上 下
310 / 321
秋のきせつはどうぶつたちとともに

おいしいやきイモとイノシシへのおなら3れんぱつ

しおりを挟む
 森の中では、子どもたちがはたけからほり出したイモをやいて食べるところです。大きなかごには、いろんな大きさのイモが山もりに入っています。 

「やきイモ! やきイモ! やきイモ!」 

 小助は、草むらにおちている木の大きなかけらを手にすると森の中のじめんへおきました。そして、じょうぶでおれにくい木のえだでこすりながら火おこしをはじめました。 

 そばには、お母さんグマが小助のようすをじっとながめています。 

「ぼうや、火をおこすことができるのかな?」 
「大じょうぶ! 大じょうぶ!」 

 火おこしは、ケモスケと会った時にお父さんかいじゅうがやっていたのを思い出しながら行っています。小助は、何とかして火をおこそうといっしょうけんめいになっています。 

 すると、火おこしでこすったところから白いけむりが出てきました。さらにつづけると、木のかけらに火がつくようになりました。 

「わあ~っ! 火がちゅいた(ついた)! 火がちゅいた!」 
「それじゃあ、じめんにおちているはっぱや小さいえだをあつめてこっちへもってきてね」 

 どうぶつの子どもたちは、まわりにおちているはっぱやかれた草をひろうとすぐにもってきて火の中へ入れています。火がもえるようになると、いよいよイモをやくじゅんびをしようと大きなかごからとり出しています。 

「みんな! これからイモをやくからよく見ておいてね」 

 小助のお母さんは、かごの中から出したイモをつぎつぎと火の中へ入れて行きます。子どもたちは、やきイモができるのを楽しみにしながらもえる火のほうをじっと見つめています。 

「早く食べたいなあ」 
「しばらくしたらできるからね」 

 大きなかごの中には、イモがまだたくさんあります。これらのイモは、小助がくらす小さな家のおくにおいておけばやきイモをいつでも食べることができます。 

 やきイモができるまでの間、小助たちは少しはなれたところでじゃれ合いながらあそぶことにしました。お母さんたちは、じっくりとやき上げるイモのいいにおいがただよってきました。 

「そろそろできるから、こっちへおいで」 

 子どもたちは、小助のお母さんの声を聞くといっせいにもどってきました。すると、さっきまでもえていた火がきえて白いけむりが上がっています。 

「おいしいやきイモができたからいっぱい食べてね」 

 小助は、お母さんから手わたされたやきイモを大きな口をあけてほおばるように食べています。お母さんのほうも、おいしそうに食べる小助のすがたをやさしく見つめています。 

 この後も、小助は大きなやきイモを食べつづけています。ほかのどうぶつたちも、できたてのやきイモをおいしそうに口の中へ入れています。 

 そんな時、イノシシのむれが森の中へ入ってくるのが小助の目に入ってきました。小助は、やきイモをさらにもう1本食べるとイノシシのところへ向かって走り出しました。 

「いっちょにおちゅもう(おすもう)! いっちょにおちゅもう!」 
「わわっ! またあの子が……」 

 小助は、目の前にいるでっかいイノシシの体を力いっぱいにおしたおしました。そして、あお向けにたおれたイノシシの上にまたがったその時のことです。 

「ププププウ~ッ! ププププププウ~ッ! ププウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ!」 
「うっ! く、く、くさ~い!」 

 森の中に鳴りひびいたのは、小助によるでっかいおならの3れんぱつです。イノシシは、あまりにもくさいおならのにおいにすぐに森からにげ出しました。 

「か、かんべんしてくれよ……」 
「またあちょぼう(あそぼう)! またあちょぼう!」 

 小助は、イノシシに手をふっているとお母さんがそばへやってきました。お母さんは、元気でかわいい声を上げる小助をほほえましそうに見つめています。 

「おなら! おなら! おなら!」 
「ふふふ、おならがいっぱい出るのはいつもイモをたくさん食べているおかげだよ」 

 お母さんは、小助のおならの音を聞いていつも元気いっぱいであることをかんじているようです。 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おねしょゆうれい

ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。 ※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。

キャベツの妖精、ぴよこ三兄弟 〜自宅警備員の日々〜

ほしのしずく
児童書・童話
キャベツの中から生まれたひよこ? たちのほっこりほのぼのLIFEです🐥🐤🐣

しずかのうみで

村井なお
児童書・童話
小学五年生の双子姉弟がつむぐ神道系ファンタジー。 春休みの始まる前の日、息長しずかは神気を見る力に目覚めた。 しずかは双子の弟・のどかと二人、琵琶湖のほとりに立つ姫神神社へと連れて行かれる。 そして叔母・息長みちるのもと、二人は神仕えとしての修行を始めることになるのだった。

Vicky!

大秦頼太
児童書・童話
 時計職人のお爺さんの勘違いで生まれた人形ヴィッキーが、いたずら妖精のおかげで命を持つ。  ヴィッキーはお爺さんの孫娘マーゴットの心を開き、彼女の友だちとなり、人と触れ合う大切さを教えてくれる。  けれどそんなヴィッキーにも悩みがあった。 「どうしたら人間になれるのだろう」と言う悩みが。  知識を詰め込むだけでは何の意味も無い。そこに心が無ければ、学んだことを役に立たせることは出来ない。  そんな思いを込めました。 ※海部守は脚本用のPNです。ブログなどですでに公開済みです。脚本形式なので読みにくいかなと思いますが、せっかくなので色んな人に読んでいただきたいと思い公開します。 ・ミュージカル版→ロングバージョン。 ・ショートバージョン の2種類があります。登場人物が少し違うのとショートバージョンには歌がほぼありません。ミュージカル版を作るときの素といった感じです。あと指示も書いてないです。 ミューカル版の歌についてはhttps://youtu.be/UPPr4GVl4Fsで聞けますが伴奏なんかはないので参考程度にしかならないと思います。

GREATEST BOONS+

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)を生みだし、規格外のインベントリ&ものづくりスキルを使いこなす! ユニークスキルのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅する、ほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能、「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です!

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
⭐︎登録お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐︎登録して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

猫のお菓子屋さん

水玉猫
絵本
クマのパン屋さんのおとなりに、猫のお菓子屋さんができました。 毎日、いろんな猫さんが、代わる代わるに、お店番。 お店番の猫さんが、それぞれ自慢のお菓子を用意します。 だから、毎日お菓子が変わります。 今日は、どんなお菓子があるのかな? 猫さんたちの美味しい掌編集。 ちょっぴり、シュールなお菓子が並ぶことも、ありますよ。 顔見知りの猫さんがお当番の日は、是非是非、のぞいてみてください!

処理中です...