35 / 39
第十九話 舞踏会の夜に連れ去って2
しおりを挟む
「……クレーフェ卿?」
「その呼ばれ方は、悲しくて胸が痛むね」
「うそ……」
「本当だよ。気づいているとばかり思っていたよ」
猫型の仮面で目元を隠した男性は、ミュリエルにとって知らない人だ。ミュリエルの知っているメルヒオルは、ネコ科の大型獣を思わせる獣の頭がついているのだから。
「私だと気づかずについてきていたのか。……ミュリエル、君はもっと警戒心を持たなくてはいけないよ。簡単にさらわれてしまう」
メルヒオルを名乗る紳士は困ったように言って、悩ましげにこめかみを押さえた。その仕草は、まさしく彼のものだ。
「どうしてここに?」
「今夜の夜会に君が参加すると聞いたから。付きまとうようなことをして、すまない。だが、どうしても誤解を解きたかったんだ」
言いながら、メルヒオルはミュリエルの手首を掴む。逃げられないようにということなのだろう。その必死さに、ミュリエルは戸惑った。
心の傷ついた部分は、まだメルヒオルのことを拒んでいる。だが、別の部分は目の前の彼が何を語るのか、期待してしまっている。
「説明するより、見てもらったほうが早いから。……来て」
ミュリエルが抵抗しないとわかると、手を引いてメルヒオルは歩きだした。
テラスと会場の境界線ギリギリのところに立つと、しばらく当たりを見回す。それから、一点を指差した。
「あそこにいるのが、誰だかわかるよね?」
メルヒオルが指差す先にいるのは、女神と見紛う美貌の貴婦人――ファルケンハイン公爵夫人・カミラだ。今夜は王家主催の舞踏会とあって、以前見たときよりもきらびやかだ。菫色の一見すると地味なドレスをまとい、肩から胸元の美しいラインを惜しげなく晒している。控えめな意匠の首飾りしかつけていないが、優雅に結い上げた彼女の豊かな金髪が、何よりも美しい飾りとなり、全身を華やかに演出していた。
「……公爵夫人ですね」
「じゃあ、その隣にいる人を見て」
ミュリエルが一気に不機嫌になったのを感じ取って、メルヒオルはあわてて言った。
カミラの隣に立っているのは、彼女より十歳ほどは上に見える美丈夫だ。ミュリエルの父と同じくらいの年齢かさらに上に見えるが、若いミュリエルが思わず見惚れてしまうほどの魅力がある。青年の頃はおそらくもっと驚異的な魅力を放っていたことだろう。
「あの方は、どなたですか? 公爵夫人がひどくまとわりついていますが」
美丈夫の隣に立つカミラはマタタビを嗅がされたネコように、身をくねらせしなだれかかっている。そのとても幸せそうな姿を見て、ミュリエルは無意識のうちに拳を握りしめていた。
「ファルケンハイン公爵だよ。つまり、あのふたりがリーケとリカルドの両親だ」
「なるほど……」
美少女と美少年の両親はさすが反則的な美しさだと、目が痛くなりそうなほどまばゆい並びを見てミュリエルは思った。
だが、この場でリカとリケの両親を紹介される意味がわからない。訝(いぶか)る視線を向けると、それが伝わったのか、メルヒオルはためらいがちに仮面に手をかける。
「見てもらえば、わかるから」
「……!」
仮面を外した姿に、ミュリエルは思わず目を疑った。
そこにあったのは目を眇(すが)めてしまいそうなほどに眩しい美貌だった。ファルケンハイン公爵を若くしたような。
「え……どうして……?」
「リカとリケは親戚だって言っただろう? 私とファルケンハイン卿は、はとこなんだ。年はかなり離れているけれど、何の因果かこんなに似てしまって……」
説明を終えると用は済んだとばかりに、メルヒオルは再びミュリエルの手を引いてテラスに戻っていった。
「あの……まだよくわらなかいのですけれど」
思いがけず美しいものを一気に目にしてしまい、ミュリエルは混乱している。しかも、疑問は何ひとつ解決していない。
「ミュリエルは、私と公爵夫人がただならぬ関係だと思ってるんだよね? それが誤解だと伝えたかったんだ。夫人は今も昔も公爵にベタ惚れで、他の人は眼中にないよ。そのせいで、あるときから追い回されるようになって、それで逃げていたんだ」
「え? 夫人から逃げていたのですか? てっきり、夫人との関係を知られて、公爵から逃げているのかと……」
「違う。……逃げなければ彼女に食われてしまうと思って、必死だったんだ……」
