を使うのでもよかったのに……一生懸命息を吹く姿は、可愛かったよ」
「……!」
笑われていた理由がわかり、ミュリエルは即座に真っ赤になる。だが、嫌な気分ではない。
ミュリエルを見つめる仮面越しのメルヒオルの視線は優しくて、柔らかくて、大事にされているのがわかるから。
それに、こうして暖炉のあたたかな光に照らされていると、メルヒオルの美貌を前にしているのに、それほど緊張していないことに気がついた。
「どうやら、少しは緊張がほぐれたみたいだね。君は何かに取り組ませたらそれに集中する子だから、こうやってちょっと難しい作業をさせたら、私への緊張を和らげられるかと思ったのだけれど、正解だったかな」
言いながら、メルヒオルは暖炉の近くに椅子を二つ運んでくる。
「これでようやく、ミュリエルとゆっくり話ができる」
おもむろに仮面を外すのがわかって、ミュリエルは身構えた。そして、素顔が晒されても少し心臓が跳ねただけだったことに安堵する。鼻血が出なかったことにも。
どうやら暖炉の明かりは輪郭をぼんやりと優しく見せてくれるため、美形の眩しさをいくらか緩和してくれるらしい。
ほっと息を吐いて、改めてメルヒオルを見つめた。
「いろいろ、考えてくださってるんですね」
「それはそうだよ。だって、好きな女性と見つめあえないなんてつらいからね。ちゃんと顔を見ておしゃべりできないことも」
「好きな女性……」
改めてその言葉の響きを噛みしめて、ミュリエルは嬉しくて、それでいて不思議な気分になる。
「私はミュリエルが好きだよ。私の心に寄り添ってくれた女性は、君が初めてだから」
「わ、わたくしも、メルヒ先生のことが好きです」
羞恥に顔を真っ赤にさせながらも、ミュリエルは言った。好きな人からの好意には、素直に応えたいと思ったのだ。
そんなミュリエルを前に、メルヒオルは優美な笑みを浮かべる。
「獣の頭でも好きになってくれるなんて、ミュリエルは物好きだね。……でも、それは君がきちんと私の中身を見てくれたということだ。だから、できたらこの本来の姿も、早く慣れて好きになってくれるといいな」
「そうですよね……せっかく、元の姿に戻れたんですものね」
「君に会うために、必死だったんだ。獣のままでは外に出られない。外に出られなければ、君に会えない。その思いが、何より元に戻るための薬だったと思う」
メルヒオルはそっと手を伸ばして、ミュリエルの頬に触れた。その感触を楽しむように指先をすべらせて撫でられ、ミュリエルの身体はかすかに震えた。緊張と、期待に。
「もっと、触れてみてもいいかな?」
メルヒオルの指先は、頬から唇へと移動している。その意味がわかって、ミュリエルは目を閉じた。
「……はい」
期待が緊張を上回り、一気に鼓動を速めていく。そのせいで自分の身体が揺れているのでないかと不安になってくるが、そんなことは唐突にどうでもよくなる。
柔らかなものが、唇に触れたのだ。
口づけられたのだ、とわかると途端に顔が熱くなる。だが、いつもの鼻の奥がつんと痛くなる感覚はなかった。
数秒の後、メルヒオルの唇は離れていく。
鼻血が出なかったことにばかり気を取られているうちに接吻が終わっていて、ミュリエルは何だか物足りない気分になる。まだドキドキしているくせに。
「これ以上は、だめだよ。……私が、我慢できなくなってしまうから」
「……は、はいっ」
この口づけより先がある――そのことを強く思い知らされて、ミュリエルの心臓は持ちそうになかった。
「ミュリエル!? ミュリエル!」
椅子から滑り落ちるようにして倒れてしまったミュリエルの身体を、メルヒオルがあわてて助け起こす。顔を覗き込んでみても、鼻血は出ていない。だが、意識は失っているようだった。
(この美しすぎる顔に、いつか慣れる日がくるのかしら……? 鼻の血管と心臓を強くしないと、近いうちにわたくし、死んでしまうわ……)
夢うつつの意識の中、そんなことをミュリエルは考える。
魔術師を志す令嬢と獣の頭だった侯爵の恋は、前途多難だ。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

【完結済】姿を偽った黒髪令嬢は、女嫌いな公爵様のお世話係をしているうちに溺愛されていたみたいです
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
王国の片田舎にある小さな町から、八歳の時に母方の縁戚であるエヴェリー伯爵家に引き取られたミシェル。彼女は伯爵一家に疎まれ、美しい髪を黒く染めて使用人として生活するよう強いられた。以来エヴェリー一家に虐げられて育つ。
十年後。ミシェルは同い年でエヴェリー伯爵家の一人娘であるパドマの婚約者に嵌められ、伯爵家を身一つで追い出されることに。ボロボロの格好で人気のない場所を彷徨っていたミシェルは、空腹のあまりふらつき倒れそうになる。
そこへ馬で通りがかった男性と、危うくぶつかりそうになり──────
※いつもの独自の世界のゆる設定なお話です。何もかもファンタジーです。よろしくお願いします。
※この作品はカクヨム、小説家になろう、ベリーズカフェにも投稿しています。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。
かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。
ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。
二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる