上 下
274 / 321
小助くんと楽しい冬のきせつ

小助くんとカッパの親子

しおりを挟む
 カッパのせなかにのった小助たちは、池のそこを目ざしてもぐりつづけています。小助は、池のそこでカッパたちがあつまっておすもうをしているのを見て大よろこびしています。

「わ~い! おちゅもう(おすもう)! おちゅもう! おちゅもう!」
「小助はカッパとおすもうしたいのかな?」
「おちゅもうちたい(おすもうしたい)! おちゅもうちたい!」

 小助は、カッパとおすもうしてよこづなになりたいと今から楽しみにしています。そんな中、ワン太はカッパたちのおすもうをふしぎそうに見ています。

「あっちでおちゅもうちているのは?」
「あれはねえ、カッパたちがおすもうをしているところだよ」
「カッパたち?」
「はっはっは! ワン太くんはここへくるのがはじめてだから分からないかもしれないね」

 カッパは、小助といっしょにのっているワン太に分かりやすいことばで話しかけています。これを聞いたワン太は、小助とカッパのおすもうを自分の目で見たいと思うようになりました。

 そうするうちに、小助たちをのせたカッパたちは池のそこへやってきました。カッパたちのおすもうは、水草にかこまれたところにある土ひょうの上で行っています。

「はっけよい、のこった!」

 小助は、ワン太やサルといっしょにカッパどうしのおすもうを見ています。どちらのカッパも、土ひょうの外へ力いっぱいにあいてをいっしょうけんめいにおし出そうとしています。

 土ひょうのまん中でおたかいに組み合っているうちに、いっぽうのカッパがすさまじい力でもういっぽうのカッパをおし出しました。

「わあ~っ! ちゅごい(すごい)! ちゅごい!」

 小助は、カッパたちのおすもうを見ながら大はしゃぎしています。そんな時、近くで子どものなき声が小助の耳に入ってきました。

「うえええ~ん! うえええええええ~ん!」

 すぐにふり向くと、小助たちの近くではらがけをつけたカッパの小さい男の子が大声でないているのが目に入りました。

「どうちたの(どうしたの)・」
「かあちゃとはぐれちゃったの……。うえええええええ~ん!」

 このようすを見て、小助たちはさっそくカッパのお母さんをさがすことにしました。小助は、小さいカッパの男の子と手をつないでお母さんさがしをしています。

「かあちゃ……」
「大じょうぶ! 大じょうぶ!」

 小助は、ワン太やサルとともにまわりを見回しながらお母さんカッパをさがしつづけています。すると、男の子カッパの目の先に自分のお母さんらしきすがたを見つけました。

「かあちゃ! かあちゃ!」
「はぐれてしまってごめんね」

 お母さんカッパは、自分の子どもとふたたび顔を合わせるとすぐにだきかかえています。そして、カッパのお母さんはやさしいえがおを見せながら子どもにおっぱいをあたえています。

 小助は、お母さんカッパのそばへ行くとその場からじっとながめています。カッパのお母さんは、自分の子どもと同じようなはらがけ1まいの小助のすがたに気づきました。

 しばらくすると、お母さんカッパはおっぱいをのみおえた自分の子どもを下ろしてから小助に声をかけることにしました。

「ぼうや、どうしたのかな?」

 お母さんカッパのやさしいことばに、小助はすぐにおねだりをしようと元気な声を上げました。

「おっぱい! おっぱい! おっぱい!」
「ぼうやもおっぱいをのむがすきなんだね」
「うん!」
「それじゃあ、こっちへおいで」

 小助は、お母さんカッパにおんぶされながらすぐにおっぱいをのみはじめました。カッパのお母さんのえがおにかこまれながら、小助はかわいい顔でおっぱいを元気いっぱいにのみつづけています。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おねしょゆうれい

ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。 ※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。

キャベツの妖精、ぴよこ三兄弟 〜自宅警備員の日々〜

ほしのしずく
児童書・童話
キャベツの中から生まれたひよこ? たちのほっこりほのぼのLIFEです🐥🐤🐣

Vicky!

大秦頼太
児童書・童話
 時計職人のお爺さんの勘違いで生まれた人形ヴィッキーが、いたずら妖精のおかげで命を持つ。  ヴィッキーはお爺さんの孫娘マーゴットの心を開き、彼女の友だちとなり、人と触れ合う大切さを教えてくれる。  けれどそんなヴィッキーにも悩みがあった。 「どうしたら人間になれるのだろう」と言う悩みが。  知識を詰め込むだけでは何の意味も無い。そこに心が無ければ、学んだことを役に立たせることは出来ない。  そんな思いを込めました。 ※海部守は脚本用のPNです。ブログなどですでに公開済みです。脚本形式なので読みにくいかなと思いますが、せっかくなので色んな人に読んでいただきたいと思い公開します。 ・ミュージカル版→ロングバージョン。 ・ショートバージョン の2種類があります。登場人物が少し違うのとショートバージョンには歌がほぼありません。ミュージカル版を作るときの素といった感じです。あと指示も書いてないです。 ミューカル版の歌についてはhttps://youtu.be/UPPr4GVl4Fsで聞けますが伴奏なんかはないので参考程度にしかならないと思います。

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

GREATEST BOONS+

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)を生みだし、規格外のインベントリ&ものづくりスキルを使いこなす! ユニークスキルのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅する、ほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能、「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です!

【完結】カラ梅雨、美津希! ―蛙化女子高生の日常―

ginrin3go/〆野々青魚
児童書・童話
完結しました! 川原美津希(かわはらみづき)は高校一年生。 彼女は憧れの先輩にひとめぼれしてしまい、カナヅチにもかかわらず水泳部へと入部してしまう。 いくら頑張ってもまともに泳ぐことすらできない美津希。 記録会を前にした練習で溺れてしまうという失態を演じ、とうとう退部を決意する。 その日の夜、彼女の身にとんでもないことが起こる。 SF(すこしふしぎ)系のぬるいお話。全11話 約2万2000字の短編です。 ※本作は奨励賞を頂戴した長編のプロトタイプ的な作品で、作中、似たシチュエーションがあります。 今回はあえてその部分は変更せず、そのまま公開いたします。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
⭐︎登録お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐︎登録して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

処理中です...