196 / 321
夏は大ぼうけんのきせつ
トビにのって空のたびをする小助くんたち
しおりを挟む
小助とワン太をのせたトビは、大きなつばさを広げながら空をとびつづけています。青空を見上げると、そこにはいくつかの白い雲がふわふわとうかんでいます。
「わあ~っ! ちろい雲(白い雲)! ちろい雲!」
「小助くんは、お空の雲が大すきかな?」
「うん! 大ちゅき(大すき)! 大ちゅき!」
トビは、空の大ぼうけんをたのしむ小助たちのすがたを思いうかべながらすすんでいます。けわしい山がつらなっていても、大空をとんでいるトビにとっては気になりません。
「はじめて見るけしきはどうかな?」
「山がいっぱい! 山がいっぱい!」
「いろんなのが見えてとってもたのちいよ(楽しいよ)!」
小助たちは、空から見るあらゆるものがはじめてとあってうれしさをかくせないようすです。
しばらくとんでいると、トビのなかまが空をすすみながらならんできました。なかまは、小助とワン太をのせているトビに声をかけてきました。
「おっ、子どもたちをのせてどこへ行くんだい」
「ずっと先にある海までつれて行くとこなの」
トビのなかまは、あいてのトビにのっている小助たちをめずらしそうに見ながらあることをつたえようとしています。
「くれぐれもカラスには気をつけないといけないぞ。あいつらは、わしらを見つけたらどこまでもおいかけ回すからな」
「教えてくれてありがとうね。カラスに出くわさないようにとびつづけるから」
同じなかまにわかれのことばをかけると、トビは高い空をすすむように山をこえていきます。山をこえると、空からは田んぼと小さな家がたくさん見えます。
「田んぼ! 田んぼ! 田んぼ!」
小助は、山おくの田んぼと同じのがあるのを見て大よろこびしています。ワン太も、小助といっしょに空の下のけしきをながめています。
このまま海に向かってとびつづけるトビですが、この先もたやすくすすんで行けるとはかぎりません。
トビの耳にかすかに入ってきたのは、あの鳥のカアカアと鳴く声です。少しすすむと、カラスが3羽あつまるようにしょうめんからやってきました。
「どうちたの(どうしたの)?」
「小助くんもワン太くんも、しっかりつかっていないとおちるわよ!」
いつになく大きな声を上げるトビは、小助たちをのせながらカラスたちからにげようとあらゆる手をつくしています。しかし、カラスのほうもトビをねらいうちしようとせまってきます。
「へへへ、この先へは行かせないぜ」
トビは、カラスたちにあっという間にとりかこまれてしまいました。これでは、小助とワン太を海のあるほうへ向かうことも、後ろの方へ引きかえすこともできません。
そんな中、トビのせなかの上に小助が立ち上がったその時のことです。
「プウウウッ! プウウウウウウウウウ~ッ! プウウウウウウウウウウ~ッ!」
「うっ、すさまじいにおい……」
「よくもおならをしやがって……」
小助は、元気いっぱいのおならをカラスたちに向かってめいちゅうさせています。すると、カラスたちはすさまじい音とくさいにおいにその場からにげ出してしまいました。
「ちっ、おぼえてろよ」
「またあちょぼう(あそぼう)! またあちょぼう!」
イモをたくさん食べる小助にとって、でっかいおならが出るのはいつものことです。けれども、後ろにいるワン太は小助のおならがあまりにもくさくてたまりません。
「くちゃくて(くさくて)たまらないよ……」
「てへへ、ごめんごめん」
にぎやかな小助たちの声を耳にしたトビは、ふたたび海へ目ざそうとつばさをはばたかせています。
「小助くん、手をはなしたらおちるから気をつけないといけないよ」
トビは、あまりにも元気すぎる小助をしんぱいしつつも白い雲がうかぶ青空に向かってすすんでいます。
「わあ~っ! ちろい雲(白い雲)! ちろい雲!」
「小助くんは、お空の雲が大すきかな?」
「うん! 大ちゅき(大すき)! 大ちゅき!」
トビは、空の大ぼうけんをたのしむ小助たちのすがたを思いうかべながらすすんでいます。けわしい山がつらなっていても、大空をとんでいるトビにとっては気になりません。
「はじめて見るけしきはどうかな?」
「山がいっぱい! 山がいっぱい!」
「いろんなのが見えてとってもたのちいよ(楽しいよ)!」
小助たちは、空から見るあらゆるものがはじめてとあってうれしさをかくせないようすです。
しばらくとんでいると、トビのなかまが空をすすみながらならんできました。なかまは、小助とワン太をのせているトビに声をかけてきました。
「おっ、子どもたちをのせてどこへ行くんだい」
「ずっと先にある海までつれて行くとこなの」
トビのなかまは、あいてのトビにのっている小助たちをめずらしそうに見ながらあることをつたえようとしています。
「くれぐれもカラスには気をつけないといけないぞ。あいつらは、わしらを見つけたらどこまでもおいかけ回すからな」
「教えてくれてありがとうね。カラスに出くわさないようにとびつづけるから」
同じなかまにわかれのことばをかけると、トビは高い空をすすむように山をこえていきます。山をこえると、空からは田んぼと小さな家がたくさん見えます。
「田んぼ! 田んぼ! 田んぼ!」
小助は、山おくの田んぼと同じのがあるのを見て大よろこびしています。ワン太も、小助といっしょに空の下のけしきをながめています。
このまま海に向かってとびつづけるトビですが、この先もたやすくすすんで行けるとはかぎりません。