メルヒオルは美しい顔を歪め、悩ましげに溜息をついた。この美男子があの獣頭のメルヒ先生とは思えず、ミュリエルは落ち着かない。
「どうして追い回されることになったのですか?」
あまりに好みド真ん中の美形を前に、ミュリエルはつい頬を赤らめる。
「公爵が体調を崩されて、夫婦仲に支障をきたすようになったらしいんだ。その……仲の良さと夫人の美しさの秘訣は愛の営みにあったそうで。おかしくなってしまって夫人は、それでよく似た私に目をつけたんだ」
「おお……」
大人な話題に、今度は別の意味で赤面することになり、ミュリエルは誤魔化すように扇子であおいだ。
「一体何があって、夫婦仲は修復されたんですか?」
「リカだよ。あの子が君からもらった薬を公爵に――自分の父親に盛ったんだ」
「……勢力増強剤!?」
「そう。それで公爵はいろいろな意味で元気になり、夫婦仲は元通り。めでたしめでたし、というわけ」
メルヒオルとミュリエルは、同時に息を吐いた。語るのも聞くのもげっそりする話だった。
「追われる理由がなくなって、よかったですね。それに、元の姿に戻ることができて」
メルヒオルの美しい、なじみのない顔を見つめてミュリエルは言った。
自分の顔が嫌いで、迫害されて生きづらいと言っていた彼の言葉の意味を、今ようやく理解した。ミュリエルが思っていたこととは真逆だが、たしかにこれだけ美しいと生きるのも大変だろうなと思う。
それでも、もう追われていないし、獣の頭ではない。本当に、ミュリエルと期限付きの婚約をする必要はなくなったのだ。
そのことに思い至り、今更なのに寂しくなった。
「あのときは、ひどいことを言ってしまって申し訳ありませんでした。自分ばかりが傷ついたと思って、先生のお話を聞こうともしないで……」
素直に、非礼を詫びた。今度こそ、本当に無関係になるのだから。
だが、メルヒオルは静かに首を振って、ひざまずいた。
「謝らなければならないのは、私のほうだ。あのとき、君に拒絶されたことに傷ついて、怯えて、誤解を解くために追いすがる勇気が出せなかったのだから。すまなかった」
「そんな……」
メルヒオルに切なそうな眼差しで見上げられ、ミュリエルは目眩がした。目が眩むほどの美貌とはこのことか、などと考えてしまう。
「それで、ミュリエルさえよければ、改めて求婚させてくれないか。――どうか、私と結婚してほしい」
「……!」
思わぬ言葉に、ミュリエルは大混乱に陥った。
(無理無理! こんな美形なんて絶対無理! 死んでしまうわ! 心臓がもたない!)
変な顔をしないように必死に無表情を貫きながら、心の中では絶叫している。落ち着かなくてはと思うが、冷静になんてなれない。頭のほんの片隅に残されている冷静な思考も、「なぜ?」と「無理!」を繰り返していた。
「……どうしてですか? メルヒ先生なら、わたくしなんかより素晴らしい方を妻に望めるでしょう?」
何とか取り繕って言うと、すかさずメルヒオルは首を振り、捨てられた子犬のような目で見上げてくる。
「ミュリエルでなくてはだめなんだ。君が好きだから……!」
その言葉を耳にしたミュリエルは、ついに「死んだ!」と思った。撃ち抜かれたかのような衝撃が胸に走り、たまらず後ろに倒れる。
「ミュリエル!」
その身体を急いでメルヒオルが抱きとめた。そして、悲しそうに問いかける。
「やはり、私のことが嫌いなのか……?」
不安で、悲しそうな顔で覗き込む。美形のそんな顔は反則だ。
「……好き」
耐えられず、ミュリエルは鼻血を流して気を失った。
「その呼ばれ方は、悲しくて胸が痛むね」
「うそ……」
「本当だよ。気づいているとばかり思っていたよ」
猫型の仮面で目元を隠した男性は、ミュリエルにとって知らない人だ。ミュリエルの知っているメルヒオルは、ネコ科の大型獣を思わせる獣の頭がついているのだから。
「私だと気づかずについてきていたのか。……ミュリエル、君はもっと警戒心を持たなくてはいけないよ。簡単にさらわれてしまう」
メルヒオルを名乗る紳士は困ったように言って、悩ましげにこめかみを押さえた。その仕草は、まさしく彼のものだ。
「どうしてここに?」
「今夜の夜会に君が参加すると聞いたから。付きまとうようなことをして、すまない。だが、どうしても誤解を解きたかったんだ」
