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04 魔女のペットその三 もふもふ度★★★★
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「お、おねえちゃん! ふえたよ!!」
私が昼メシに手を出そうとした時、イーフォが慌てたような声をあげた。騒がしいな。私は腹が減ってるんだぞ。
グラタンに伸ばしている手を止めて少し不機嫌にイーフォを見る。
「ん? 何がだ?」
「なんか、ふえた!?」
イーフォは目を見開いて、庭を指さしていた。そこでは相変わらずもふもふなケサパサと自分の獲物を食べているアールと背筋を伸ばして座っている二号がいる。何かおかしいことがあったか?
「なんだ? 変な虫でもいたか?」
「ち、ちがくて、おっきなねこが……!」
イーフォは蒼い瞳を大きく見開きながら、何度も二号を指さした。
「ああ、二号のことか? 可愛いだろう?」
そういえばイーフォは二号を初めて見るんだったな。それで慌ててたのか。なんせ、二号は可愛いからな。
「ほら、二号、こっちに来い」
私が二号を手招きすると、二号はにゃーんと鳴いて私の方に寄ってきた。その姿は近づくにつれ段々と小さくなっていき、私の目の前に来る頃には脛の高さほどの猫になった。
二号は猫ではなく、本当はとある世界の魔法が使える黒豹の一種だ。実際の大きさはさっき庭に降り立った時のように5メートルほどある。だが、私とご飯を食べたり、甘えるには小さい姿が楽らしく、猫ほどのサイズでいるときも多い。
私は自分の足元にやってきた二号を抱き上げると、膝の上にのせてもふもふな身体を撫でた。うむ、なめらかで柔らかくて気持ちがいい。
「二号の本当の姿はさっきの大きい方だ。普段は家の中を歩き回るために小さくなってるかもしれんが、アールみたいに危険はない」
「ほんと!? じゃあ、さわってもいい?」
「ああ、構わんぞ」
二号は気性が穏やかだからな。イーフォとも仲良くなれるだろう。
「わっ! な、なんか、おこってる……」
だが、そう思った矢先に、私の膝の上の二号に手を伸ばしていたイーフォに二号はシャーッと威嚇した。びっくりしてイーフォは慌てて手を引っ込めた。ショックだったようで、狐耳が垂れてしゅんとしている。
おかしいな。二号は懐きやすいはずなんだが。
そう思ってイーフォを見ると、私は原因に思い至って納得した。
「たぶんイーフォの魔力に驚いたんだ。二号は繊細だからな」
二号の種族は魔法を使える分魔力感応に優れている。イーフォはそこそこ大きな魔力を持っているからな、それに反応して警戒したんだろう。
「そ、そうなんだ……」
「ああ。動物はこういうのに敏感だからな。私がイーフォを警戒していないから二号もそのうち慣れる」
「う、うん……」
私直々励ましてみたが、イーフォはケサパサに続いて二号にまで避けられたのがショックみたいだな。まあ、どちらも見た目からして素晴らしいもふもふだからな。触りたいのもわかる。
「まあ、まだもう一人いるんだ。あいつはお前を避けたりしないから大丈夫だろ」
「ま、まだいるの?」
「ああ、今はたぶんこの辺を散策しているんだと思う。ここに放ったのもイーフォが寝た直ぐ後だからな。そのうち会える」
「そ、そっかぁ!」
イーフォはあからさまに嬉しそうな顔になった。ぱぁっと周りに花が咲きそうだな。うん、可愛い。
私は狐耳をもふもふ撫でた。膝の上からにゃーんと二号の撫でてとせがむ鳴き声がする。
もちろん二号も撫でるぞ。もふもふ。
ああ、両手にもふもふだなんてここはやっぱりオアシスだなっ!!
私がもふもふを堪能していると、嬉しそうに私に頭をささげていたイーフォのお腹がグーッと鳴った。そういえば、まだ昼メシを手を付けてすらいなかったな。私も腹が減った。
「じゃあ、食うか!」
「うん!!」
私たちの昼メシはやっと始まった。
グラタンはうまかった。まあ、私が作ったのだから当たり前だな。
うん、さすが私だ。
イーフォもおいしいと何度も何度も繰り返しながらグラタンとステーキ、そしてサラダを食べていた。
膝の上の二号にもステーキをあげたが、満足そうだった。最近は私が家造りで忙しくて相手してやれなかったからな。一緒に食べるのもそういえば久しぶりだったかもしれん。心なしかいつもより二号が甘えるのもそのせいか。少し悪いことをしたかもな。今日はたっぷり撫でてやろうっ!!
