小助くんの小さなぼうけん

ケンタシノリ

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山おくの秋は楽しいきせつ

クマの親子といっしょにおんせん

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 小助は、子グマたちといっしょに森の中を通る道をかけ足で走っています。これから向かうところは、小助たちにとってひさしぶりに目にするばしょです。

「おんせん! おんせん!」

 子どもたちは、サルたちがいつも入るおんせんへ行くのが今から楽しみです。お母さんグマは、小助たちの様子を後ろから見ながら声をかけています。

「ほかのサルたちにあまりめいわくをかけないようにしようね」
「うん!」

 しばらくすすむと、サルたちが入っているおんせんが見えてきました。すると、小助はおんせんの中へいきおいよくとびこみました。

「こっち! こっち!」

 小助は、おんせんから顔を出すと子グマたちにいっしょに入ろうとよびかけています。これを聞いたクマの親子も、すぐにおんせんの中へ入ることにしました。

 おんせんに入った小助たちは、白いゆげにつつまれながら気もちよさそうにつかっています。

「ぼうや、おんせんに入るのが大すきなんだね」
「うん! 大ちゅき(大すき)! 大ちゅき!」

 小助は、2ひきの子グマたちとおんせんからいったん上がることにしました。なぜなら、自分の手ではとどくことができないせなかのよごれをきれいにしたいからです。

 先頭に小助がしゃがむと、子グマが1ぴきずつ後ろのほうにしゃがむことにしました。

「ゴシゴシゴシッ! ゴシゴシゴシッ!」

 サルたちはおんせんにつかりながら、かわいい子どもたちがゴシゴシとせなかをこすっているようすを見つめています。

「ふふふ、体をあらう時もなかよくやっているわね」

 お母さんグマは、小助と子グマたちがどんな時もいつもなかよし友だちであることを知っています。そうするうちに、体をあらいおわった小助たちがふたたびおんせんの中へ入ってきました。

 小助たちは、おんせんに入る時もお母さんグマのそばからはなれようとはしません。お母さんグマも、いつもかわいい子どもたちをやさしい目で見つめています。

「そろそろ、おんせんから上がるとするかな」

 クマのお母さんがよびかけると、小助たちもおんせんからいっせいに上がることにしました。すると、小助たちはお母さんグマの前にならんでいつものおねだりをしようと声を上げています。

「おっぱい! おっぱい! おっぱい!」
「ふふふ、しょうがないわね。こっちへおいで」

 小助たちは、お母さんグマにだかれながらおっぱいをのみはじめました。クマのお母さんは、おっぱいをのみつづける小助と子グマたちのかわいい顔をほほえみながら見つめています。

「おっぱいをいっぱいのんで大きくなろうね」

 子グマたちがのみおえた後も、小助はお母さんグマにだっこされながらおっぱいをのみつづけています。そして、小助がおっぱいをのむのをやめてからお母さんグマの前であんよを上げたその時のことです。

「ジョパジョパジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョ~ッ」

 小助は、おしっこをお母さんグマの顔へみごとにめいちゅうさせてしまいました。でも、お母さんグマは小助のおしっここうげきを食らっても気にすることはありません。

「ぼうやは、おっぱいをのんでからのおしっこも元気いっぱいだね」
「おちっこ(おしっこ)! おちっこ!」

 お母さんグマのやさしさにかこまれながら、小助はいつものえがおでうれしそうに大よろこびしています。
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