言いながら、メルヒオルはミュリエルの手首を掴む。逃げられないようにということなのだろう。その必死さに、ミュリエルは戸惑った。
心の傷ついた部分は、まだメルヒオルのことを拒んでいる。だが、別の部分は目の前の彼が何を語るのか、期待してしまっている。
「説明するより、見てもらったほうが早いから。……来て」
ミュリエルが抵抗しないとわかると、手を引いてメルヒオルは歩きだした。
テラスと会場の境界線ギリギリのところに立つと、しばらく当たりを見回す。それから、一点を指差した。
「あそこにいるのが、誰だかわかるよね?」
メルヒオルが指差す先にいるのは、女神と見紛う美貌の貴婦人――ファルケンハイン公爵夫人・カミラだ。今夜は王家主催の舞踏会とあって、以前見たときよりもきらびやかだ。菫色の一見すると地味なドレスをまとい、肩から胸元の美しいラインを惜しげなく晒している。控えめな意匠の首飾りしかつけていないが、優雅に結い上げた彼女の豊かな金髪が、何よりも美しい飾りとなり、全身を華やかに演出していた。
「……公爵夫人ですね」
「じゃあ、その隣にいる人を見て」
ミュリエルが一気に不機嫌になったのを感じ取って、メルヒオルはあわてて言った。
カミラの隣に立っているのは、彼女より十歳ほどは上に見える美丈夫だ。ミュリエルの父と同じくらいの年齢かさらに上に見えるが、若いミュリエルが思わず見惚れてしまうほどの魅力がある。青年の頃はおそらくもっと驚異的な魅力を放っていたことだろう。
「あの方は、どなたですか? 公爵夫人がひどくまとわりついていますが」
美丈夫の隣に立つカミラはマタタビを嗅がされたネコように、身をくねらせしなだれかかっている。そのとても幸せそうな姿を見て、ミュリエルは無意識のうちに拳を握りしめていた。
「ファルケンハイン公爵だよ。つまり、あのふたりがリーケとリカルドの両親だ」
「なるほど……」
美少女と美少年の両親はさすが反則的な美しさだと、目が痛くなりそうなほどまばゆい並びを見てミュリエルは思った。
だが、この場でリカとリケの両親を紹介される意味がわからない。訝(いぶか)る視線を向けると、それが伝わったのか、メルヒオルはためらいがちに仮面に手をかける。
「見てもらえば、わかるから」
「……!」
仮面を外した姿に、ミュリエルは思わず目を疑った。
そこにあったのは目を眇(すが)めてしまいそうなほどに眩しい美貌だった。ファルケンハイン公爵を若くしたような。
「え……どうして……?」
「リカとリケは親戚だって言っただろう? 私とファルケンハイン卿は、はとこなんだ。年はかなり離れているけれど、何の因果かこんなに似てしまって……」
説明を終えると用は済んだとばかりに、メルヒオルは再びミュリエルの手を引いてテラスに戻っていった。
「あの……まだよくわらなかいのですけれど」
思いがけず美しいものを一気に目にしてしまい、ミュリエルは混乱している。しかも、疑問は何ひとつ解決していない。
「ミュリエルは、私と公爵夫人がただならぬ関係だと思ってるんだよね? それが誤解だと伝えたかったんだ。夫人は今も昔も公爵にベタ惚れで、他の人は眼中にないよ。そのせいで、あるときから追い回されるようになって、それで逃げていたんだ」
「え? 夫人から逃げていたのですか? てっきり、夫人との関係を知られて、公爵から逃げているのかと……」
「違う。……逃げなければ彼女に食われてしまうと思って、必死だったんだ……」
メルヒオルは美しい顔を歪め、悩ましげに溜息をついた。この美男子があの獣頭のメルヒ先生とは思えず、ミュリエルは落ち着かない。
「どうして追い回されることになったのですか?」
あまりに好みド真ん中の美形を前に、ミュリエルはつい頬を赤らめる。
「公爵が体調を崩されて、夫婦仲に支障をきたすようになったらしいんだ。その……仲の良さと夫人の美しさの秘訣は愛の営みにあったそうで。おかしくなってしまって夫人は、それでよく似た私に目をつけたんだ」
「おお……」
大人な話題に、今度は別の意味で赤面することになり、ミュリエルは誤魔化すように扇子であおいだ。
「一体何があって、夫婦仲は修復されたんですか?」
「リカだよ。あの子が君からもらった薬を公爵に――自分の父親に盛ったんだ」
「……勢力増強剤!?」
「そう。それで公爵はいろいろな意味で元気になり、夫婦仲は元通り。めでたしめでたし、というわけ」