トビの耳にかすかに入ってきたのは、あの鳥のカアカアと鳴く声です。少しすすむと、カラスが3羽あつまるようにしょうめんからやってきました。
「どうちたの(どうしたの)?」
「小助くんもワン太くんも、しっかりつかっていないとおちるわよ!」
いつになく大きな声を上げるトビは、小助たちをのせながらカラスたちからにげようとあらゆる手をつくしています。しかし、カラスのほうもトビをねらいうちしようとせまってきます。
「へへへ、この先へは行かせないぜ」
トビは、カラスたちにあっという間にとりかこまれてしまいました。これでは、小助とワン太を海のあるほうへ向かうことも、後ろの方へ引きかえすこともできません。
そんな中、トビのせなかの上に小助が立ち上がったその時のことです。
「プウウウッ! プウウウウウウウウウ~ッ! プウウウウウウウウウウ~ッ!」
「うっ、すさまじいにおい……」
「よくもおならをしやがって……」
小助は、元気いっぱいのおならをカラスたちに向かってめいちゅうさせています。すると、カラスたちはすさまじい音とくさいにおいにその場からにげ出してしまいました。
「ちっ、おぼえてろよ」
「またあちょぼう(あそぼう)! またあちょぼう!」
イモをたくさん食べる小助にとって、でっかいおならが出るのはいつものことです。けれども、後ろにいるワン太は小助のおならがあまりにもくさくてたまりません。
「くちゃくて(くさくて)たまらないよ……」
「てへへ、ごめんごめん」
にぎやかな小助たちの声を耳にしたトビは、ふたたび海へ目ざそうとつばさをはばたかせています。
「小助くん、手をはなしたらおちるから気をつけないといけないよ」
トビは、あまりにも元気すぎる小助をしんぱいしつつも白い雲がうかぶ青空に向かってすすんでいます。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
おねしょゆうれい
ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。
※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。
しずかのうみで
村井なお
児童書・童話
小学五年生の双子姉弟がつむぐ神道系ファンタジー。
春休みの始まる前の日、息長しずかは神気を見る力に目覚めた。 しずかは双子の弟・のどかと二人、琵琶湖のほとりに立つ姫神神社へと連れて行かれる。 そして叔母・息長みちるのもと、二人は神仕えとしての修行を始めることになるのだった。
Vicky!
大秦頼太
児童書・童話
時計職人のお爺さんの勘違いで生まれた人形ヴィッキーが、いたずら妖精のおかげで命を持つ。
ヴィッキーはお爺さんの孫娘マーゴットの心を開き、彼女の友だちとなり、人と触れ合う大切さを教えてくれる。
けれどそんなヴィッキーにも悩みがあった。
「どうしたら人間になれるのだろう」と言う悩みが。
知識を詰め込むだけでは何の意味も無い。そこに心が無ければ、学んだことを役に立たせることは出来ない。
そんな思いを込めました。
※海部守は脚本用のPNです。ブログなどですでに公開済みです。脚本形式なので読みにくいかなと思いますが、せっかくなので色んな人に読んでいただきたいと思い公開します。
・ミュージカル版→ロングバージョン。
・ショートバージョン
の2種類があります。登場人物が少し違うのとショートバージョンには歌がほぼありません。ミュージカル版を作るときの素といった感じです。あと指示も書いてないです。
ミューカル版の歌についてはhttps://youtu.be/UPPr4GVl4Fsで聞けますが伴奏なんかはないので参考程度にしかならないと思います。
GREATEST BOONS+
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)を生みだし、規格外のインベントリ&ものづくりスキルを使いこなす! ユニークスキルのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅する、ほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能、「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です!
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
⭐︎登録お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐︎登録して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
猫のお菓子屋さん
水玉猫
絵本
クマのパン屋さんのおとなりに、猫のお菓子屋さんができました。
毎日、いろんな猫さんが、代わる代わるに、お店番。
お店番の猫さんが、それぞれ自慢のお菓子を用意します。
だから、毎日お菓子が変わります。
今日は、どんなお菓子があるのかな?
猫さんたちの美味しい掌編集。
ちょっぴり、シュールなお菓子が並ぶことも、ありますよ。
顔見知りの猫さんがお当番の日は、是非是非、のぞいてみてください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる