上 下
105 / 318
小助くんと夏の出会い

おとまりは子グマたちといっしょ(その2)

しおりを挟む
 日がくれて、小助たちがくらす山おくもすっかりくらくなりました。いつもだったら、小助はすでにふとんの中でぐっすりねむっているころです。

 けれども、今日はいつもとちがいます。小助は、おとまりにやってきた子グマたちといっしょに外へ出てきました。お母さんも、小助たちのようすを見ようと後ろからついていきます。

 小助たちが、こんな夜中に外へ出たのにはわけがあります。それは、夕ごはんをたべているときにお母さんがあることを話しました。

「いつもだったらおねむの時間だけど、今日は夜中に池のほうへ行ってみようかな」
「なになに! なになに!」
「ふふふ、夏の夜中に池のほうへ行けばあるものが見えるよ」

 お母さんのことばを聞いた小助は、大きな池に何があるのか今から楽しみです。子グマたちも、小助といっしょに見たがっているみたいです。

 月の明かりにてらされる中を歩いていると、池のほうに何か光っているものがあつまっているのが見えました。池に近づくと、小さく光るのがいくつもとび回っています。

 小助たちがふしぎそうにそのようすをじっと見ていると、後ろからやってきたお母さんが光っているものがどんなものか教えようとしています。

「みんな、夜中に光っているこれは何かな?」
「う~ん……」

 小助と子グマは、くらい中を光ってとんでいるのがどんなものか分かりません。

「これはホタルという虫だよ」
「ホタル?」
「ホタルはねえ、夜中に池や川のほとりで光りながらとんでいるのよ」

 お母さんが教えてくれたホタルを見ようと、小助たちは池のまわりを行ったりきたりしています。そんな時、小助の耳にあの鳴き声が入ってきました。

「ケロケロッ、ケロケロケロッ」

 その声を聞いたとたん、小助は大きな池の中へドボンと大きなしぶきを上げてとびこみました。お母さんは、月の光でかすかに見える小助のようすをながめています。

「おやおや、どうしたの?」
「カエルちゃん! いっちょに(いっしょに)歌おう!」
「ぼうやがそう言うなら、みんなで歌おうかな」

 小助は大すきなカエルになりきると、元気でかわいい鳴き声を出しながら歌い出しました。その鳴き声につられるように、ハスの上にあつまったカエルたちもいっせいに歌声をひびかせています。

「ケロケロケロッ、ケロケロケロッ」
「ふふふ、小助くんはカエルになりきるのがとても上手だね」

 お母さんや子グマたちは、小助のかわいい鳴き声に耳をすませています。小助とカエルたちの歌声は、この後も夜空に向かって鳴りひびかせています。



 つぎの日の朝、小助の家の中では子どもたちのにぎやかな声が聞こえてきました。

「てへへ、やっちゃった」
「あらあら、みんなおねしょをしちゃったんんだね」

 お母さんが見ているのは、小助たちがてれわらいしているすがたです。

 小助は、この日もおふとんにでっかいおねしょをやってしまいました。子グマたちのほうも、おふとんに見事なおねしょをえがいています。

「どんなゆめを見たのかな?」
「カエルちゃんといっちょ! カエルちゃんといっちょ!」

 どうやら、小助はゆめの中でもカエルといっしょに歌おうと池の中へとびこんでしまったようです。わんぱくで元気いっぱいの小助のおねしょは、水中にとびこんだときの大きな水しぶきとそっくりです。

 ものほしにほされた子どもたちの3まいのおねしょぶとんですが、やっぱりまん中の小助がやってしまったおねしょのでっかさにはかないません。

「小助くんはいつも元気いっぱいなんだね。スイカもいっぱい食べて、あれだけの元気なゆめを見ているんだもの」

 お母さんのやさしいことばに、小助は顔を赤らめながらもいつものえがおを見せています。そんな小助は、子グマたちといっしょにおにわでじゃれ合いながらあそんでいます。

「わっ、わわわわっ!」
「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」

 子グマたちは、おすもうごっこであいかわらず強い小助のすがたにタジタジです。

 森から出てきたお母さんグマも、小助と子グマたちがなかよくあそんでいるようすをやさしそうな顔つきでながめています。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おねしょゆうれい

ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。 ※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。

イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~

友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。 全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。

どろんこたろう

ケンタシノリ
児童書・童話
子どもにめぐまれなかったお父さんとお母さんは、畑のどろをつかってどろ人形を作りました。すると、そのどろ人形がげんきな男の子としてうごき出しました。どろんこたろうと名づけたその男の子は、その小さな体で畑しごとを1人でこなしてくれるので、お父さんとお母さんも大よろこびです。 ※幼児から小学校低学年向けに書いた創作昔ばなしです。 ※このお話で使われている漢字は、小学2年生までに習う漢字のみを使用しています。

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
⭐︎登録お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐︎登録して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

獣人ディックと赤ずきんちゃん

佐倉穂波
児童書・童話
「赤ずきん」の物語を読んでトラウマになった狼の獣人ディックと、ほんわかしてるけど行動力のある少女リリアの物語。  一応13話完結。

少年王と時空の扉

みっち~6画
児童書・童話
エジプト展を訪れた帰り道。エレベーターを抜けると、そこは砂の海。不思議なメダルをめぐる隼斗の冒険は、小学5年のかけがえのない夏の日に。

おねこのさんぽみち

はらぺこおねこ。
児童書・童話
おねこのうたを詩や物語にしてみました。 今まで書いた詩を…… これから書く詩を…… 徒然るままに載せていきます。 また。ジャンルがなにになるかわかりませんのでおそらく一番近い「児童書・童話」で書かせていただきます。

神社のゆかこさん

秋野 木星
児童書・童話
どこからともなくやって来たゆかこさんは、ある町の神社に住むことにしました。 これはゆかこさんと町の人たちの四季を見つめたお話です。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ この作品は小説家になろうからの転記です。

処理中です...