メルヒオルとミュリエルは、同時に息を吐いた。語るのも聞くのもげっそりする話だった。
「追われる理由がなくなって、よかったですね。それに、元の姿に戻ることができて」
メルヒオルの美しい、なじみのない顔を見つめてミュリエルは言った。
自分の顔が嫌いで、迫害されて生きづらいと言っていた彼の言葉の意味を、今ようやく理解した。ミュリエルが思っていたこととは真逆だが、たしかにこれだけ美しいと生きるのも大変だろうなと思う。
それでも、もう追われていないし、獣の頭ではない。本当に、ミュリエルと期限付きの婚約をする必要はなくなったのだ。
そのことに思い至り、今更なのに寂しくなった。
「あのときは、ひどいことを言ってしまって申し訳ありませんでした。自分ばかりが傷ついたと思って、先生のお話を聞こうともしないで……」
素直に、非礼を詫びた。今度こそ、本当に無関係になるのだから。
だが、メルヒオルは静かに首を振って、ひざまずいた。
「謝らなければならないのは、私のほうだ。あのとき、君に拒絶されたことに傷ついて、怯えて、誤解を解くために追いすがる勇気が出せなかったのだから。すまなかった」
「そんな……」
メルヒオルに切なそうな眼差しで見上げられ、ミュリエルは目眩がした。目が眩むほどの美貌とはこのことか、などと考えてしまう。
「それで、ミュリエルさえよければ、改めて求婚させてくれないか。――どうか、私と結婚してほしい」
「……!」
思わぬ言葉に、ミュリエルは大混乱に陥った。
(無理無理! こんな美形なんて絶対無理! 死んでしまうわ! 心臓がもたない!)
変な顔をしないように必死に無表情を貫きながら、心の中では絶叫している。落ち着かなくてはと思うが、冷静になんてなれない。頭のほんの片隅に残されている冷静な思考も、「なぜ?」と「無理!」を繰り返していた。
「……どうしてですか? メルヒ先生なら、わたくしなんかより素晴らしい方を妻に望めるでしょう?」
何とか取り繕って言うと、すかさずメルヒオルは首を振り、捨てられた子犬のような目で見上げてくる。
「ミュリエルでなくてはだめなんだ。君が好きだから……!」
その言葉を耳にしたミュリエルは、ついに「死んだ!」と思った。撃ち抜かれたかのような衝撃が胸に走り、たまらず後ろに倒れる。
「ミュリエル!」
その身体を急いでメルヒオルが抱きとめた。そして、悲しそうに問いかける。
「やはり、私のことが嫌いなのか……?」
不安で、悲しそうな顔で覗き込む。美形のそんな顔は反則だ。
「……好き」
耐えられず、ミュリエルは鼻血を流して気を失った。
1
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

【完結済】姿を偽った黒髪令嬢は、女嫌いな公爵様のお世話係をしているうちに溺愛されていたみたいです
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
王国の片田舎にある小さな町から、八歳の時に母方の縁戚であるエヴェリー伯爵家に引き取られたミシェル。彼女は伯爵一家に疎まれ、美しい髪を黒く染めて使用人として生活するよう強いられた。以来エヴェリー一家に虐げられて育つ。
十年後。ミシェルは同い年でエヴェリー伯爵家の一人娘であるパドマの婚約者に嵌められ、伯爵家を身一つで追い出されることに。ボロボロの格好で人気のない場所を彷徨っていたミシェルは、空腹のあまりふらつき倒れそうになる。
そこへ馬で通りがかった男性と、危うくぶつかりそうになり──────
※いつもの独自の世界のゆる設定なお話です。何もかもファンタジーです。よろしくお願いします。
※この作品はカクヨム、小説家になろう、ベリーズカフェにも投稿しています。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。
かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。
ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。
二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる