上 下
111 / 317
小助くんと夏の出会い

みんなで山べえとあそぼう!(その1)

しおりを挟む
 森のおくへすすむ小助たちは、向こうまでつづくつりばしの前までやってきました。小助の後ろには、子グマとちびっこオオカミがいます。

「こ、こわいよう……」

 どうぶつたちは、はしの下にあるふかい谷を見ると小助の体にしがみつきながらこわがっています。そんな中でも、小助はかわいい声でつりばしをわたることをきめました。

「みんないっちょ(いっしょ)! みんないっちょ!」

 小助は、子グマとちびっこオオカミがしがみついたままではしをあるきながらわたっています。どうぶつたちは、たにぞこを見ないように目をつぶっています。

 はしの向こうにたどりつくと、どうぶつたちはじめんにすわりこんでホッとしているようすです。この先をすすむと、大男の山べえがいるほらあながあります。

「ねえねえ! 早く行こう! 早く行こう!」
「あっ! ちょっとまってよ!」

 一足先にかけ出す小助のすがたに、子グマとちびっこオオカミはその後をおうように走っていきます。そんな小助が草むらに入ると、ぬかるみの中でどろんこまみれになってあそんでいます。

「わ~い! どろんこ! どろんこ!」

 小助の元気な声に、どうぶつの子どもたちもつぎつぎとぬかるみの中へ入りました。ぬかるみの中では、小助たちがじゃれ合いながらどろんこになっています。

 子どもたちのにぎやかな声に、山べえがどうくつから出て小助たちのいるぬかるみへやってきました。そこには、どろんこだらけであそんでいる小助たちがいます。

「はっはっは! どろんこあそびは楽しいかな?」
「うん! たのちい(楽しい)! たのちい!」

 みんなどろんこだらけになっても、小助たちはいつも通りのえがおをたやすことはありません。そんな子どもたちに、山べえはほらあなの近くにあるたきへつれて行くことにしました。

「さあ、ここであらおうとするかな」

 山べえは、子グマとちびっこオオカミの体をたきつぼの池であらっています。どろんこになったどうぶつたちは、みるみるうちにきれいになりました。

「みじゅあそび(水あそび)! みじゅあそび!」
「わっ、やってくれたな! おかえしだ!」

 小助は池の中へ入って体をあらいながすと、山べえに向けて水をパシャパシャかけています。山べえのほうも、小助と水のかけあいっこを楽しんでいます。

 2人が水あそびで楽しんでいると、子グマやちびっこオオカミが山べえの足にしがみついています。どうぶつの子どもたちのほうも、山べえといっしょにあそびたがっているようです。

「みんないっしょにあそびたいのかな?」
「うん! あそびたい! あそびたい!」

 山べえは、子グマやちびっこオオカミをじゅんばんにだっこしながら歩き回っています。どうぶつたちは、大男の山べえといっしょなので大よろこびしています。

 これを見た小助は、すぐに山べえのそばへやってきました。

「ねえねえ! だっこ! だっこ!」
「それじゃあ、つぎは小助をだっこしようかな」

 山べえにだかれるのがうれしい小助は、キャッキャッとかわいいわらい声を上げています。そんな時、山べえは小助がモジモジしているようすに気づきました。

「小助、どうしたのかな?」
「お、おちっこ(おしっこ)……」

 小助の声を聞いて、山べえはいそいで大きな木のそばへやってきました。すると、小助は山べえにりょう手でだかれながらおしっこをしはじめました。

「ジョパジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」
「おっ、みごとに元気なおしっこだなあ」
「わ~い! おちっこ! おちっこ!」

 おしっこが大きな木につぎつぎとめいちゅうするのを見て、小助はうれしそうにはしゃぎ声を出しています。山べえは、いつも元気な小助のすがたにあらためてかんしんしています。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~

友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。 全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。

【童話】宿替えヤドカリ

ハチママ
児童書・童話
ヤドカリはね 宿(やど)を借りてるんじゃないんだよ 宿を替えてるんだ ヤドカエが正しいのかもね

図書室ピエロの噂

猫宮乾
児童書・童話
 図書室にマスク男が出るんだって。教室中がその噂で持ちきりで、〝大人〟な僕は、へきえきしている。だけどじゃんけんで負けたから、噂を確かめに行くことになっちゃった。そうしたら――……そこからぼくは、都市伝説にかかわっていくことになったんだ。※【完結】しました。宜しければご覧下さい!

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミでヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

【総集編】童話パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
⭐︎登録お願いします。童話パロディ短編集

指輪を見つけた王子様

森乃あかり
児童書・童話
森の奥にあるお城にちょっと臆病な王子様が住んでいました。 王子様はみんなで一緒に食事をしたいと思っているのに、自分の気持ちを伝えることができません。 ある日、王妃様から贈られた『勇気の指輪』という絵本を読んだ王子様は、勇気の指輪を探すために森へ出かけていきます。 .・。.・゜✭・.・✫・゜・。. 王子様が読んだ「勇気の指輪」は絵本ジャンルにあります。あわせてお楽しみください。 ※表紙はAI生成したものです。 ※挿絵はありません。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

人をふにゃふにゃにするスイッチ

まさかミケ猫
児童書・童話
――人に向かってこのスイッチを押すと、その人はふにゃふにゃになるんじゃよ。  小学六年生のケンゴは、近所に住んでいる発明家のフジ博士から珍妙な発明品をもらいました。その名も“人をふにゃふにゃにするスイッチ”。消しゴムくらいのサイズの黒い小箱で、そこには押しボタンが三つ。つまり、三回まで人をふにゃふにゃにできるらしいのです。 「精神的にふにゃふにゃになるだけじゃ」  博士の説明を聞いたケンゴは、お父さんとお母さんに一回ずつ使いたいなと思っていました。とうのも、二人は年中ケンカばかりしているのです。  いきなり両親に使用するのが怖かったケンゴは、まずは学校にいる誰かで一回分だけ試してみようと思いました。

処理中です...