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第27話 選ばれし者達
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俺の戸惑った様子に気付いたイケメン青年のジフラールさんは、
「この娘について、変わった点に気付いたようですね……さすがです。先に申し上げておきますが、あまり込み入った事情はお話できませんので、まずは結果のみ、教えていただけませんか?」
と、先に注意を促してきた。
こう言われてしまうと、この女の子の、明らかにおかしい点は質問しづらくなってしまう。
「……そうですね……結果から言いますと……すみません、見えませんでした」
その俺の言葉に、すぐ隣のユナが、驚いたように俺の顔を見たのが分かった。
「ただ、それが意味することもまた不明です。ひょっとしたら、まだこの世にお相手が生まれてきていないのかもしれませんし、単に僕の実力不足なだけなのかも……」
さすがに、この場で
「この娘は誰と結婚しても幸せになれない」
とか、
「誰とも結婚できない」
とか、ましてや
「ひょっとしたら、この子が一番幸せになれる結婚相手は、僕かもしれません」
なんてことを言えるはずもない。
しかし、そんな俺の言い訳を老占術師が手を左右に振って制した。
「いやいや……適当な結婚相手を言われれば、逆にその時点で貴殿の能力を疑っておったところですじゃ。先程ジフラールが申した通り、この娘に関してのみ言えば、普通の人間とは大きく異なる点がある。しかし、だからこそこの娘は存在できておりますでの……それに、気付いた点があったのであれば、実はそれこそが占っていただいた目的であるとご理解くだされ」
老占術師は、怪しげな笑みを浮かべながらそう言ったが……ご理解どころか、頭の中は疑問符だらけだ。
「……それは、一体どういうことでしょうか……」
難解なその言葉に、今までじっと聞き入っていたジル先生が初めて口を開いた。
「……姫様を占っていただいた後でお話しようと考えておりましたが、先に申し上げておきましょうか……先程も申し上げた通り、儂は、眠り続ける姫様を助ける方法を、神に問いかけた……その結果、一人の優秀な若い占い師が、解決の糸口を見いだすイメージを得た。そしてそれには続きがあり、占い師と、それを補佐する治癒術師、魔導剣士、氷結系の魔術師、若い剣士、そしてこの娘、ミリアが共に旅立つ様子が見えたのですじゃ」
「なっ……旅立ち? ……この女の子も一緒に、ですか?」
珍しく、焦ったような声を上げたのはオルド公だった。
その時、俺はというと、老占術師の言葉が信じられなかった……いや、理解ができなかった。
たぶん俺だけでなく、オルド公を除く全員がそうだっただろう。
「……しかも、先生は『若い剣士』とおっしゃった……つまり、私は入っていないということですか?」
「……その通りですじゃ。神が選んだのは……神が、確実に姫様を助ける手段として儂に示したのは、貴殿以外の、ここにいる五人の青年達と、この娘、ミリアなのですじゃ」
老占術師は、真剣な表情でそう断言した。
「……なんということだ……」
オルド公はしばらく絶句した。
その厳しい表情から、俺は、なにか嫌な予感を感じた。
長い間があって、ようやく彼は俺達の方を向いて、言葉を発した。
「……この国の行く末を決めるにあたって、デルモベート先生の言葉は絶対だ。そなた達は、重責を背負って旅立つ事になるだろう。その際、私は同行することはできぬ……」
オルド公の悲痛な表情と、その発言の重みに、俺達は息を飲んだのだった。
――このとき、国家特別占術師・デルモベート老公は、俺達に隠していた。
旅立つ六人のうち、一人が無事には帰って来られぬということを。
「この娘について、変わった点に気付いたようですね……さすがです。先に申し上げておきますが、あまり込み入った事情はお話できませんので、まずは結果のみ、教えていただけませんか?」
と、先に注意を促してきた。
こう言われてしまうと、この女の子の、明らかにおかしい点は質問しづらくなってしまう。
「……そうですね……結果から言いますと……すみません、見えませんでした」
その俺の言葉に、すぐ隣のユナが、驚いたように俺の顔を見たのが分かった。
「ただ、それが意味することもまた不明です。ひょっとしたら、まだこの世にお相手が生まれてきていないのかもしれませんし、単に僕の実力不足なだけなのかも……」
さすがに、この場で
「この娘は誰と結婚しても幸せになれない」
とか、
「誰とも結婚できない」
とか、ましてや
「ひょっとしたら、この子が一番幸せになれる結婚相手は、僕かもしれません」
なんてことを言えるはずもない。
しかし、そんな俺の言い訳を老占術師が手を左右に振って制した。
「いやいや……適当な結婚相手を言われれば、逆にその時点で貴殿の能力を疑っておったところですじゃ。先程ジフラールが申した通り、この娘に関してのみ言えば、普通の人間とは大きく異なる点がある。しかし、だからこそこの娘は存在できておりますでの……それに、気付いた点があったのであれば、実はそれこそが占っていただいた目的であるとご理解くだされ」
老占術師は、怪しげな笑みを浮かべながらそう言ったが……ご理解どころか、頭の中は疑問符だらけだ。
「……それは、一体どういうことでしょうか……」
難解なその言葉に、今までじっと聞き入っていたジル先生が初めて口を開いた。
「……姫様を占っていただいた後でお話しようと考えておりましたが、先に申し上げておきましょうか……先程も申し上げた通り、儂は、眠り続ける姫様を助ける方法を、神に問いかけた……その結果、一人の優秀な若い占い師が、解決の糸口を見いだすイメージを得た。そしてそれには続きがあり、占い師と、それを補佐する治癒術師、魔導剣士、氷結系の魔術師、若い剣士、そしてこの娘、ミリアが共に旅立つ様子が見えたのですじゃ」
「なっ……旅立ち? ……この女の子も一緒に、ですか?」
珍しく、焦ったような声を上げたのはオルド公だった。
その時、俺はというと、老占術師の言葉が信じられなかった……いや、理解ができなかった。
たぶん俺だけでなく、オルド公を除く全員がそうだっただろう。
「……しかも、先生は『若い剣士』とおっしゃった……つまり、私は入っていないということですか?」
「……その通りですじゃ。神が選んだのは……神が、確実に姫様を助ける手段として儂に示したのは、貴殿以外の、ここにいる五人の青年達と、この娘、ミリアなのですじゃ」
老占術師は、真剣な表情でそう断言した。
「……なんということだ……」
オルド公はしばらく絶句した。
その厳しい表情から、俺は、なにか嫌な予感を感じた。
長い間があって、ようやく彼は俺達の方を向いて、言葉を発した。
「……この国の行く末を決めるにあたって、デルモベート先生の言葉は絶対だ。そなた達は、重責を背負って旅立つ事になるだろう。その際、私は同行することはできぬ……」
オルド公の悲痛な表情と、その発言の重みに、俺達は息を飲んだのだった。
――このとき、国家特別占術師・デルモベート老公は、俺達に隠していた。
旅立つ六人のうち、一人が無事には帰って来られぬということを。
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