そういえば、食事中、窓の外で自分で獲った獲物を食べるアールを見て、イーフォは少し青ざめていた。
アールは獲物を爪で挟み、嘴で裂いて食べているだけなんだが、それはイーフォにとってはスプラッターなシーンだったようだ。私はよく一緒に食べるから見慣れているが、食事中に生で見るものじゃなかったかもな。
どこかの獣人は生で獲物を食べていたはずだが、この世界のことじゃなかったっけか? まあ、獣人はいろんな世界にいるからな。混ざることもあるだろう。とりあえず、アールはこれからはイーフォがいる前では食事を控えてもらうか。私の自慢の庭も血なまぐさくなるしな。
ちなみに、ケサパサは私の魔力を食べた。あいつは見かけによらず美食家だからな、私の魔力の質の良さが分かるんだろう。まあ、私は魔力の味なんてわからないがな。
昼メシを終えると、私たちは家の周りの森を軽く探索した。それも広すぎてほとんど回り切れず、今日は帰って夕飯を食って一緒に風呂に入ったらもう寝る時間だ。私も今日は疲れたからな。今日は早めに寝るか。
「おねえちゃんはどこでねるの?」
寝間着に着替え、もう寝る準備が万端になると、イーフォは少し顔を赤らめて私に尋ねた。
何だ? 私の寝間着が魅力的過ぎたのか? まあ、私は今、10歳にも満たない見た目だが、素晴らしきビジュアルだからな!! 小さいイーフォが照れるのもわかるぞ。
「私は自分の部屋で寝るぞ」
そう言って私は手を振って亜空間を開いた。この亜空間は私がどの世界に渡っても寝泊りできるようにカスタマイズした。まあ、どこでも出入りできる私室みたいなところだな。この部屋には私の私物やお気に入りのベッドもあるからな、寝るのには最適だ。
「えっ!? ぼくのとなりのへやじゃないの?」
「ああ、あれは一応作っただけで研究室みたいなものだからな。ソファはあってもベッドはない」
「そ、そうなんだ……」
イーフォは銀の狐耳をしゅんと垂らして落ち込んだ。
だが、そんなに落ち込む要素があったか?
私が疑問に思っていると、イーフォは恐る恐るといった風に私の目を見た。そして、何度も口を開こうとしては閉じ、また開いては閉じた。何か言いたいのは分かるが、どうも言い出しにくいみたいだな。
「どうした? 何か気に入らないものでもあったか? それとも欲しいものが見つかったか?」
言いたければ遠慮するな、と私が言うと、イーフォは決心を決めた顔になった。その青い瞳が強い光を灯していた。
「ぼ、ぼく、おねえちゃんといっしょにねたい!!」
「ほうっ! 私を二度も誘うとは贅沢だなっ! だが、いいだろう。一緒に寝てやろう!!」
金品や新しい家具ではなく、私と同衾を望むとはイーフォは贅沢者で、―――そして、寂しがり屋でもあるな。だがまあ、付き合ってやろう。まだイーフォは小さいんだ。それに、人の生は短いんだ。
私が了承すると、イーフォはぱぁっと顔を明るくした。尻尾を盛大に降り、耳もぴくぴくしている。うむ、可愛いな。とりあえずもふもふしておくか。
「じゃあ、寝るか」
もふもふを堪能しきると、私たちはイーフォの部屋に行き、直ぐにベッドに入った。スプリングの利いた最高級のベッドは気持ちがいい。
「じゃあ、電気を消すぞ」
うん、と隣のイーフォが嬉しそうに笑ったので、私は手を振って電気を消した。どの部屋もスイッチだが、私の場合はベッドに入っていても魔法でスイッチを動かせるから便利だ。
ついでに寝言を聞こえなくする魔法も自分にかけておく。私は寝言がうるさいらしいからな。
布団の中に肩まで入ると、自分以外の温かみがあってなんかにやける。
……うん、これは、嬉しいんだな。
「おやすみ、イーフォ」
「おやすみなさい、おねえちゃん」
私が昼メシに手を出そうとした時、イーフォが慌てたような声をあげた。騒がしいな。私は腹が減ってるんだぞ。
グラタンに伸ばしている手を止めて少し不機嫌にイーフォを見る。
「ん? 何がだ?」
「なんか、ふえた!?」
イーフォは目を見開いて、庭を指さしていた。そこでは相変わらずもふもふなケサパサと自分の獲物を食べているアールと背筋を伸ばして座っている二号がいる。何かおかしいことがあったか?
「なんだ? 変な虫でもいたか?」
「ち、ちがくて、おっきなねこが……!」
イーフォは蒼い瞳を大きく見開きながら、何度も二号を指さした。
「ああ、二号のことか? 可愛いだろう?」
そういえばイーフォは二号を初めて見るんだったな。それで慌ててたのか。なんせ、二号は可愛いからな。
「ほら、二号、こっちに来い」
私が二号を手招きすると、二号はにゃーんと鳴いて私の方に寄ってきた。その姿は近づくにつれ段々と小さくなっていき、私の目の前に来る頃には脛の高さほどの猫になった。
二号は猫ではなく、本当はとある世界の魔法が使える黒豹の一種だ。実際の大きさはさっき庭に降り立った時のように5メートルほどある。だが、私とご飯を食べたり、甘えるには小さい姿が楽らしく、猫ほどのサイズでいるときも多い。
私は自分の足元にやってきた二号を抱き上げると、膝の上にのせてもふもふな身体を撫でた。うむ、なめらかで柔らかくて気持ちがいい。
「二号の本当の姿はさっきの大きい方だ。普段は家の中を歩き回るために小さくなってるかもしれんが、アールみたいに危険はない」
「ほんと!? じゃあ、さわってもいい?」
「ああ、構わんぞ」
二号は気性が穏やかだからな。イーフォとも仲良くなれるだろう。
「わっ! な、なんか、おこってる……」
だが、そう思った矢先に、私の膝の上の二号に手を伸ばしていたイーフォに二号はシャーッと威嚇した。びっくりしてイーフォは慌てて手を引っ込めた。ショックだったようで、狐耳が垂れてしゅんとしている。
おかしいな。二号は懐きやすいはずなんだが。
そう思ってイーフォを見ると、私は原因に思い至って納得した。
「たぶんイーフォの魔力に驚いたんだ。二号は繊細だからな」
二号の種族は魔法を使える分魔力感応に優れている。イーフォはそこそこ大きな魔力を持っているからな、それに反応して警戒したんだろう。
「そ、そうなんだ……」
「ああ。動物はこういうのに敏感だからな。私がイーフォを警戒していないから二号もそのうち慣れる」
「う、うん……」
私直々励ましてみたが、イーフォはケサパサに続いて二号にまで避けられたのがショックみたいだな。まあ、どちらも見た目からして素晴らしいもふもふだからな。触りたいのもわかる。
「まあ、まだもう一人いるんだ。あいつはお前を避けたりしないから大丈夫だろ」
「ま、まだいるの?」
「ああ、今はたぶんこの辺を散策しているんだと思う。ここに放ったのもイーフォが寝た直ぐ後だからな。そのうち会える」
「そ、そっかぁ!」
イーフォはあからさまに嬉しそうな顔になった。ぱぁっと周りに花が咲きそうだな。うん、可愛い。
私は狐耳をもふもふ撫でた。膝の上からにゃーんと二号の撫でてとせがむ鳴き声がする。
もちろん二号も撫でるぞ。もふもふ。
ああ、両手にもふもふだなんてここはやっぱりオアシスだなっ!!
私がもふもふを堪能していると、嬉しそうに私に頭をささげていたイーフォのお腹がグーッと鳴った。そういえば、まだ昼メシを手を付けてすらいなかったな。私も腹が減った。
「じゃあ、食うか!」
「うん!!」
私たちの昼メシはやっと始まった。
グラタンはうまかった。まあ、私が作ったのだから当たり前だな。
うん、さすが私だ。
イーフォもおいしいと何度も何度も繰り返しながらグラタンとステーキ、そしてサラダを食べていた。
膝の上の二号にもステーキをあげたが、満足そうだった。最近は私が家造りで忙しくて相手してやれなかったからな。一緒に食べるのもそういえば久しぶりだったかもしれん。心なしかいつもより二号が甘えるのもそのせいか。少し悪いことをしたかもな。今日はたっぷり撫でてやろうっ!!
そういえば、食事中、窓の外で自分で獲った獲物を食べるアールを見て、イーフォは少し青ざめていた。
アールは獲物を爪で挟み、嘴で裂いて食べているだけなんだが、それはイーフォにとってはスプラッターなシーンだったようだ。私はよく一緒に食べるから見慣れているが、食事中に生で見るものじゃなかったかもな。
どこかの獣人は生で獲物を食べていたはずだが、この世界のことじゃなかったっけか? まあ、獣人はいろんな世界にいるからな。混ざることもあるだろう。とりあえず、アールはこれからはイーフォがいる前では食事を控えてもらうか。私の自慢の庭も血なまぐさくなるしな。
ちなみに、ケサパサは私の魔力を食べた。あいつは見かけによらず美食家だからな、私の魔力の質の良さが分かるんだろう。まあ、私は魔力の味なんてわからないがな。
昼メシを終えると、私たちは家の周りの森を軽く探索した。それも広すぎてほとんど回り切れず、今日は帰って夕飯を食って一緒に風呂に入ったらもう寝る時間だ。私も今日は疲れたからな。今日は早めに寝るか。
「おねえちゃんはどこでねるの?」
寝間着に着替え、もう寝る準備が万端になると、イーフォは少し顔を赤らめて私に尋ねた。
何だ? 私の寝間着が魅力的過ぎたのか? まあ、私は今、10歳にも満たない見た目だが、素晴らしきビジュアルだからな!! 小さいイーフォが照れるのもわかるぞ。
「私は自分の部屋で寝るぞ」
そう言って私は手を振って亜空間を開いた。この亜空間は私がどの世界に渡っても寝泊りできるようにカスタマイズした。まあ、どこでも出入りできる私室みたいなところだな。この部屋には私の私物やお気に入りのベッドもあるからな、寝るのには最適だ。
「えっ!? ぼくのとなりのへやじゃないの?」
「ああ、あれは一応作っただけで研究室みたいなものだからな。ソファはあってもベッドはない」
「そ、そうなんだ……」
イーフォは銀の狐耳をしゅんと垂らして落ち込んだ。
だが、そんなに落ち込む要素があったか?
私が疑問に思っていると、イーフォは恐る恐るといった風に私の目を見た。そして、何度も口を開こうとしては閉じ、また開いては閉じた。何か言いたいのは分かるが、どうも言い出しにくいみたいだな。
「どうした? 何か気に入らないものでもあったか? それとも欲しいものが見つかったか?」
言いたければ遠慮するな、と私が言うと、イーフォは決心を決めた顔になった。その青い瞳が強い光を灯していた。
「ぼ、ぼく、おねえちゃんといっしょにねたい!!」
「ほうっ! 私を二度も誘うとは贅沢だなっ! だが、いいだろう。一緒に寝てやろう!!」
金品や新しい家具ではなく、私と同衾を望むとはイーフォは贅沢者で、―――そして、寂しがり屋でもあるな。だがまあ、付き合ってやろう。まだイーフォは小さいんだ。それに、人の生は短いんだ。
私が了承すると、イーフォはぱぁっと顔を明るくした。尻尾を盛大に降り、耳もぴくぴくしている。うむ、可愛いな。とりあえずもふもふしておくか。
「じゃあ、寝るか」
もふもふを堪能しきると、私たちはイーフォの部屋に行き、直ぐにベッドに入った。スプリングの利いた最高級のベッドは気持ちがいい。
「じゃあ、電気を消すぞ」
うん、と隣のイーフォが嬉しそうに笑ったので、私は手を振って電気を消した。どの部屋もスイッチだが、私の場合はベッドに入っていても魔法でスイッチを動かせるから便利だ。
ついでに寝言を聞こえなくする魔法も自分にかけておく。私は寝言がうるさいらしいからな。
布団の中に肩まで入ると、自分以外の温かみがあってなんかにやける。
……うん、これは、嬉しいんだな。
「おやすみ、イーフォ」
「おやすみなさい、おねえちゃん」
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